「ヘルプマーク」という言葉が、ネット上で話題になっている。
【ヘルプマーク】義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助が必要な方のためのマークです。このマークを見かけたら、電車内で席を譲るなど思いやりのある行動をお願いします。https://t.co/SwqSIxtKEJpic.twitter.com/GFB55vh0lv
— 東京都福祉保健局 (@tocho_fukuho) 2017年6月27日
「ヘルプマーク」とは、何なのか
「ヘルプマーク」は、内臓疾患や難病の人、義足や人工関節を使用している人など、外見からは分かりにくいが助けを必要としている人のために制定されたマークだ。2012年に東京都が作成した。
都障害者施策推進部計画課の担当者は、このマークを作成した意図について「このマークを付けていることで、周りの方々からなるべく支援が得られるようにと作成しました」と語っている。
制定のきっかけは2011年の東京都議会だった。人工関節を使用している都議が、「内臓疾患を抱えている人など、助けが必要でも外見がわかりづらい人が優先席に座っていると、辛い目にあうことが多い。何らかの支援が必要ではないか」と提案した。
これを受けて東京都は2012年度にヘルプマークを制定。配布と普及に取り組んでいる。
赤地に白十字とハートマーク――。一目でわかるデザインは、日本グラフィックデザイナー協会の協力で作成した。都の担当者は「赤色と+マークは『助けを必要としている』という意味、ハートマークは『助ける気持ち』を意味しています」と語る。
都では、都営交通(都営地下鉄の各駅や都営バスの営業所など)で配布。都営交通の車両内等にポスターを掲示するなどで普及・啓発に取り組んでいる。
東京都から始まったヘルプマークは青森県、京都府、滋賀県、奈良県、徳島県、神奈川県など各地で導入が進む。経済産業省も7月、案内用図記号を規定する国内規格(JIS)改正で、ヘルプマークを規格に追加する見通しだ。
その一方で、外見から分かりづらい慢性疾患を抱えている人や精神疾患・知的障害の人などは、ヘルプマークをつけていても周りから理解されにくいと感じることがあるようだ。
Twitter上では「ヘルプマークをつけていたけど、優先席で譲ってもらえる確率は3回に1回くらい」「これをつけていると嫌がらせの標的にされると聞いた」など、認知度の低さを嘆く声も出ている。
ヘルプマークを身につけている人を見かけたら、どうすれば良いのだろうか。東京都福祉保健局では以下のように呼びかけている。
電車・バスの中で、席をお譲りください。
外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。 また、外見からはわからないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けることがあります。
駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をお願いします。
交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。
災害時は、安全に避難するための支援をお願いします。
視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由者等の自力での迅速な避難が困難な方がいます。