スコットランドでのはじめての夏を過ごしていた13年前。大阪に住む母が電話で私に聞いて来ました。
「もう夏やねぇ。夏といえばこっちは花火やけど、そっちにも花火は売ってるん?」
その質問に、私はハッとさせられました。セミの声もしない、蚊もいない、あまりにも涼しい(時に寒い)夏に、私の感覚は幾分狂い始めていたようです。
そう、夏の風物詩といえば「花火」です。私は張り切って夫に花火の有無を問いました。
「ハァ?花火?ドーシテ今?」
思いがけない夫の返答に私は不可解な表情を浮かべました。
「いや・・・日本では夏といえば花火なのだが、こっちでは花火をしないのか?」
当時の私は「花火=日本」のイメージが非常に強かった為、もしやイギリス全土には花火という概念がないのかも知れないと失礼な事を思い始めていた矢先、夫が得意げに教えてくれました。
※ ガイ・フォークス・ナイト(Guy Fawkes Night)
11月5日に子供たちが花火をならし、かがり火をたく風習です。
※ ニューイヤー
ロンドン同様、首都エジンバラでも盛大に花火が打ち上げられます。
そんな夫が逆に質問してきました。
所変われば風物詩も変わるものだなと、私はしみじみしたものです。
さて、私が未だに納得がいかない風物詩のひとつに「入学式」があります(そもそも「入学式」自体存在しない場合が多く、最も大切な行事とされているのが「卒業式」らしいです)。式がないとは言え、入学自体が秋なので、なんとも寂しい気分に陥ります。今では日本の大学も欧米に倣って秋の入学を検討しているらしいですが、多くの日本人はやはり桜が美しく咲き誇る春に「入学式」という風物詩を欲するのではないでしょうか。
"春の風物詩は入学式"を熱く語る私に、夫はほくそ笑んでこう言いました。
「最大のイベントであるイースター(キリストの復活祭)がある時期に入学式なんてやってられマセン!」
宗教の違い...私は、激しく納得しました...。
~続く。
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