バングラデシュで、難病を患った子どもを安楽死させてほしいと父親が願い出たことが世界から注目を集めたのをきっかけに、インドの医療機関が無料で治療の提供を申し出た。AFP通信などが報じた。
果物商のトファザル・ホサイン氏が2017年1月、地元政府に対して2人の息子と孫の安楽死を認めるよう願い出ると、保守的なバングラデシュ国内で話題を呼んだ。
この3人は、ホサイン氏の24歳と14歳の息子と、8歳の孫で、全員が「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」を患っている。筋肉が徐々に衰えていくという珍しい遺伝子疾患で、発症者が30歳を超えて生存するのは稀だという。
インドのニュースサイト「Press Trust India」(PTI)によると、事情を知ったムンバイにある医療機関が、インド政府を通じて治療の提供を提案。これまでに何百人の患者の症状を改善させた最新の幹細胞治療を行うことになった。
医療機関は4月4日、3人の尻の骨の骨髄から幹細胞を取り出し、必要な処理をした後で体内に戻すという治療を施した。PTIの取材に対し、「新聞記事でホサイン氏の家族のことを知り、私たちが専門で扱っている病気だったので連絡を取った。3人の身体が治療にどのような反応を示すのか、結果を待つだけだ」と語った。
ホサイン氏は、AFP通信の取材に対し「この治療が息子や孫にとって最後の望みで、アラーの加護により、3人が回復することを願っている」と話した。
ホサイン氏の家族を支援したのは、医療機関だけではなかった。PTIによると、エア・インディアは声明で、家族が現地に治療を受けに行くことができるよう、同行者を含めた計6人分のムンバイ–カルカッタ間の往復航空券を無償で提供したと発表した。
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