「これからは編集者の時代だ」。そんな声が大きくなっている。
東洋経済オンラインの佐々木編集長が書いたこの記事が大きな反響となっているし、
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ネット化で「編集者」の黄金時代がやってくる
「編集者」のニーズがこれから激増する理由
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先週末(2月23日)のNHK Eテレ「ニッポンのジレンマ」では、「今 読者はどこに? 2014編集者の挑戦」と題し次世代編集者をクローズアップ。
先の佐々木氏のほか、作家エージェント、コルクの佐渡島氏らが登場し、これからのメディア論、編集者論を繰り広げた。
実感値で言えば、編集者が脚光を浴びるトレンドは、ここ1~2年で急速に目立ってきた。
藤原和博氏、堀江貴文氏、佐々木俊尚氏ら有識者たちがこぞって編集力、キュレーションのスキルを注目視し、ビジネスマン必須のスキルとして唱えてきたし、
コンテンツ生産型のメディアよりも、キュレーション型のメディアが影響力を持ってきたこともその背景にある。
一昔前は、編集者はイケていないレガシーな存在の筆頭だった。
最大の理由は、出版不況。
編集者は、メディアの制作にしか興味とスキルのない"俺様スタンス"、ビジネスに疎いという、イケていないイメージで捉えられてきた。
ボク自身、「編集者です」と声高に言うことをしなくなったし、ブログやSNSが盛り上がってきた数年前までは、編集なんて誰でもできると思っていた。
しかし、企業のマーケティングやコミュニケーションに携わるにつれ、多くの人が編集力を持っていないことに気付かされた。
「あれ? やっぱり編集ってスペシャルなスキルなんだ」と。
情報を単純にアウトプットするだけでは、価値がないし、情報は相手に理解されてはじめて価値を持つのだが、
その前提というか本質を理解できていないケースが多く、専門知識を難解なままに伝達したり、
相手のリテラシーをわきまえない"悪行"に頻繁に遭遇してきた。
モノゴトが複雑化、多様化する今、情報と情報や、そのコンテクストを、統合・ミックスし、新たに価値創造することや、
モノゴト自体をわかりやすい表現で可視化、伝達することは極めて重要だ。
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さて、いよいよ本題だが、
この編集力を高める誰にでもできる最も簡単な方法を教えよう。
それは、喩え話を日常的にすることだ。
え?そんなこと?と思われるかもしれないが、喩え話は、情報と情報の間の「関係」を編む、編集行為そのものなのだ。
喩え話の持つスキルアップの力をざっくり"ファイブフォース"で整理してみると、こんなイメージだ。
1:モノゴトの要素分解力が高まる
2:多面的に分析・解釈する力が高まる
3:相手視点のコミュニケーション純度が高まる
4:イノベーションを生みやすいアイデア脳になる
※イノベーションとは潜在的ニーズ・欲求の解決
5:結果として面白い奴になる
※芸人は編集力が高い
ちなみに実例。
先日、社内で「農業ブーム」の話題で盛り上がっているなか、ボクがした喩え話はこうだ。
「イマドキの農業シフトは、現代の出家だよね。」
・俗世に嫌気が差して、ドラスティックに距離を置く、質素シフト
・自身が信ずる素晴らしいものを多くの人に届けてあげたい、布教のマインド・行為
会話の中で瞬時に「農業シフト」を要素分解、似ているものとして「出家」がイメージされ、
So What? / Why So?を繰り返して、喩え話としてアウトプットした結果だ。
最後に。
知の巨人、編集の巨人、松岡正剛氏は、編集を以下のように表現している。
編集は照合である。
編集は連想である。
編集は冒険である。
ぜひ、遊び心をふんだんに、日常会話に喩え話を盛り込んでみて欲しい。
きっと半年後には格段に編集スキルが向上しているはずだ。