「あらゆる権力を排除して白紙でむかう」東京都監察医務院

東京都監察医務院。そこは、東京都23区で死因不明のまま亡くなられた人の死因を明らかにし、その知見を医療に還元する、世界有数の研究機関だった。

「東京都監察医務院は、東京都23区において死因がわからず急に亡くなられた方々や事故などで亡くなられた方々の死因を明らかにしています。また、これらの過程で得られた貴重な情報は、公衆衛生、医学、司法などの領域で役立てられています。」(HPより)

実は先月に、チームお姐は、福祉保健局が管轄する昨年7月に機器も施設も一新しました東京都監察医務院に視察に行ってまいりました。6月の第二回定例会に付託された「東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例」議案審査にともなう調査で「監察医務院における異状死にみられる薬物乱用・依存等の実態に関する調査研究」(平成25年度厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書)にめぐり合い、中毒死の中から驚くべき件数(783件!)の医薬品が検出されていることが(詳細過去ブログご参照)明らかになったことから、ぜひ、分担研究者である福永龍繁東京都監察医務院長にお会いして直接お話を聞きたいと心に決めたのでした。

「真摯で紳士、かつ"プロフェッショナルの流儀"&FBIシリーズの主人公のような 福永龍繁東京都監察医務院長

実施者:お姐

チームお姐こと政務調査班:高木章成芹澤裕次郎、野村彰宏(視察レポート作成)

理事者(都)側:院長、事務長、検査課長、主務係長

福祉保健局:医療安全課長(医師免許ホルダー)

視察場所:東京都監察医務院内 解剖室、画像、薬化学、病理組織検査室

●視察目的

向精神薬等医薬品も検出される薬物中毒死の現状を知り深い研究調査の必要性を感じた。また、この件につき都民より声が寄せられ、どのように解析するのかを現場で確認するため。また、なかなか知られていない監察医務院の全容と事業を把握し、その知見を東京都の医療事業全般、都民へも還元・共有するため。

●視察内容

・監察医務院とは...設備・人材等世界最高レベルの検死技術を有する施設とのこと。(詳細)

・近年の傾向は...夏季は熱中症、冬季は65才以上の高齢者の循環器、血管系による死因が多い。

・解剖の現状は...1日に平均7~8体、多い時は20体を解剖。当該解剖台は、20~30㍊気圧が高く、台上の空気のカーテンにより浄化して外気に出す。また平成7~8年度に結核の職員が多発したため、通常解剖台の他に感染症予防のために特殊解剖室を用意。如何なる事においても完全武装で対応する。以上より徹底した衛生状態で実施。

・その設備は...

画像検査室では、CT画像からも死因を再確認。

薬化学検査室では、解剖時に死因不明な場合に用いる場所で、各種分析装置を用いて、血液、尿、胃の内容物より死因を特定福永院長が最も力をいれて導入した機器は「高速液体クロマトグラフィー」。薬物など化学物質の検出に大いに力を発揮しています。

↓こちらに「てんかん薬」「睡眠薬」とありますように、向精神薬の検出は化学物質のなかでも重きが置かれているように見受けられました。

病理検査室では、病理組織を蝋に固めブロック作成、病理組織の染色、ブロックを3μ~15μまでスライスし、死因を解析。

(設備のみまらず世界トップクラスの技術を誇るのは職員の職人芸。左手は臨床検査技師さん)

↑こちらをご覧いただければ全体像のイメージがわくと思います!

