シリアの化学兵器で双子の赤ちゃんを失った父親、自らの手で埋葬する(動画)

「さよなら、いとしい子供たち」

【閲覧注意:この記事には子供の遺体写真が含まれます】

「さよなら、いとしい子供たち」。アブデル・ハミード・アルユセフさんは幼い子供たち、アハメドちゃんとアーヤちゃんの遺体にすがりながらささやき、最後に2人をぎゅっと抱きしめた。「さようなら」

シリア北西部イドリブ県ハンシャイフンに住むアルユセフさんは深い悲しみに暮れ、立っているのがやっとのようだった。悲しみに打ちひしがれながら、生後9カ月だった双子の子供たちを、自らの手でシリア国内の集団墓地に埋葬した。亡くなったアルユセフさんの兄弟姉妹や妻のダラールさんもそばで眠る。

イドリブ県の化学兵器攻撃によって、アルユセフさんは双子の子供と妻を含め22人の親族を失った。

アルユセフさんは「ダラール、子供たちを頼んだよ」と泣きながら墓石に語りかけた。「私は誰も救えませんでした。みんな死んでしまったんです」

AP通信によると、4月4日の早朝、戦闘機が反体制派が支配するハンシャイフンを毒ガスで攻撃した。アルユセフさんはこの攻撃で、22人の親族を亡くした。この攻撃は戦争犯罪に当たるとみられている。その後複数の空爆によって、被害者が治療を受ける近隣の病院も破壊された。

シリアのバッシャール・アサド大統領は政府軍の関与を否定しているが、少なくとも子供27人を含む72人の市民の命を奪った今回の虐殺行為への関与が疑われている。

アルユセフさんはインタビューで「家族のところへ向かう途中、何人か手助けしました」と、当時の悲劇を思い出しながら語った。「人々が路上に倒れていて、私は何が起きたのかわかりませんでした。何か臭いがするように感じましたが、まさかこんなことになるなんて。それから人々は口から泡を噴き始めたんです」

動画では、父親のアブデル・ハミード・アルユセフさんが、化学兵器の攻撃で死亡した双子の娘を抱きかかえている。

世界保健機関(WHO)は、2013年にダマスカス近郊で1700人が殺害されたサリン攻撃を連想させる、使用が禁じられた神経ガスが使われたと断定した

アメリカのドナルド・トランプ大統領は5日、各国の首脳陣が非難する声に同調し、「このような『アサド政権の凶悪な行為』は容認できない」と批判した。トランプ政権は、今回の攻撃がバラク・オバマ前大統領が「弱腰」だったせいだと批判した。

有毒ガスとみられる攻撃で犠牲になった人を埋葬するシリアの人々。2017年4月5日、シリア・イドリブ県北西部にある反政府派支配地域近郊のハンシャイフンで。FADI AL-HALABI VIA GETTY IMAGES

シリアでは化学兵器を使用した攻撃が続いており、多くの一般市民が犠牲になっている。活動家たちは、大国が動かなければ何も変わらないと再び警告している。国連安全保障理事会決議はシリアの残虐行為に説明責任を求めているが、ロシアと中国は何度も拒否権を行使している。

国際NGO「人権のための医師団」のエリーズ・ベイカーさんは「このような攻撃は正義と説明責任がない限り、ずっと続くでしょう」とハフィントンポストUS版のインタビューで述べた。「紛争は7年目になりますが、国際社会はまだ有効な対応策を示していません」

シリアでは激しい内戦で人口の半分以上が殺害されたり、負傷するか住む場所を追われ、解決策の糸口は見えない。現在支援を必要とする人は約1350万人にのぼり、そのうち580万人が子供だ。

「おじいちゃんが座っていて、苦しそうにしているのを見ました」13歳の少年はシリアの化学兵器攻撃で19人の親族を亡くした。

13歳のマージン・ユーシフくんは、4日のガス攻撃からかろうじて生き延びたが、アルユセフさんと同じように、目の前で愛する人たちが呼吸困難に陥り、死んでいくのを目にした。

マージンくんはCNNに「おじいちゃんの家の前で爆発したのが見えました。裸足でおじいちゃんの家に走って行ったら、めまいがしました」と語った。マージンくんも親族19人が亡くなったという。

55歳の祖父アイシャ・アル・ティラウィさんは、負傷者リストに入っていた。

マージンくんの祖母はトルコ近くの病院のベッドの上でCNNの取材を受け、「マージンは自分の祖父を起こそうとしました」と語った。しかし祖父は今回の攻撃で亡くなったという。「家族全員が殺されました」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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