ありきたりの学生だった僕が学生パパになるまで#5 Mカミングアウト 〜日常に生じるほころび〜

Mが親にカミングアウトするまでには、僕がカミングアウトしてから一週間くらいかかった。

僕は自分の親が味方についてくれたことで、これまでとは心の持ちようがだいぶ違っていた。

次はMの親に認めてもらうぞ、と前向きだった。

Mが親にカミングアウトするまでには、

僕がカミングアウトしてから一週間くらいかかった。

毎日、「今日いけそう!?」とMに聞いていた。

「一緒に報告する?」「俺が手紙書く?」とも尋ねたが、

とりあえず最初の報告はM1人でするということになった。

Mが勇気を出した日。

夜にラインをしていたら、Mから

「お母さんおふろはいったからいまからお父さんに言うか」

「いま言ったら泣く、あー泣くとわかる」

「あー」

「しにそう」

数分後

「お父さんにだけいった」

「明日お父さんがお母さんに伝えるって」

僕「お疲れ様」

「よく言ったよ!」

しかしそれからMの家の空気は最悪になった

家族の会話は消えたとか。

2日後くらいには、こんなラインも。

私(M)が洗濯物を雑に扱ったのをみて、

(M母)"あんたがそんな風に物を雑に扱うから他人からも大切にされないのよ"って言われた。

Mは辛かったと思う。本当に。

Mの父母も辛かったとおもう。

Mが逐次細かいことまで報告してくれてよかった。

報告してくれていなかったら2人の間に温度差が生まれてしまっていたかもしれない。

Mがカミングアウトした後、こんなこともあった

大学では何事もないかのように普通に振舞っていた。

交換留学先はフランスとの国境近かったために、休み中にフランスへも行こうと思い、前々から友達にフランス語を教えてもらう約束を取り付けていた。

大変な状況の中ではあったが、久しぶりに会う友達だし、

数時間だし断るほどいまは追い込まれていないと思い、

僕は熱心に教わっていた。

その時、Mから電話がありこれから奨学金の書類と留学の書類を揃えようと言われた。

教授から制度面でわからないでいたことがわかったと返事がきたからである。

ラインでメッセージを送ったが僕はそれに気づいていなかったために、Mは怒ってしまっていた。

「フランス語やるって前から聞いてたし、別にいいけど、

実際今日みたいな重要な連絡がくるかもしれないときにラインも見ずにフランス語やれると嫌な気分にしかならないわ。

ごめん、前からわかってたことだけど。」

「電話したのは本当にまちがい、ライン返信くるまで待つつもりだったよ、いらついてたけど...(・・;)」

「機嫌悪い、面倒だし、もうやめとく、今からひまって聞かなきゃよかったね、

とりあえず明日!」

呑気なことをしていて申し訳ないとも思ったが、

前から決まっていたことだし、このことに関係のない人にもたまには接したかった。

翌日も会う予定だったし、僕としては些細なことだったが、Mとしては大きなことだった。

Mがいかにストレスフルな日々を過ごしていることが伝わってきた瞬間だった。

Mが思ったことを正直にいってくれたのは本当によかった。

夫婦でもチームでも

感情を正直に伝えることは大切

だと思ったし、

苦しんでいたらそれをわかってあげることができないといけないなと僕は反省した。

その日はギクシャクしたまま終わったが、翌日には元どおり。

2人で書類の記入や調べごとをした。

次の課題は会う約束をするためにも、挨拶のためにもMの母に電話をかけるということになった。