新生児育児を夫婦で満喫しよう その6 妻と長男の断絶を最小限にとどめよう

妻は「寂しいな」とつぶやいていました。

私は2016年、長男出産後に前妻を亡くしたため、産後の育児を夫婦で楽しむという経験ができませんでした。

翌年に今の妻と再婚し、2018年4月23日、次男が無事に誕生しました。前妻とは成しえなかった、夫婦の共同育児を今度こそ満喫しようと思います。

私がお産に立ち会った20時間の間、1歳半の長男は立ち会うことができないため、姉、母、ベビーシッターさんの家を転々としました。次男が無事に生まれ、やっと兄弟がご対面できるかと思ったら、大変な勘違いをしていました。15歳以下の子どもは、感染症予防の観点から病棟内の「ラウンジ」までしか行くことができず、病室には入れません。そして、新生児は病室周辺しか行くことができず、色々な人が出入りするラウンジに出ることができません。つまり、退院するまでの6日間、兄弟が顔を合わせることができないのです。そして、妻も次男を誰かに預けない限り、長男と会うことができなくなったのです。

出産直後で精神的にも辛い時に可愛がっていた長男に自由に会えなくなり、妻は「寂しいな」とつぶやいていました。その気持ちはよくわかります。長男が生まれた直後、私は韓国人の前妻の葬儀出席のために韓国へ行かなければならず、生まれたばかりで飛行機に乗れない長男と4日間、離れ離れになりました。その3日間、長男のことが気になって、とても長く感じられました。

次男誕生の翌日、長男の保育園が終わった後、私は長男を連れてラウンジに行き、妻は次男を病院に預けて、ラウンジに出てきました。たまたま、お見舞いに来ていた姉と妻が2人でラウンジの方へ向かって歩いてきた所を私が見つけ、「ほら!ママが来たよ!」と長男に言い、長男は妻の方へ向かって走っていきました。そしたら、何と、長男はママを素通りし、姉に抱きついたのです。前日、長い時間姉と過ごしていたからかもしれませんし、ほったらかしにされていたことにすねていたのかもしれません。いずれにせよ、こんなことは今までなかったので、妻はそれなりのショックだったようです。

長男は前妻の子なので、妻とは血の繋がりはありません。もしかしたら、長男は妻にとって自分より大切な存在ができたと気づいているのかもしれません。実の子でないなんて気づかないくらい、妻が長男を我が子の様に大事にしてきたことは私が一番良く知っています。家の冷凍庫の中には、妻が出産で入院した時のために作り置きした大量の長男用の食事が保存されています。

妻の妊娠がわかった時、長男が保育園で他の園児にちょっかいを出すようになり、保育士さんからは「妊娠したことをわかっているのかもしれません」と言われました。考えすぎなのかもしれませんが、できる限り、入院中も妻と長男が交流できるよう、保育園が終わった後、必ずラウンジに連れて行くことにしました。妻は次男を助産師に預け、ラウンジで30分ほど長男との時間を楽しみました。しかし、長男はラウンジ前にあるエレベーターが珍しいようで、関心は妻ではなく完全にエレベーターになってしまいました。エレベーターの障がい者専用のボタンが、丁度長男でも押せる位置にあり、何としても、そのボタンを押し、エレベーターが来たらその中に入って別の階に行こうとするのです。テーブルに座らせようとすると、エレベーターに行けないことに不満になり、泣いてしまうのです。

妻と長男が一緒にゆっくり座って交流する方法は一つしかありません。長男のご飯をラウンジまで持って行くことです。長男の食に対する関心は父親なみです。長男をイスに座らせ、妻がご飯を長男の口に運んだら、予想通り「もっともっと」と手をバタバタさせました。妻は「私が作ったのをたくさん食べてくれてありがとう!」と長男に話しかけました。

退院後も体に痛みが残り、妻は思うように動くことができなくなりました。12キロの長男を抱くこともしんどいようです。1日8回以上の授乳があるので、どうしても妻は次男と過ごし、私が長男の相手をすることになってしまいます。それでも、授乳と授乳の間に私が次男を抱っこして、妻が長男に絵本を読む時間を1時間は作りたいと思っています。

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