こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は都議会議事堂に、
認定NPO法人Living in Peace(LIP)
代表の慎泰俊(しんてじゅん)さんと、メンバーの式名さんが来てくれました。
リビングインピース(LIP)は、
「機会の平等を通じた貧困削減」
「パートタイムでできる社会貢献活動のモデル作り」
の2つを目的として活動しているNPOで、
前者で取り組んでいるのがまさに社会的養護・児童養護の分野。
集めた寄付金を最大化する仕組み「Chance Maker」を創りだし、
老朽化した児童養護施設の改築や人員増などのために投資をしています。
子どもの未来を変える寄付
Chance Maker
実は私、議員になる遥か以前に慎代表の著作を読んでおりまして、
「こんなやり方(働きながら社会を変える)があるのかっ!」と感動した覚えがあります。
もっとも当時は、児童養護の分野にまで思いを馳せることはできなかったのですが…
働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む
著者:慎泰俊
単行本(ソフトカバー): 264ページ
出版社: 英治出版 (2011/11/8)
彼の社会的養護に関する考察は、Webの記事でも読むことが出来ます。
非常にわかりやすく現状がまとまっておりますので、
ぜひこちらもご一読くださいませ。
子どもの貧困と児童虐待の実態とは
ついでに、私の関連過去記事はコチラ↓
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さて、先日の私どもが主催イベントにLIPのメンバーの方も
足を運んでいてくれたのですが、
「自分たちとまったく異なるアプローチ(里親・養子縁組支援)なので、勉強・刺激になった」
とおっしゃっておりました。
そう、私も以前に一度取り上げたことがありますが、
この社会的養護・児童養護の分野では
「施設VS里親(VS特別養子縁組)」
という形で、支援の方法を巡って対立構造が生まれることがあります。
しかし、子どもたちのためを第一に思うならば、大人の都合で
不毛な対立をしている余裕はないはずです。
(画像は前述の慎代表の記事より引用)
特に両親との死別という理由が少なくなり、
実親・保護者からの虐待という理由で社会的保護が必要になる子どもたちが急増する中で、
特に年齢の高い子の保護にはキャパの大きい施設の方が有効となる可能性は高いです。
その他にも、多人数のスタッフ・専門家たちで子どもをみた方が良いケースへの対応や、
近隣の里親家庭への支援センター的な機能を担うなど、仮に里親委託が諸外国並に整備されても、
児童養護施設の存在意義がゼロになることはまずありません。
もっとも乳児院については限りなくゼロ、もしくは一時保護所に近い形へと
転換していくことは可能であると私も思いますし、里親・特別養子縁組の促進とともに
発展的解消を目指していくべきでしょう。
最近の活動から、里親・特別養子縁組の促進ばかり主張していると思われがちですが、
LIPが行っているような児童養護施設の待遇改善も、子どもたちの健やかな生活のために
欠かすことのできない分野なのです。
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そこで、自立コーディネーターの配置促進など様々な政策提言を行っていますが、
もう一つ私がいま注力しているのは、東京都の施設に対する人員加算です。
(認定NPO法人ブリッジフォースマイルHPより転載)
国の子ども子育て支援新制度の施行の中で、
従来子ども5.5:職員1だった人員配置基準を、4:1に改善することを目指すとしています。
これ自体は、とても喜ばしいことです。
さてここで、東京都はこれまで国の基準に上乗せして、0.5人分の独自加算を行っていました。
つまり、東京都の児童養護施設は子ども5:職員1の比率だったわけですね。
この独自加算を、新人員配置基準を実施後も維持できるかどうかがポイントなのです。
国が待遇を改善すると、自治体がこれ幸いとこれまで実施をしてきた独自加算をやめてしまう、
というのは、往々にして起こりがちな事象だからです。
仮にそうなればむしろ、自治体(東京都)単位で見れば、
子どもたちに使われる予算がマイナスになってしまいます。
これを防ぐために私は、先の予算特別委員会でもこの点を指摘したところです。
里親・特別養子縁組か、施設かという二者択一ではなく、
子どもの最善の利益の実施のために様々な関係者と協力し、
引き続きこの活動を全力で続けていきたいと思います。
もちろん、LIPの慎代表はその点を深く理解しており、
近々児童相談所や一時保護所の課題について研究した著作を上梓する予定とのこと。
楽しみに待ちたいと思います。
それぞれの分野で頑張りましょう!
ご来訪、本当にありがとうございました。
最後に、予算特別委員会での質疑の部分を掲載しておきますね。
それでは、また明日。
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◯おときた委員
それでは、最後の項目として、社会的養護についての質問に移ります。
近年、ドラマやドキュメンタリーの放送で社会的関心が高まり、徐々に改善へと向かいつつある要保護児童への社会的養護ですが、手厚い高齢者福祉などに比べれば、まだまだ不十分な状況です。
まずは、児童養護施設の人員配置、予算措置について伺います。
要保護児童を集団で保護する児童養護施設では、その職員の人員配置の規定は、国によって、子供五・五名対職員一名と定められています。そこに東京都はこれまで独自加算を行い、子供五名対職員一名までの加配を認めていました。これにより、東京都の児童養護施設における児童福祉は大いに増進されたものと高く評価をされるところです。
さて今般、国は、子ども・子育て支援新制度の中で、グループホームなどの家庭的養護の促進、施設の小規模化を進めるために、この職員配置基準の改善を目指し、まずは四対一の割合まで配置することを決定いたしました。これは大きな前進ではありますが、国が目指すグループホーム、小規模室の運営を適切に行うためには、全く不十分な数字です。
グループホームなどは二十四時間の職員の常駐が必要になる運営形態ですので、この配置で忠実に労働基準法にのっとった運営をしようとすれば、アルバイトに頼らざるを得ないという状況が多々発生してしまいます。
児童養護施設の人員不足はたびたび問題になっており、職員の早期退職なども相次ぎ、子供たちに十分な育成環境を提供できない大きな要因ともなっています。
こうした状況を踏まえ、東京都が行ってきた〇・五人分の独自加算は、四対一の配置となり、それが基準として設定した後も継続して行うことが望ましいと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
◯梶原福祉保健局長
現在、都は、児童養護施設の望ましいサービス水準を確保するため、国基準を上回る職員配置などに係る経費を補助するとともに、グループホームの補助者や助言指導等を行う職員の増配置経費など、独自の支援を行っております。
国は、平成二十三年に社会的養護の課題と将来像を取りまとめ、その中で職員配置の改善等の方向性も示しております。
東京都児童福祉審議会では、こうした国の動きも織り込みながら、今後の東京の社会的養護のあり方について検討がなされ、昨年十月に、人材の資質向上に向けた支援策の強化など、都の施策の方向性についての提言をいただきました。
今後、都としては、この提言も踏まえながら、社会的養護の取り組みを進めてまいります。
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要は、まだ未定だが前向きに検討する、というレベルの答弁です。
油断はできません…。
(2015年8月24日「おときた駿公式ブログ」より転載)