京都でも見ることのできない京都ー。東京国立博物館で開催されている「京都―洛中洛外図と障壁画の美」展が12月1日で閉幕する。戦乱の世が終わり、江戸時代へとうつろう中、栄華を誇っていた都を当時の人々はどのように描いたのか。名だたる「洛中洛外図」を一堂に集めた展覧会は来場者が20万人を突破。時代を超えて、今も人々を惹きつけているようだ。
洛中(京都の市中)と洛外(京都の郊外)の街並みや往来する人々を活写した「洛中洛外図」には、支配者である武将や人々が都に抱いた憧れや追憶が色濃く反映されているという。特に重要文化財に指定されている岩佐又兵衛筆「洛中洛外図屏風 舟木本」は、国宝である「洛中洛外図屏風 上杉本」と並ぶ名品。大坂の陣の直前と思われる京都が描かれており、それぞれの人生が垣間見られるがごとく、人々が生き生きと描写されている。
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また、京都展では、慶応3(1867)年に第15代将軍徳川慶喜が大政奉還を近臣に諮問したとされる二条城二の丸御殿黒書院一の間、二の間を飾っていた障壁画、全69面が展示されている。同じく、大名が将軍に謁見した二の丸御殿大広間四の間を飾る狩野探幽筆「松鷹図」15面も出展。威風堂々とした松や鷹に公儀の威光を感じることができる。これだけの規模で二条城の障壁画が見られるのは、史上初という。
京都展は数々の名品だけでなく、最新の映像技術も駆使した展示も行われている。「舟木本」や龍安寺石庭の四季を超高精細映像4Kで撮影、会場内で投影している。10月には「舟木本」をテーマに、建物などに投影する立体映像、3Dプロジェクションマッピングも行われ、人気を集めていた。
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