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2018年08月03日 11時58分 JST | 更新 2018年08月03日 13時26分 JST

東京医大以外でも「女子合格率、医学部だけ低いのは不自然」女性医師が指摘 

「医学部以外の学部の入試ではすでに、女子学生の合格率が男子学生を上回ってます」

種部 恭子さん
種部 恭子さん
種部 恭子さん

東京医科大が入学試験で女子受験者を一律減点していたと読売新聞など各社が8月2日に報じた。

大学医学部の女子合格率の偏りは、以前から指摘されていた。

女性医師らで作る「日本女性医療者連合」のサイトには、「女性医師を『増やさない』というガラスの天井」という論考が掲載されている。

この論考を書いた、同会理事で「女性クリニックWe富山」(富山市)種部恭子院長に、今回の報道や論考について話を聞いた。

15年間も3割台前半の「不自然」

「医師国家試験」の合格者に占める女性の割合は90年代急速に増え、2000年には3割台に乗りました。この時点では、じきに4割も超え、将来的には医師の働き方も改善されていくだろうと期待していました。

ところが、2016年度まで15年間、ずっと3割前半のまま変わらずに来ています。国家試験の受験者に占める女性の割合も3割台で、合格率は女性の方が高い。

では、その上流にある医学部入試ではどうなのか、「学校基本調査」を過去にさかのぼって調べました。

医師国家試験の男女比率の推移=「女性医師を「増やさない」というガラスの天井 ~医師・医学生の女性比率に関する分析」より抜粋
医師国家試験の男女比率の推移=「女性医師を「増やさない」というガラスの天井 ~医師・医学生の女性比率に関する分析」より抜粋

医学部だけ、女子の合格率が低いまま

下のグラフは学部別の男女の合格率を比べたグラフです。女性と男性の合格率が同じなら1.0、女性の合格率が多いなら1.0以上になります。

理学部は男女の合格率はほぼ並び、工学部はすでに女性の合格率が男性を上回っています。一方、女子の合格率が男子より低いのは医学部だけになっています。全体の流れからすれば、不自然な傾向だと感じました。

種部 恭子さん

女子の入試合格率が低いのは、東京医科大のような私立だけではありません。国立、公立もです(下のグラフ参照)

医学部合格率の男女比=「女性医師を「増やさない」というガラスの天井 ~医師・医学生の女性比率に関する分析」より抜粋

日本の医療界は「男性中心のまま」

アメリカでは、病院でも研究機関でも意志決定の層に女性が日本よりもずっと多いこともあり、性別関係なく働ける環境や仕組みに改善されてきました。

ところが日本の医療界では「男女共同参画」自体、いまだにイロモノ扱いで、学会も厚生労働省も医師会も、女性医師のドロップアウトにつながっている根本的、構造的なジェンダーハラスメント問題に切り込もうとしてきませんでした。ほとんど何も変わっていないと思います。

今回の東京医大の問題では医師不足の原因が、女性医師の離職であるかのように言われているのが腹立たしい限りです。

日本の医療は、圧倒的多数の男性中心に発展してきたため、人材や労働の環境で多様性に欠けています。医師の過重労働が変わらないのも男性医師が、家事育児などの「家庭責任」を担わずにきたことも大きい。医師同士が結婚した後、キャリアからフェードアウトしていくのは、ほとんどが女性です。

日本の医療は公的資金で賄われ、診療報酬を政府がコントロールし、大学の医学部の定員も医療政策に基づいて決められています。「公共財」である医療を担う人材の選抜で、恣意的に男女比を操作しているのが事実なら、許されないことだと考えています。