大阪で映画を題材にした大規模テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)を運営する会社が、沖縄での新設計画について、撤回を含めて検討している。日本経済新聞が2月18日付朝刊で伝え、共同通信なども相次いで報じた。
USJは大阪の湾岸部に2001年に開園した。ハリウッド映画の世界を再現したアメリカのテーマパークを再現し、人気映画「ハリー・ポッター」のアトラクションなどで人気がある。2カ所目として、沖縄県本部町の「海洋博公園」に、2020年にも新テーマパークを開業させる計画を打ち出していた。公園には「沖縄美ら海水族館」などの人気施設があり、約600億円を投資して大型アトラクションを建設し、年間600万人の集客を目指すとしていた。
ただ、2015年11月にUSJの親会社がアメリカのケーブルテレビ大手「コムキャスト」に替わり、計画を再検討した結果、慎重姿勢に転じたと、日本経済新聞は報じている。
「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)の有力候補地を視察する菅義偉官房長官(前列左) 撮影日:2015年08月12日
USJの新テーマパークを日本国内に新設する構想は、2014年2月に浮上した。アジアの中から「人口が多くて所得水準が上がってきている都市部」が候補地とされた。その後、アメリカ軍普天間飛行場の移設と辺野古埋め立てに絡み、日本政府が支援する沖縄振興策の一環として、たびたびPRされてきた経緯がある。
辺野古埋め立ての是非が沖縄知事選の争点になっていた2014年11月8日、菅義偉官房長官は、埋め立てを承認した仲井真弘多知事(当時)の応援で那覇市入りし、「政府としても沖縄振興策のまさに要として、沖縄県が今、一生懸命やっている誘致活動を応援したい」と表明。USJの運営会社の責任者と接触したことを明かしていた。
しかし、知事選では、辺野古移設(新基地建設)に反対する翁長雄志氏が仲井真氏を破った。その後、2015年3月18日にUSJの運営会社は、建設地を沖縄とする方針を明らかにした。菅氏は、普天間移設と辺野古埋め立てを巡る翁長知事との4~9月の協議でも、政府の沖縄振興策の一環としてUSJ誘致支援を表明していたが、協議は平行線をたどっていた。
■ディズニー構想も一因か
ライバルとなるディズニーリゾートの進出が浮上したことも、USJが慎重になった一因の可能性がある。
2015年12月8日に、宜野湾市の佐喜真淳市長は菅官房長官と会い、「ディズニーリゾート」の宜野湾市誘致に協力を要請。菅氏は「政府として全力で取り組んでいくことをお誓いしたい」と述べた。2016年1月24日の市長選に向け、自民党県連が推す佐喜真は安倍政権とのパイプの強さを強調。「ディズニー、ディズニー、ディズニー。みんなでつくりましょうよ」と地元振興策を訴え、翁長知事が推す新顔候補に勝利した。
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