スタンフォード大の元学生ブロック・ターナーにレイプされた女性、勇気ある手記を発表

「サバイバーは、単なる生存者ではなく、強く生きていこうとする意志ある者なのです」
The Huffington Post

元スタンフォード大生で有望な水泳選手だったブロック・ターナーにレイプされた女性が11月1日の朝、ファッション誌『グラマー』に手記を発表した。冒頭にはこう書かれている。

「最初から、最高の筋書きだと言われました」

注目を集める存在になれて良かったじゃないか、という中傷だ。

この若い女性(裁判では匿名のため「エミリー・ドウ」と呼ばれる)は2015年1月、スタンフォード大学でのパーティ後、ゴミ箱の裏で意識がないままターナーからレイプされた。ターナーは2016年3月に3件の強姦罪で訴追され、サンタクララ郡最高裁判所で6カ月の禁錮刑を言い渡されたが、「禁錮刑は彼に深刻な影響を与える」というアーロン・パースキー判事の「温情」で3カ月に減刑され、釈放された。

「私は辛うじて克服しようとしています。ですが、運がいいと言われたこともあります。VIPみたいだねって」と、このサバイバー(性暴力を乗り越える人々)は『グラマー』に書いている。「1年間、シミの付いたシーツ、悪臭を放つ水道、バケツ1つしかないホテルの部屋に泊まって、接客係から『素晴らしいお部屋ですよ! だって他の部屋にはバケツが付いていないんですから』と言われているようなものです」

3月、この女性は勇敢にも自分をレイプした相手に向かって、陳述書を読み上げた。数カ月後、「バズフィード」が彼女の陳述書を掲載すると、すぐにアメリカ全土で話題を集めた。著名人、政治家、記者らが若い彼女の陳述書を声に出して読んだ。アメリカ大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏、そしてジョー・バイデン副大統領は、恐ろしい経験をしたにも関わらず、勇気ある決断をした彼女を称えた。

手記の前書きで、グラマーのシンディ・リーヴ編集長はこの女性の勇気を称え、『グラマー』のウーマン・オブ・ザ・イヤーに選んだことを発表した。

女性が被害者影響報告書の中で性暴力やレイプカルチャーについて語った言葉は、腹をえぐられるようなものだった。そして、『グラマー』に掲載された新たな手記でも同じことが強調された。

バズフィードが陳述書を掲載するために連絡を取ったとき、彼女は不安を口にした。掲載後、数百万人が手記を読み、自分の体験がさらされることを。そして、人々が自分の話に深く関心を寄せ、驚き、安堵することをを。

「私の手記が発表されると、目を背ける人は誰もいませんでした。誰一人として『見ないようにしよう。あまりにも残酷だ。あまりにも悲しい』とは言いませんでした。誰もが辛い箇所も読み進んでくれ、最後まで目を通してくれました。すべての感情を受け止めてくれたのです」

彼女はサバイバーが正義を得るために必要なこと、そして、アメリカという国が陰湿なレイプカルチャーを深く理解するために必要なことを説明している。

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「女性は酒など飲んではならないし、より身を正し、自分に厳しくなければならない」それが答えだと思っていたら、そうした女の子は恐怖に備えて体を鍛え、何枚も重ね着して、目をいつもカッと大きく見開いているほうがよいでしょう。そんなのは解決策にはなりません。アーロン・パースキー判事が正義という言葉を封じ、ブロック・ターナーがそれぞれの罪につき1カ月の刑を受けても、解決しません。私たち全員が危害を与えない、他人に暴力を振るわないことを第一に考え、加害者の責任を追及し、今回の判決を撤回する運動で「サバイバーにもっと目を向けるべきだ」ということが明らかになって初めて、解決の糸口がつかめるのです。

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彼女は大切な言葉で手記を終わらせている。彼女は読者に、「性暴力被害者は、同情なんていらないくらい強いサバイバーだ」と訴えている。

「性暴力被害者は単なる被害者ではありません。痛ましい後遺症が残るだけの、もろい存在ではないのです」と彼女は書いた。「性暴力被害者はサバイバーです。そしてサバイバーは、単なる生存者ではなく、強く生きていこうとする意志ある者なのです」

この女性の力強い手記の全文は『グラマー』で読むことができる。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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