質問や提案を使って意味を制限しようとすると
相手はことばのメッセージを返してくるのですが
そのときに、ことばと違う「なにか」も送ってきます。
週末の親子の会話
親 :太郎、宿題はどうなの?
太郎:んー、うんー。
親 :うん、じゃなくってさ。
太郎:大丈夫だよ。
親 :大丈夫なの?じゃ、いつ終わりそう?
太郎:日曜には終わるんじゃない?
親 :日曜って朝から夜まであるけどいつ?
太郎:うるさいな~、邪魔しないでよ!!
お互いに、あまり言いたくない話のようにも感じます。
親も、はじめから「宿題は間に合うのか?何日前に終わるのか?」
といった核心にふれずに、あいまいに会話を始めています。
一方の太郎君は「んー、うんー」と、何も答えていません。
最後には、「うるさいな~」と逆ギレしてます。
「んー、うんー」のときは小さくて、平坦な声も
おそらく最後の「うるさいな~」では大きくて
早口だったりするかもしれません。
いかがでしょうか。
2人の会話が映像として容易に想像できたのではないでしょうか。
おそらく、目を見て話していないでしょう。
テレビか、ゲームか、あるいは本から目を離さずに目を合わせない2人、
体の向きも向かい合っていないと思います。
ここで、テーブルを挟んで、目と目を見て、
向い合って話すシーンを思い浮かべた方はおそらくいないでしょう。
それは、このメッセージに、このシーンはふさわしくないと思うからです。
私たちは、ことば以外にも、そういったメッセージのやりとりをしているのです。
質問や提案を使って意味を制限するやりとりをしていると、相手のことばが返ってきます。
そして何より、やりとりしているうちに、相手の反応を観察する機会ができます。
メッセージとはことばだけで成り立つものではありません。
メッセージは、表情、しぐさ、身振り、体の向き
時計を見たり、目をそらすなどの視線
どもりや声が小さくなったり、甲高い声になったり、早口になったり
などという、「からだ」にもあらわれるのです。
(2015年11月27日「ボトルボイス」より転載)