・解剖は...胸部、腹部、頭部は必ず開き、病理、血液、尿、胆汁、脳脊髄液は病理組織に回し、5年保存。乳幼児は虐待の可能性も含め95%解剖実施。

→上田は虐待による死亡の隠蔽を懸念して子どもの不審死について、死因の確認をしているかと質したところ、保護者の理解を得ながら基本はすべて解剖をしているとのこと。虐待に関しては、虐待と分かるものはすべて解剖実施。乳幼児が40~50例ほどあるとのこと(合掌...)。

・会議室での質疑応答...自殺は近年高止まりで、自殺手段の性差が減って来たとのこと。

・監察医務院が携わるのは23区の不自然死案件。三多摩、島部を含む他県では大学病院にて対応。つまり東京都23区だけが世界最高水準レベルの監察医務院事業の恩恵に浴することができるということです。

・福永院長の論文並びに上田ブログから得た情報については、2件問い合わせがあった。その中での医薬品等の検出件数783件には自殺も含まれ、向精神薬での死は常に有り、睡眠剤、抗不安薬との併用で死に至るパターンも有る。また子どもの向精神薬で致死例はまだ無く、薬物中毒死で20歳~、自殺で15歳~19才が1例、20歳~24歳が1例のみとなっている。

【お姐総括】

 福永院長以下、スタッフのスキルの高さと最新鋭の設備に感銘を受けました。例えば、長期間、身体を動かさないでいると、いわゆる「エコノミークラス症候群」に陥り、血栓が血管を塞ぎ、最悪の場合は死に到るとのことですが、同院の研究により、この血栓が足から来ることが明らかになったとのことです。つまりエコノミークラス症候群の発見者は東京都監察医務院なのであります!!これにより血栓防止のための靴下や包帯によるケアがされるようになり多くの命を救うことができたのです。ひざ裏の血栓がまさか肺までやってくるなどとは、臨床医は思いもよらなかったのかもしれません。尊い亡くなられた命と向き合う監察医の地道なひたむきな研究によって発見されとことに大感激大感動そして感謝。

 また、ひとまず子どもの向精神薬による中毒死の事例がないこと、子どもの不自然死については、解剖も含め基本的に死因を全て調べていることを確認することができました。おりしも、子どもへの投薬は治験があまりに少なく効果や安全性が十分に検証されていないことを懸念し厚生労働省にて小児薬ビッグデータ解析を11月から本格化することとなったことも福音です。

 また、今後もかなりの精度で、薬物・向精神薬による中毒死、不審死ならびに薬物種類解析ができることもわかりました。当然、監察医務院に運ばれてきてからではあまりにも遅すぎますので、失われなくて良い命を未然に救っていく、多剤多量処方の問題も含めた自治体事業・政策の実現に向けて今回の視察を大いに活かしていけると確信いたしました。

「平成25年の年間検案数は、13,593,体、解剖数は2,338体で、一日平均の検案数は37.2体、解剖数は6.4体となっています。この検案数は、東京都23区内における全死亡者数の約18%にあたります。つまり、5.5人に1人が監察医の検案を必要とする原因不明の病気や事故などで死亡していることになります。」(HPより)

 監察医務院に運ばれてくるご遺体は、時にマスコミ、時に警察といった様々な機関や組織が複雑に関連してくることがあります。センセーショナルに取り上げられる事件のみならず、今日と同じ明日がやってくると慎ましく暮らしていた人々の不自然な死に対する静かな怒りを心に秘めて今日もこのときを、まず合掌をされ解剖台に向かうドクターのひたむきな姿が目に浮かびます。タイトルの言葉は、そうしたときに福永院長が心がけることとして、ごく自然に語られた言葉でした

「あらゆる権力を排除して白紙でむかう」

 お姐も、あらゆる権力を排除して議場に向かっております。

 ...で、この素晴らしい監察医務院の知見を、都立病院で共有しているか...公営企業会計決算特別委員会第2分科会病院経営本部審査で質したしたのでありますが、その結果は...つづく!

【おまけ】

監察医務院は今を生きる人々のためにも、貴重な命に教えていただいた知見を都民に向けても提供しています。ことに、子育て真っ最中のママたちにぜひ一読いただきたい講座資料はこちらです。

(2015年10月27日 「東京都議会議員 上田令子のお姐が行く!」より転載)

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