しばらく前になるが、HBOのCEOが、当面、ユーザーがHBO GOパスワードを共有してもかまわないと語ったことがある。称賛すべきことに、Netflixもこの前例にならうようだ。先週のCESのセッションで―Netflixが海外130ヵ国に進出という大ニュースに紛れたらしく、まだ報道されていないが―同社の共同ファウンダー、 CEOのリード・ヘイスティングスは「消費者がNetflixのアカウント情報を共有するのは良いこと」だと語った。
オンライン・ストリーミングの分野では、アカウントの共有というのは一般的にいえばグレーゾーンだ。 他人のアカウントを使ってコンテンツを視聴すると、消費者はそれと知らずに契約、さらには法律に違反することになる可能性がある。
しかしストリーミング・サービスの運営者側からみると、 HBOの社長、Richard Pleplerがはっきりそう語ったように、アカウントの共有は一概に悪いこととばかりはいえない。
Pleplerはユーザーがアカウントを共有するのは「次世代のユーザーを開拓する上で素晴らしいマーケティング手法だ」と述べた。これによって視聴が増えブランド名が浸透し、「新たなHBO中毒」を生み出すからというわけだ。
NetflixのヘイスティングスがCESで説明したのも同じようなメカニズムだ。他のユーザーのアカウントを借りてNetflixを視聴するユーザーは、やがて自身が契約者になる可能性がきわめて高い。
「Netflixのアカウントが共有されるのは歓迎だ。われわれは居間でNetflixを見ているのが2人なのか10人なのか気にしない。〔パスワードの共有は〕良いことであって悪いことではない」とヘイスティングスは語った。
ヘイスティングスは「ユーザーである両親が子供にアカウント情報を教えると、子供が大きくなったとき自分自身もNetflixのユーザーになる」と説明した。
もちろんNetflixには以前から家族のメンバーがそれぞれパスワードを作れるファミリー契約がある。しかしCEOが将来のユーザー獲得のためになるからアカウント情報の共有はOKだと考えていることが分かったのは歓迎だ。
〔家族や親しい友だち同士でない間でのパスワード共有には問題がある〕とはいえ、ヘイスティングスはそうした共有を今すぐ取り締まるつもりはないようだ。いずれにせよNetflixにはまだ大いに成長の余地がある。特に新規参入を果たした地域ではそうだ。Netflixがインドやロシアを含む130ヵ国に進出するというのがCESでのビッグニュースだった。これによって現在ユーザー7000万のサービスが世界190ヵ国で視聴可能となるわけだ。
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(翻訳:滑川海彦@FacebookGoogle+)
(2016年1月12日 TechCrunch日本版「NetflixのCEO、リード・ヘイスティングス、「アカウントの共有はOK」より転載)