ギリシャ経済は救済融資政策でなんとか持ちこたえているものの、失業率は依然26%前後で停滞。公的機関は政府の緊縮政策に抵抗している。しかしその一方で、ギリシャ国民からは、力を合わせてこの窮地を乗り切ろうとする前向きな動きが出てきている。
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■無料の医療を提供
「ギリシャ国民の多くは今までの自己中心的で軽薄な価値観を改め、思いやりと利他主義的な考え方を持つようになってきている」(スピーゲル・オンライン・インターナショナル)
たとえば、ギリシャの失業者の半数が健康保険を持っていないという現状に、ギオルゴス・ヴィカスのような医師たちは無料の医療サービスを提供してきた。
スピーゲルの取材に対し、ヴィカスは同じく無償で働く他の90名の医師とともにアテネで診療所を切り盛りしている。診療所には月に3,000人の患者が訪れるというヴィカスは「ギリシャの文化と市民の価値観が互いに助け合うものに急激に変わりつつある」と語る。
「あれほど長い間表面的だった社会がこれほど団結したものになるとは思わなかった」と最近のインタビューで彼は答えた。
困窮と失業に苦しむギリシャ社会を救おうとしているのはヴィカスだけではない。
■社会を再び元気にする
マリー・カランツァ (33) とステファニア・ジディア (26) は、「イマジン・ザ・シティ」というNGOを立ち上げ、人々をつないでギリシャの都市を再活性化するサービスプロジェクトを組織している。カランツァとジディアの団体は街灯をふたたび設置したり、薬物犯罪の横行するアテネの地区を改善するなどの活動を行っている。インタビューの中でカランツァは、ギリシャを変えるのは政治家ではなく国民だと強調する。
「多くの人はまだ政治の救世主を捜している。ご飯を食べさせてくれる誰かをね」と彼女は言う。
■人と人をつなぐプロジェクト
アンドレアス・ロウメリオティスも、かつてラジオ番組のホストをつとめた国営放送ERTを政府が閉鎖した後、救世主を捜すのを止め、自分が先頭に立って社会を変えていくことにした人のひとりだ。ERTが最初に閉鎖された時、2,600人の従業員が解雇された。フランス24によると、しかしヨーロッパ放送組合が援助の手を差し伸べ、局は先月放送を再開することができた。
ロウメリオティスはもうERTでは働いていないが、彼はギリシャのすべての建設的な社会活動をひとつのホームページの下に統合することで、ユーザーが互いにその所在をグーグルマップで知ることができるようにするプロジェクトを立ち上げた。
そのホームページは以下のURLで立ち上げが予定されている: enallaktikos.gr
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