トランプ大統領が署名した「オンライン人身取引防止法案」に賛否両論

「性的人身取引撲滅には何も貢献しない」という意見も。
Kevin Lamarque / Reuters

上院下院をともに圧倒的多数で通過したオンライン人身取引を防止法するための案(FOSTA)が正式に署名された。

本日初めて正式発効されたにもかかわらず、ウェブ界で同法案はすでに大きな影響を与えている。Craigslistは米国内でPersonalsセクションを閉鎖し、Redditは来るべき法律に対応すべくサービス規約を改訂した。

司法省もサイトの厳重な取り締まりを開始した。先週、Backpageは司法省から中止命令を受け、オーナーらは93件もの罪で告発された。

「人身取引は今がおそらく歴史上最悪の状態にある」とトランプ大統領が署名式典で記者団に語った。同法案を共同提案したオハイオ州選出のロブ・ポートマン上院議員はプレスリリースを発表し、「これはオンライン人身取引撲滅の戦いにとって記念すべき日であり、受けるべき公正な裁きの機会を長らく阻止されてきた人身取引の被害者および遺族にとっては大きな勝利だ」。

党の壁を超えて圧倒的多数を得たにもかかわらず、この法案は賛否両論を呼んでいる。声を上げているのは売春従事者とインターネット権利擁護者の両方だ。2月末の投稿で、電子フロンティア財団は同法案を「大惨事」だと非難し、コンテンツを監視する責任がサードパーティーコンテンツをホストするサイトの手だけに渡ることを問題にしている。

「この法案は高潔に思えるかもしれないが、性的人身取引を阻止する何の役にも立たない」と同財団は言う。「これで何か起きるかといえば、オンラインプラットフォームはこれまでにない強さでユーザーの言動を監視するようになり、その過程で正当な発言も抑制してしまうだろう」

財団はTechCrunchに以下の追加コメントを伝えた。「SESTA/FOSTAは性的人身取引撲滅には何も貢献しない。この法律はあらゆる人々がオンラインで表現し集合する権利を脅かすものだ。性的言動をホストする可能性のあるウェブプラットフォームに民事・刑事上の幅広い責任を負わせることによって、ユーザーを過度に監視することを奨励している。法の下で発言の機会を奪われる罪なき人々のために議会や大統領が声を上げないことに深く失望している。被害者はいっそう危険にさらされることになるだろう。」

性的職業従事者も同じように、自分たちの生計に関しても、そうしたサイトが閉鎖されることによって暴力が増える恐怖についても「壊滅的」だと批判している。

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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