日常生活の兆しが、ゆっくりとアレッポに戻っている――何百万もの人々が清潔な水など基本的な物資を入手できない現実はあるが、シリア北部の都市アレッポは、2016年末に政府軍が反政府勢力から奪還した。
国連のステファン・ドゥジャリック報道官は2月6日の記者会見で、1月半ばにIS(イスラム国)が水の供給施設を封鎖して以来、アレッポとその周辺地域にいるおよそ180万人の住民が主要な水の供給源から遮断されていると語った。
国連児童基金(UNICEF)は1000万リットル以上の水を毎日トラックで配給していると、シリアのUNICEFの主任現地職員ラデク・ジェハック氏はハフィントンポストUS版に語った。
アレッポ東部のアル・サクール地区でがれきに腰掛けながら、戦争で残された不発弾の危険性や、不発弾を特定して報告する方法について、ユニセフ応援ボランティアから配られたマニュアルを見直す子供たち。KHUDR AL- ISSA/UNICEF
ジェハック氏によると、「水の供給施設を取り戻すことが一番の優先事項だ」という。ジェハック氏らのチームはこれ以外にも様々なプロジェクトに率先して取り組んでいる。
「学校を修復して、子供たちを学校に呼び戻しています」と、ジェハック氏は語った。「子供たちは2〜3年、あるいは4年も学校から離れています。その遅れを取り戻すための活動です」
アレッポはかつて人口200万人以上の都市だったが、バッシャール・アサド大統領の政府軍と反政府勢力が長年にわたって繰り広げた内戦で破壊しつくされた。何十万もの人々が国を脱出し、何千もの人々が命を落とした。
教室はとても混雑しているので、子供たちは交代で学校に通わなければならないし、教師自身も内戦で精神的ショックを負っている、とジェハック氏は言った。
子供たちは、学校にいない時でもUNICEFが開設した70カ所の子供用サービス・スペースに通うことができるという。そこでは子供たちがやって来て遊ぶこともできる。同時にUNICEFはこうした子供たちの支援に取り組み、家族の問題を解決する。
またUNICEFは、地雷や不発弾があふれる環境で安全を保つ方法を子供たちに教えている。
UNICEF応援ボランティアは各世帯を戸別訪問し、子供たちや若者、親たちに対して戦争の残骸がもたらす危険性を語っている。KHUDR AL- ISSA/UNICEF
「以前は、今に比べてそれほど危険ではなかったかもしれません。でも今では、新たにアクセス可能となった地域に、より多くの人々や子供たちが出入りします」と、ジェハック氏は語った。
ジェハック氏によると、政府軍がアレッポを奪還して以降の2カ月半で、UNICEFは6万人以上の人々に爆発物と危険性のないものの違いを指導してきたという。「こうした情報で、人々の命を救えるのです」
UNICEFではさらに、幼児や母親向けに健康と予防接種のための診療所も開設した。診療所では若者が「信仰を取り戻せるよう」精神面を回復させるトレーニングにも取り組んでいる。
これから最も大変なのは、アレッポをがれきの街に一変させた内戦のせいで、国内で難民となっている何十万もの人々を支援することだという。
「国内の難民には電気もありませんし、自宅では水も使えないので寒さにさらされるのです」と、ジェハック氏は語った。「窓もなければ、扉もありません。今一番大きな問題は、寒さです。そういった場所で生活するのは極めて困難ですが、それでも彼らは自宅に戻り、新しい生活を築き上げたいと願っているのです」
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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