こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は総務委員会の質疑2日目。都知事の海外出張についての質疑を行いましたが、
ここでトンデモないことが起こりました。これは議員生活史上、初めての出来事です。
質問したのは、先にブログでも取り上げさせていただいた、
5,000万円を計上して物議を醸し出しているパリ・ロンドン出張費について。
参考:20人で5,000万円!舛添都知事パリ・ロンドン出張は「豪華大名旅行」か?
私は必ずしも、舛添知事の海外出張すべてを否定しているわけではありません。
上記の記事の中でも、石原都政や猪瀬都政と比較して海外出張費用が
突出して高いわけではないと、ある意味では擁護までしています。
ですが、客観的な事実は確認する必要があろうと、
総務委員会という公的な場でこの支出の内訳を単純に問うたわけです。
予算執行が済んでいるものは当然、答えられるはずですから。
■
ところが。
答弁調整の時からすったもんだしてましたけど、
結果として委員会の場で出てきた答弁は驚くべきものでした。
「知事の海外出張費用については、ホームページにおいて総額を公開している」
「より詳細な情報については、公文書開示請求をお願いしたい」
...はあぁぁっ?!
この異常さは少しわかりづらいかと思いますので、説明します。
公文書開示請求とは、国民・市民の「知る権利」を担保するために、
行政側が保管する公文書を強制的に公開させることができる法的手続きです。
行政としてはこうした請求をされるのは恥ずべき事態であり、
本来であればできる限り請求が行われることは避け、自ら積極的に
情報公開をしていくことが望ましいと言われています。
こうした背景の中で、都民の代表者たる都議会議員が
質疑を行う極めて格式高い公的な場(常任委員会)において、
「法的手続きを行わなければ情報は出しません(キリッ)」
などと執行機関が答弁することは、まさに前代未聞です。
少なくとも私の知見が及ぶ限りでは、見たことも聞いたこともありません。
議会や委員会の場での、議員からの質問に対して、情報があるのに出さない。
都民の代表者である議員の存在を軽視して、執行機関がこのようなロジックで
情報開示を拒否できるのであれば、議会活動そのものが成り立たなくなります。
■
当然わたしとしては、続けてこの委員会の場で費用の詳細を
説明できない理由を問うていきます。
すると、
「詳細な情報については、正確・適正を期すという観点から、
公文書開示制度により、適切に開示の対応をしてまいりたい」
...突っ込みどころが満載の答弁ですが、
大きく2つの問題があります。
まず何を勘違いしているのか知りませんが、
公文書開示制度は国民・市民が情報を得るために利用する制度であって、
行政側が正確・適正な情報を発信するために使う制度ではありません。
加えて、「正確・適正を期すため」なる主旨の発言も大きな問題です。
委員会という場では正確・適正な答弁ができないと自ら認めているわけで、
これまでの行政答弁そのものの信頼性を揺るがす重大発言と言えます。
議会や委員会での答弁は、公文書開示制度より
正確性・適正性において劣るということであれば、
これまでの行政答弁すべてに疑問符がつくことになります。
そして繰り返しになりますが、都議会は都民の代表者たる議員が質問を行う場であり、
それをこのような形で逃げに転じることは、議会軽視=都民軽視に他なりません。
■
今日の委員会の場で金額を説明できないあり様はもはや自ら、
この出張経費の用途にやましいことがあったと証明するようなものではないでしょうか。
情報公開請求をしても、出てくるまでには概ね2週間程度の時間がかかります。
その上、行政側の判断で黒塗りの書類が出てくることもあるので、
どこまで正確なものが出てくるのかも判断できません。
ここまで来ると情報公開請求の手続きに時間がかかっている間に、
何か数字に工作でもするつもりなのでは...という疑念すら頭をよぎります。
次年度は3億3500万円という海外出張費用が計上されているのですが、
このような不透明な状況で出張を許すわけには当然いきませんし、
「議員の質問に対して、執行機関が情報を出さない」
などということがまかり通るようになれば、
東京都都議会は議会として機能を完全に失います。
それくらい大きな問題ですよ、これは。
こんな答弁をされてしまった以上、もうこちらとしては全面対決です。
出張経費の内訳をあらゆる手を使って調査するのはもちろんのこと、
情報公開や議会との向き合い方について、厳しく知事に問うて行きます。
とはいえ世論の力なくして、私ひとりだけの力では、
なかなか物事は変えていくことができません。今日のこちらの顛末は
いくつか明朝の新聞報道になると思いますので、ぜひご注目いただければ幸いです。
まだまだ怒りは収まりませんが...
それでは、また明日。
(2016年3月16日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)