私が少子化やダイバーシティ政策についてよく聞かれるのは、「何をしたらいいですか」ということです。
それに対する答えは「何もかも」です。保育所の整備、ベビーシッターさんの活用、育児休暇制度の拡充......。リストに挙げられるもののすべてをやってみて初めて、日本のこの状況が変わるのだと思います。
私は一昨年に子供を産みました。産んでみて初めてわかることもとても多いです。何よりも感じるのは、子供を産む、と言うことに対するこの国の空気です。
「好きで子供を産んだんでしょ」、「お金があるから生んだんでしょ」、だから多少の不自由はがまんしなさい......という空気をものすごく感じます。何と言うか、あたたかくないというか、社会で子どもを育てていこう、という雰囲気があまりないのです。ちょっと極端にいってしまえば、子供を産むことの是非が対立軸になっているようにすら感じることもあります。
現実問題として、この国は子供が生まれなければ成り立っていかないぎりぎりのところに立っています。それなのに、インフラを見ても子供がいるのがまったく前提になっていないつくりになっています。駅、道路、駐車場、各種公共施設......子供がいる、子供が歩く、子供が通るということが考えられていません。
ただ、私は、これが少子化対策をやったうえで、その結果としてこうなっているのではないという点で、救いがあると思っています。何もやっていないからこうなっているだけで、だからこれから政策をどんどん打ち出していかねばなりません。
しかし一方で、子どもどころか、結婚しない男性が増えているといいます。雇用が不安定ということもあるでしょう。また、人を好きになるのにはパワーがいります。そういった活力が社会全体で失われているのかなと思います。
私は、子供の出産と同時に子宮を取ってしまったのでこれ以上子供を産むことはありませんが、できればもう一人産みたいくらいです。ダイバーシティ政策については、これから折にふれて考えていきたいと思います。