アセアンセンターという「なんちゃって国際機関」があります。
「なんちゃって」というのは、外務省は国際機関だと主張しますが、この組織の「加盟国」は日本とアセアン十か国のみ。
そして、この組織の予算の七分の六を日本が負担し、残り七分の一をアセアン十か国で負担しているのです。
かつては予算の九分の八を日本が負担し、アセアン各国で九分の一という時代もありました。
この組織は、これまでもいわば札付きで、銀座に大きな展示場を構えながら、活用されていなかったり、通訳と称して、理事長のお友達を週休三日にして高給で雇ったり、外務省を筆頭に役所から複数の現役出向者をせっせと受け入れ、本省に復帰するときには役所のルールに反して退職金を支給したり、公募と称してOBを押し込んでみたり....。
日本とアセアンの貿易、投資、観光を促進するという触れ込みでやってきましたが、アセアンセンターの成果は何と尋ねると、ナタデココですというのが定番でした。(ナタデココっていったいいつの話でしょう)
このなんちゃって国際機関の設置を定めた日本とアセアンとの取り決めがいよいよ期限を迎えます。
今の日本とアセアン各国の状況をみれば、なんちゃって国際機関がなくとも、貿易にも投資にも観光にも、全く影響はありません。
これを契機に意味のない組織を廃止し、中東やアフリカなど、必要とされる地域に予算を振り分けるのが当然だと思いますが、外務省は、私の時にやめられません病で、何とか存続をとのたうち回っています。
中国がアセアンにセンターを作っているので、日本がやめてしまったら中国と差がつきますなどとのたまいますが、そもそも、アセアンセンターなどほとんど知られていません。
金を積んで中国と対抗しようとしても、それは無理です。
札束ではなく、信頼とかアイデアとか、知恵で勝負する時代です。
アセアン各国は評価してくれていますと外務省は言いますが、アセアン側の各国政府は、予算の七分の一のさらに十分の一(アセアン十か国なので)しか負担しなくてよいのですから、お世辞にも褒めるでしょう。
本当に評価してくれているならば、アセアン側で予算の半分を出してくれと頼んでOKしてくれれば、評価されているといってもよいかもしれません。
しかし、外務省も、アセアン側が半分なんかとても出さないのはわかっているようです。
それならば、元々、天下り、現役出向用に作った機関ですから、さっさとやめるべきでしょう。
観光の促進は、日本側がビザを緩和したこと、円安になったこと、アセアン各国が経済成長を遂げたことなどが理由であって、アセアンセンターではありません。
今、アセアンとの人の行き来を考えたとき、やるべきことはまだまだあります。
例えばアジア各国との直行の国際旅客定期便の就航状況をみると、ソウル(インチョン、金浦)から直行便が飛んでいるのに東京(羽田、成田)から直行便が出ていない都市がたくさんあります。
アセアンの都市で言えば
チェンマイ、ビエンチャン、シェムリアップ、プーケット、ニャチャン、ハイフォン、カリボ、ルソン島等。
ちなみにアセアン以外のアジアでは
カトマンズ、アルマトイ、アスタナ、ノボシビルスク、イルクーツク、ヤクーツク。
この他に中国では、済南、石家庄、貴陽、昆明、桂林、海口、南寧、温州、合肥、塩城、黄山、延吉、牡丹江、煙台、威海、佳木斯など。
アセアンセンターの問題ではもはやありません。
国際機関のふりをしたなんちゃって国際機関はこの際、全て廃止すべきです。
(2017年3月27日「衆議院議員 河野太郎公式サイト」より転載)