「我慢と忍耐」で若い世代にツケを回してきた 私が"生理"を口にできなかった理由

我々世代が「我慢と忍耐」で放り投げてきたツケを、今の若い世代にまわしてしまったことを本当に反省している。

ハフィントンポストのオフィスに行くと、3人の女性編集部員が「ご相談したいことがあります」と声をかけてくれた。記者が作業をする編集室以外に、小さいながらに会議室もあるのだが、3人は「ここでお話しできたら」と男性記者たちも仕事をする編集部の真ん中でイスを並べて「私たち、生理に悩みを抱えています」と切り出したのだ。

先月「もし、男性が生理になったら?」というテーマで描かれたマンガがTwitterに投稿されて話題となり、ハフポストでも取り上げた。女性にとってはごく当たり前に毎月身に起きることを男性目線にすることで、投稿からわずか3日でリツイート数は7万5000回を超えた。こんなに辛いことなのかと初めて分かった気がするという男性からの反響もあった。

「話しても面倒に思われるだけ」「仕事を振りづらいと思われたくない」「だから女は、と言われて引かれそう」という思いから、生理の悩みを一人で抱えて我慢してきたのはかくいう私である。私自身、20代から生理痛が激しく、気を失って救急車で運ばれたこともあるほどだった。それでも、痛みの激しい理由を「生理痛」と口に出せず、搬送先の病院で内科に運ばれてしまったこともある。医者を前にして初めて「すみません。生理なんです」と伝え、婦人科に移送されたほど、「生理」を口にすることが恥ずかしかった。

アナウンサーの仕事を始めてからも、「今日、顔色が悪いねえ」とディレクターに言われたら、「いやあ、二日酔いですかね」と笑い飛ばしながら、痛み止めの薬を何錠も飲み下して仕事を続けた。それが当たり前だと思っていたし、「社会人としての嗜み」だと考えていた。何より、生理の辛さがわからない男性上司に「いいや、他の人に頼むから」と言われることを何よりも恐れていた。

30代も後半になり不妊治療を始めたときも、職場の人に伝えることができなかった。当時、目標にしていた報道番組の仕事をいただき、無我夢中で国内外の取材に飛び回っていた時期である。不妊治療のプロセスで「採卵」をするのだが、身体を貫くような痛みに襲われることがある。しかし、ロケの予定を「私事の不妊治療」のために変えて迷惑をかけたくないと、痛みを抱えたまま取材をし、道端で座り込んでしまうこともあった。

不妊治療と取材を両立しながら悩んでいた時期

50代というと、今度は更年期を前に女性ホルモン減少との闘いになる。自分にはまだしんどい症状は現れていないけど、「更年期の不定愁訴なんです」などととても職場で言わないだろうと考えていた。そして、我々世代がこうして「我慢と忍耐」で放り投げてきたツケを、今の若い世代にまわしてしまったことを本当に反省している。

80年代、男女雇用機会均等法が施行された第一世代となる私たちは「なんでも男性なみに」「なめられないように」と女性なら当然抱える身体のことを隠し、無理をし、それが当たり前のように仕事の結果を追い求めてきた。まだまだ男性中心の職場で女性がバリバリ働くことが珍しかった時代だ。

しかし、人口減少の中で女性の労働力が期待され、さらに産むことも期待され、共働きで子育てをすることが当たり前になった今の時代に、女性の身体を職場が理解し、その力を最大限発揮してもらうために働きやすい環境を整えることは当たり前のことにならなればならない。

まずは、これまで口に出せないでいた悩みを共有することから始めて、突破口を見つけたいとハフポストの女性部員が行動を始めた。男性である竹下編集長が「戸惑いますよね」と率直な反応を見せてスタートしたプロジェクト。ぜひ、多くの女性、そして男性にも参加していただき、意見交換をすることができたらと思う。

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