待機児童問題解消のため、東京都は、一定の条件を満たせば窓のない部屋も保育室に使えるよう規制を緩めるという。
これについて、都議会議員のおときた駿氏は、光が入ってこないスペースでも、「子どもが健やかに育たない、などということはありません」と自身のブログに綴った。
おときた氏が、そう言い切れるのなら、何かしらの根拠を示してほしい。少なくとも、私は、自分の長男を窓のない保育室に預けたいとは思わない。
私は生後8ヶ月の長男を持つシングルファザー。
長男は視界が開かれた場所にいる時ほど機嫌が良い。ぐずる時は、一日中家にいる時や、飲食店や自家用車内、また、定期検診でたくさんの親子と同じ部屋でじっとしていなければならないとき。
一方、散歩やスーパーでの買い物などは上機嫌。彼の機嫌が良い日は、良く寝る。よって、私も良く寝れる。たくさんぐずれば、私も精神的に疲れる。子どもの精神状態はそのまま親に伝染することを肌で実感している。
現在、私は収入がないにの関わらず、長男を保育園に預けずにいるのは、ちょっとした貯蓄があるのと、長男にとって人生で一番大事な今の時期にできるだけ開かれた空間でのびのびと過ごしてもらいたいと思うからだ。
天気が良い日は2人でハイキングやスノーシューに出かけたりする。おかげさまで、長男はまだ一度も体調を崩していない。
待機児童問題解消のためできることは、保育園の増設だけじゃない。
東京都には、無数の共働きの核家族世帯がある。ということは、平日の日中、無数の窓付き住居が空っぽの状態だということだ。
そして、今の日本で育児休暇を取る男性は2パーセントと少ない。育児休暇を取らない男性が、育児休暇を取って一定期間、自宅で育児するようになれば、この日中空っぽになっているスペースが有効活用でき、待機児童対策になるのではないか。
少子化に待ったをかけるには、私たちの世代が育児を楽しいと思えるかどうかにかかっている。
しかし、大部分の男性は赤ちゃんと接する機会が乏しく、楽しいと思えるかどうかさえ、知る由がない。私は昨年9月に妻を亡くし、人生最大の危機に陥ったが、常に私と一緒にいてくれる長男が精神的支えになってくれた。
赤ちゃんは社会にとって希望の光である。
都内に無数の窓付きスペースが日中空っぽになっているのに、わざわざ窓のない一室を保育園にして、そんな希望の光を狭い所に追いやる社会にだけはなってほしくない。
閉ざされた室内に長時間置かれ、子どもが精神的に不安定になり、それが親に伝染し、「もう子どもは産みたくない」となれば、少子化対策どころか、少子化にさらに拍車をかけることになりかねない。