世界銀行が主導する10億ドルを上回る支援パッケージに対し、8カ国と欧州委員会が資金提供を誓約した。グラント1億4,100万ドル、ソフトローン10億ドル、保証5億ドルで構成されるこのパッケージは、ヨルダンとレバノンに流入したシリア難民と受入れコミュニティ、ならびに地域全体の復旧・復興の支援に充てられる。今回の誓約を受け、来年には、最大8億ドルの譲許的融資が可能となる。
世界銀行グループ総裁と国連事務総長、イスラム開発銀行グループ総裁が共同議長を務める閣僚会合の場で、新たに立ち上げられた「中東・北アフリカ地域支援のための新規融資イニシアティブ(「MENA資金イニシアティブ」)」に対して、日本、フランス、英国、米国、ドイツ、カナダ、オランダ、ノルウェーの8か国と欧州委員会がそれぞれ最初の支援を表明した。同会合には、G7各国の閣僚、湾岸協力会議、欧州諸国、中東・北アフリカ諸国に加え、多くの国際開発金融機関や国際機関のトップが一堂に会した。
この新イニシアティブは、世界銀行グループ、国連、イスラム開発銀行グループが昨年10月に共同で立ち上げたものである。その目標は、国際社会の英知を結集し、国際機関の協調を強め、中東・北アフリカ地域の人道・開発面の膨大なニーズに対応する事にある。上記3機関が立ち上げた作業グループは、過去6カ月間、26の支援国・援助受入国の代表、さらには9つの地域機関・国際機関と協力し、同イニシアティブの仕組みと、その実施に向けた行程表の作成に力を注いできた。
本イニシアティブは、革新的資金調達を通じ、中所得国であるレバノンとヨルダンに譲許的融資を提供するものである。シリア難民危機により特に深刻な影響を受けている両国に対して、経済の低迷と不安定な情勢からくる若者の失業問題、紛争後の復興に向けた準備を支援していく。プログラム資金の調達のために、国際開発金融機関と国連が協力するプラットフォームが設置され、より調和のとれた効果的な支援の提供が図られる予定だ。
中東・北アフリカ地域では、紛争と不安定な情勢により、過去5年間で1,500万人以上が家を追われるなど、人道・経済面で甚大な被害がもたらされている。そうした人々の苦難ばかりではなく、以前から深刻な経済的課題を抱えていた難民受入れ国の資源にも、大きな負担が強いられている。直接的なコストに加え、紛争による荒廃後の再建には数千億ドルが必要となる見通しだ。不安定な状況が続いている事も域内経済の低迷を助長しており、紛争の直接的影響を免れた国もその例外ではない。
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