まずひとつ、はっきり言っておきましょう。イギリスの食はマズい、という観念は、今や古いもいいところ。特にロンドンにいたっては、世界中の様々なフレーバーをオープンに受け入れ、その中で出会ったスパイスやテクニックをいつしか自分たちの食生活の一部として取り入れるようになりました。次にロンドンを訪れる時は、こんな風にデリシャスな一日を過ごしてみるのはいかがでしょう。
早朝便でロンドン入りした朝、または遅くまで遊び明かした翌日はまず、アペロ(Apero)の英国式ブレックファーストで体にエネルギー注入しましょう。メニューはオーガニックの卵に、ハム&ソーセージ、ライ麦パンと定番のトマトソテー、そして自家製ブラック&ホワイト・プディング。ちなみにブラック&ホワイト・プディングを造っているのは英国内屈指の老舗精肉店8代目店主ダラー・オシェア(Darrah O'Shea)氏本人なのだそう。
ランチ:Town Hall Hotel
一日中ケンジントン地区内だけで美食三昧を楽しむこともできるけれど、ほかのエリアにも足を延ばさないではやっぱりもったいない!ということで、朝食後はショッピングも兼ねてイーストエンドへ。タウンホール・ホテル内のコーナー・ルーム(Corner Room)は、国内自慢の農家から取り揃えた食材をふんだんに使ったランチが楽しめる一軒。主任シェフ、ジョン・クリスティ(John Christie)氏は、革新的な料理法と、最近では珍しいぐらいの丁寧なアプローチで心に残る食事を作り出してくれます。
アフタヌーンティー:Sanderson
ロンドンで一食しか楽しむ時間がないのなら、迷わずアフタヌーンティーを。今でも根強く受け継がれているこの伝統は、近年特に若者層の間で、新たなリバイバルを迎えています。サンダーソンのマッド・ハッターズ・アフタヌーンティー(Mad Hatter's Afternoon Tea)は、その名前からしても、いつもとは何か違うものを予感させてくれるはず。ペイストリーやスコーン、サンドイッチといった定番アイテムに、上手にひねりを利かせたその新鮮なメニューは、今やデザイナーズホテルの老舗となりつつあるモーガンズ・ホテルグループの底力を感じさせてくれます。
食前酒:Charlotte Street Hotel
アフタヌーンティーしながらお酒も1、2杯飲んでしまったというあなた。それもなかなか素敵なアイデア。ただし、シャーロット・ストリート・ホテル内にあるオスカー・バー(Oscar Bar)に行くだけの元気はキープしておいてください。イチジクで風味付けしたジンにベリーをミックスし、ブラックベリーのリキュールを浮かせて仕上げたここのオリジナルカクテル、"シャーロット・ブランブル(Charlotte Bramble)"は、ちょっと足を延ばしてでも味わってみてほしい一杯。しかもこのバーは、ロンドンのビューティフルピープルの溜まり場。角のブース席から観察してもいいし、思い切ってバーカウンターで声をかけてみても?!
ディナー:The Zetter Hotel
ロンドンに行ったことはあるけど、クラーケンウェル地区はチェックしたことない、なんて、今さら人には言えません。でも、知っている人も知らない人も、とにかくまずはゼッター・ホテルへ。街の中心地にほど近いこのデザイン流行発信地は、お洒落なレストランが多いことでも有名。同ホテル内のビストロ・ブルーノ・ルベ(Bistro Bruno Loubet)も、そんな人気の一軒です。ビーツのラビオリ、サバのグリル、ホロホロチョウの白ソーセージなど、イギリスとフランスの味の魅力を、親しみやすくも洗練された形で提供してくれます。
カクテルタイム:The Zetter Townhouse
アプリコットタルトをかすも残さずぺろりと食べきったら、夜の街へ出かける時間・・・。または、目の前のセント・ジョーンズ・スクエアをさくっと歩き抜けて、向かいにあるゼッター・タウンハウスへ。ここにあるカクテル・ラウンジ(Cocktail Lounge)は、クラーケンウェルのハイソな夜遊びシーンの中心地。アールグレイ風味のウィスキーや、お茶を使った強めのリキュールなど、とっても英国風のカクテルでくちびるを潤しつつ、ロンドンがいかにフレーバーに富んだ街へと成長したかを確認してください。
From Tablet Magazine