『ハフィントンポスト』が「【台風30号】中国のフィリピン支援寄付金は日本の1/5、IKEAよりも下回る その理由は?」という記事を配信しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。
1 記事の紹介
「観測史上最大級の台風30号『ハイヤン』が直撃し、壊滅的な被害を受けたフィリピンに対して、中国がわずかな援助しか行っていないことに非難が高まっている」という記事です。
「中国のような経済大国からの寄付が120万ポンド(約1億9000万円)」で、「スウェーデンの家具チェーン・イケアの援助額は170万ポンド(約2億7000万円)」にも劣るとしています。
「専門家によると、中国が相対的に寄付金の額が少ないのは(当初はわずか12万5000ポンド[約2000万円]だった)、中国とフィリピン両国が国境紛争(南シナ海のスカボロー礁[中国名・黄岩島]をめぐる領有権)で緊張関係にあることが原因」という指摘を行っています。
他国を見ると、「日本はテントや毛布、医療スタッフの派遣を含んだ620万ポンド(約10億円)」「韓国は310万ポンド(約5億円)、インドネシアは210万ポンド(約3億4000万円)、アメリカは1200万ポンド(約20億円)、そしてオーストラリアは1700万ポンド(約27億円)」となっています。
2 度量
昨日は言論の自由に関連して、中国の度量は狭すぎるのではないかという話をしましたが(山本太郎議員に対する脅迫と度量の広さ)、これも同じ話です。
確かに中国とフィリピンとは領土問題でもめておりますが(中国とフィリピンの1ヶ月近くの睨み合い、普段激しい言葉使いをしている『環球時報』がフィリピン国防大臣の言葉使いをネトウヨ的と批判)、仮に領土問題でもめていたとしても、当然人道的支援は行うべきだと考えます。
逆に、相手がわだかまりを持っている時に、支援をすることによって相手(周辺)国の印象は大分変ることもあるので、本来であればもめているからこそ、より熱心に行うべきではないかとも思います。
こうした発想が打算的だというのであれば、どんな方でもその方が困っている時に、どれだけの支援をしてあげられるかが度量の見せ所といったところでしょうか。
相手(国)が恩を仇で返すようなことをしてきた場合は相手が周辺国からそれだけの批判を受けるだけなので、そう思って気にしないこととするしかないと思います。
3 東日本大震災
さて、どうしても今回の被害に関連して思いだされるのが、東日本大震災で、当時日本も各国から大きな援助を受けました。
ただ、「反日」で日本に対し複雑な感情を持つことが多い中国や韓国では援助を巡っていろいろありました。
実際、あの津波の被害を見て「日本沈没」などと言える中国人(震災に対する中国の以前と同じ論調のコメント)や、「地震で死んで下さい」などという韓国人(震災一周年に日本人の死を願う韓国人とそれに対する中国人の感想)には嫌悪感しか抱きません。
ただ、結構韓国では勘違いをしている方もおり、援助したのに、日本では未だに竹島問題で譲歩しないという発想から、こうした日本の態度が上で述べたような「恩を仇で返す」行為と思っている人もいるようです。
だったら日本も韓国に援助をすれば、韓国は領土問題で譲歩するのかという話で、自分に都合の良い様にしか考えないというのはどこの国にもあることですが、すこし度が過ぎているような気がしてなりません。
4 最後に
日本の援助についてもいろいろ下心があってやっているのではないかとの意見があります。当然全く下心がないとはいいませんし、今後の関係強化を目指してという部分があるのも間違いないかと思います。
ただ、本当にフィリピンがすごい被害を受けていることは連日報道されており、日本もかつて同じような被害を受けた者として彼らの苦しみがわかるから援助を行って当然だという発想もあるのは間違いないと考えます。
仮に今回の被害が韓国で起こったとしても、そして日本国内にはいろいろ「嫌韓」の意見(わだかまり)があるわけですが、それでも同じように援助をしたと思いますし、援助をしたからといって、相手に竹島問題で譲歩を迫るようなマネはしないと思います。
それこそが「度量」というもので、日本はまだまだ大きな度量を有していると私は信じております。
(※この記事は、2013年11月16日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)