マララさんに勇気づけられたシリア難民の少女が、ヨルダンで始めたこと。

難民キャンプに到着した時、ホシャンさんは新しい友人をつくることに関心があった。しかし教室で、困った問題に直面した。

オマイマ・ホシャンさんは、ヨルダンのザータリ難民キャンプで、児童婚の反対運動を行なっている。(ANNA SAKKAB / UNHCR)

オマイマ・ホシャンさんがシリア内戦のために家族と逃げなければならなくなったのは、彼女が11歳の時だった。一家は2012年にシリアの首都ダマスカスを離れ、世界最大級のキャンプの一つ、ヨルダンのザータリ難民キャンプに避難した。

キャンプに到着した時、ホシャンさんは、勉強を再開して新しい友人をつくることに関心があった。しかし教室で、彼女は困った問題に直面した。

「6年生になった時、女の子たちが、12歳か13歳の幼い年齢で結婚する話を聞くようになりました。彼女たちは学校に来ては、別れの挨拶をしたものでした」。15歳になったホシャンさんは4月、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で語った。「彼女たちは大きな間違いを犯している、と思ったことを覚えています」。

親しい友人の一人だったバスマさん(既に名前は変わってしまったが)が、「14歳で結婚することになっている」と打ち明けた時、ホシャンさんの怒りは頂点に達し、ホシャンさんを行動に駆り立てた。

「私たちはいつも一緒でした。彼女は私たちのクラスで、最も優秀な生徒の一人でした」とホシャンさんは振り返った。「彼女は結婚を望んでいませんでしたが、彼女の両親は、それが彼女にとって最善の選択肢だと思っていました」。

ザータリ難民キャンプで生活するシリアの避難民の中で児童婚の数が増大している。(THOMAS KOEHLER VIA GETTY IMAGES)

バスマさんは結婚し、学校を退学した。ホシャンさんは二度と彼女に会うことはなかった。自分は決して同じ運命に耐えることがないようにしようと、ホシャンさんは誓った。そして、これ以上キャンプ内で児童婚が増えるのを避けるために、自分でできる全てのことを試みた。

2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの存在が、ホシャンさんを勇気づけた。母親がくれたマララさんの自伝「私はマララ」が、きっかけだった。

ホシャンさんは児童婚のリスクを調査し、友人と同級生に、その情報を親たちと共有するよう促した。

また、ホシャンさんは同年代の少女たちのための絵画教室や音楽、演劇のワークショップを組織し、アートをはじめとする創造的なトレーニングを通じて、この問題に立ち向かおうとした。少女たちが児童婚を拒絶し、代わりに教育を求めるよう説得することは上手くいっているとホシャンさんは信じている。

この15歳の少女は、キャンプでホシャンさんの絵画教室から恩恵を受けた避難民の一人だ。(ANNIE SAKKAB / UNHCR)

シリアでは、内戦前も児童婚が行われていた。2011年には、18歳未満のシリアの少女たちの13%が結婚していたと推定されている。しかし、ロンドンを拠点とする国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は、ヨルダンにおけるシリア避難民の児童婚率が「“驚異的に”増加した」と報告。登録されているだけでも、18歳未満の花嫁が結婚した割合は、2011年の11%から2013年には25%にまで上昇したとされる。国連児童基金(UNICEF)の報告書では、2014年の第一四半期ではさらに、31.7%まで増加したことが明らかになった。

セーブ・ザ・チルドレンの報告書は、児童婚がシリアの難民キャンプ、そしてイラクとレバノンのコミュニティーで増加し続けていることも示唆している

ヨルダンの法律では、結婚は18歳から可能となる。しかし、UNICEFによると、この王国で結婚した人の総人数はここ10年間、子供の人数を含んでいるものだという。この国では10人の少女のうち1人以上が、18歳になる前に結婚しており、これは、ヨルダンにいるシリア避難民の少女たちの中で結婚率が上昇していると共に、児童婚が一般的に容認されていることを意味する。

UNICEFがヨルダンで行なった調査では、取材対象となった全ての宗教的指導者たち(シェイク(導師)、イマーム(指導者)、 シャリア法の裁判官)が、イスラムの教義・思想の観点から「児童婚は容認できる」と述べた

セーブ・ザ・チルドレンは、両親が娘たちの児童婚を決める理由についても紹介。それらのなかには、食い扶持を減らすことや、性的暴力から少女たちを守ることが含まれていた。

しかしホシャンさんは、児童婚の影響について、これらの理由とは完全に異なる見方をしている。少女が若くして結婚すると「彼女たちの将来は失われ、破滅させられる」とUNCHRに述べた。「これこそが、私が児童婚を許せない理由なのです」

ホシャンさんは、いつか自分も結婚したいと考えているが、「それは教育を受けた後だ」と語った。「できることなら、結婚後はもうザータリには住みたくないです」

「早い児童婚」と題名のついたスケッチ。(ANNIE SAKKAB / UNHCR)

オマイマ・ホシャンさん(ANNIE SAKKAB / UNHCR)

若い妻の家庭内暴力を記録したスケッチ。(ANNIE SAKKAB / UNHCR)

ホシャンさんは、彼女の生徒の一人の話に耳を傾けている。(ANNIE SAKKAB / UNHCR)

オマイマ・ホシャンさん(ANNIE SAKKAB / UNHCR)

この記事は最初にハフポストスペイン版に掲載され、その後ハフポストUS版に翻訳・掲載されたものを翻訳しました。

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