ホームレス7260人。ハワイはアメリカのどの州よりもホームレスの割合が高い。今ここでは、「ホームレスの数をゼロにする」という使命を掲げた“移動式”の支援センターが活躍している。
支援センターを運営しているのはNPO「インスティテュート・オブ・ヒューマン・サービス(IHS)」。代表のキモ・カーヴァロー氏によると、街の中心にある支援センターでホームレスの人たちを待つだけでは問題は解決しなかったため、彼らがいる場所に出向くことにしたという。
アラモアナ・ビーチパークで水を飲むホームレスの男性。
IHSの移動部隊は、2015年10月から、フード・バンクや教会、ホームレスの支援施設などに出向いて、仕事を探すと言った援助を始めた。
資金は民間からの寄付とホノルル市からの補助金で賄われている。資金を使って買ったのが、15人乗りのワゴン車だ。
仕事を紹介する、移動を助ける、身分証明書や出生証明書を取得する、履歴書を書く手伝いをする、面接の練習をする、仕事を続ける、コンピューターや携帯電話を提供する、散髪する、清潔な服を手に入れる……支援の内容は様々だ。また、雇用する側が、身元調査や薬物テストをする際の手助けもする。
IHSの助けを借りて職を得たホームレスの数は、2013年から422人にのぼる。
「ホームレスの人はただ働きたくないんだ、とか怠け者だ、といったレッテルを張られがちですが、そんなことは全くありません」と、カーヴァローさんは述べている。
「100%やる気があり、働くことができる人なら、平均一ヵ月もすれば仕事をみつけます」
ホームレスの状態で仕事を探すのは、とても難しい。HSで雇用と地域サービスプログラムを担当しているノーベンバー・モリスさんは、ハワイの公共ラジオで、こう語っている。
「外で寝泊まりするのは、とてもつらいことです。強盗にあったり、物を盗まれたりしますし、薬物依存や心の病を抱えていれば、就職支援より先に、その問題を解決しなければなりません」
「私たちは、働くことができる人たちを中心にサポートしてます。働く準備ができていない人たちには、まずは一緒に準備をします。準備が整えば、仕事に就くために、できる限りの支援をします」
APは、2014年から2015年にかけて、ハワイでは、支援施設に属さないホームレスの人口が23%増加したと伝えている。2015年10月には、ハワイのデービット・イゲ州知事が緊急事態を宣言した。
移動サポートセンターの目標は、オアフ島のホームレスをゼロにすることだ。カーヴァローさんはハフポストUS版にこう語っている。
「職を持てば、住む場所を持てるようになるでしょう。ホームレスの人たちを道から家へと移動させ、最終的には自給自足の生活をしてもらうのを目指しています」
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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