3月は年度の節目。ミャンマーでも、帰任者の送別会が連日のように開催されています。どの国にいても避けられない、別れの季節です。
一方でこの春から新たにミャンマーへ赴任が決まった人、またミャンマーへの居住を考えている人もたくさんいるのではないでしょうか。今回は、ヤンゴンの家探しでおすすめしたいエリアをご紹介します。
1. ダウンタウン
イギリス統治時代に整備され、それ以来長きに渡ってヤンゴンの商業の中心地であるダウンタウンは、生活に必要なあらゆるお店が集結しているエリア。生鮮品を取り扱うマーケットから、眼鏡屋、印刷屋、鍵屋、手芸屋などありとあらゆる商店が集結しています。
また中心部には最近オープンしたばかりの商業施設「スーレー・スクウェア」があり、地下には輸入品の品揃えも豊富なスーパー「マーケットプレイス」があってとても便利です。年内には建設中の複合開発「ジャンクション・シティー」内に新しい商業施設もオープンする予定で、ますます便利なエリアとなりそう!
ダウンタウンからははみ出ますが、線路を渡った北側にあるヨーミンジー、ナワディー通りの周辺も、ここ数年でおしゃれなカフェやレストランが一気に増えている、外国人に人気のあるエリアです。便利さ、ヤンゴンらしい喧騒を求める人、コロニアル建築に住んでみたい人などに向いています。
一方でデメリットは、人口密度が極めて高く、終日賑やかなこと、インド人街チャイナタウン等エスニックタウンが多くあり、関連施設も多いので好みが分かれることなどが挙げられます。
2. バハン
閑静な高級住宅街とカンドージ湖を擁するバハンタウンシップには日本大使館があり、駐在員が多く住む代表的サービスアパートが何棟か位置するなど、赴任者には馴染み深いエリアです。ヤンゴンを代表する名所シュエダゴンパゴダからも近く、眺望も楽しめます。
先述の「マーケットプレイス」に加えて、日本と韓国の食材を豊富に取り扱う「プロマート」もあり、また外国人向けのレストランも多いので生活もしやすいです。加えて、ロケーション的にもダウンタウンと後述のヤンキンの中間に位置しているので、どのエリアにも行きやすく、利便性が高いといえます。
懸念材料は、総じて家賃が高めということでしょうか(いくつかのサービスアパートの家賃は六本木ヒルズにも匹敵するほど)。
3. レーダン周辺
インヤー湖の南西、ヤンゴン大学に隣接するこのエリアは、ローカルの人々が多く住み、ショッピングの目的地にもなっている、活気溢れる場所です。
このエリアを南北に貫通するヤンゴンの基幹道路のひとつ、ピィーロード沿いには、5つ星ホテルや、地元の人たちで賑わう商業施設「ジャンクション・スクウェア」(上の画像)や「レーダン・センター」があります。また少し北上すると「プロマート」や「マーケットプレイス」もあるので買い物には不便を感じません。
一方で路地に入ると路上マーケットもとても賑わっていて、野菜や肉魚から卵、米、ちょっとした日用品までひととおり揃います。
デメリットとしては、ローカル色が強いエリアなのでそれを良しとしない方には少しストレスかもしれません。また、特にレーダンの交差点は時間帯によって渋滞がひどいので、移動にストレスを感じることが多めかもしれません。
4. マヤンゴン
インヤー湖とその北側に位置するマヤンゴン・タウンシップは、空港から中心市街地の中間に位置する、比較的閑静なエリアです。空港から近いほか、日本人医師のいるビクトリア病院やSOSインターナショナルクリニックもこのエリアにあります。特に医療事情の芳しくないミャンマーでは信頼できる病院へのアクセスは重要です。
このエリアでは新築マンションが次々と開発されていて、外国人も住みやすい物件がどんどん増えていくことが予想されます。
出張の多い方、医療、落ち着いた環境を重視するには適した環境だと思います。
ただ、ダウンタウン等ヤンゴン南側に位置する商業区から少々距離があること、マヤンゴンと市街地を隔てるパラミロードは、ヤンゴンの東西の郊外からの交通の結節点であり、渋滞が慢性化していることは懸念材料
最後に
以上が4つ、メジャーな居住エリアのご紹介でした。
ところで、そう言う私はどこに住んでいるのか...... 実は私は上記のどこでもないタンリンという街に住んでいます。
タンリンは、1番で挙げたダウンタウンから南東に15kmほど下ったところにある街。中でも私の住むスターシティー(上の画像)は、タンリン内で唯一、駐在員の生活に堪えうるクオリティを有した、総面積55ha(東京ドーム約12個ぶん)の複合開発プロジェクトです。日本が官民を挙げて開発主導するティラワ経済特区への道中に位置することもあり、日本人も多く住んでいます。
ミャンマー生活では、日本では考えられない多くのトラブルが襲いかかってくるのですが(長時間の停電、水道の質、浸水、衛生、騒音、野良犬など)、スターシティーはそれをほぼカバーしている、便利で清潔、安心の街です。
スーパーやレストラン、クリニック、銀行、年内にはインターナショナルスクールも開校予定と、生活に必要な機能も概ね揃っています。手入れの行き届いたランドスケープなど、管理環境もしっかりしていて、ここがヤンゴンであることを忘れさせてくれます。
ただ、一歩敷地の外に出るとそこは田舎。市街地に出るにも若干距離があり、交通手段の乏しいミャンマーでは移動の大変さはなかなかのものです。
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発展途上国のミャンマー。ヤンゴンは最大商業都市ですが、そうはいっても家選びにはたくさんのハードルが伴い、エリアも物件も一長一短、得られるものもそれぞれです。
一方で、混沌とした街は勢いのある証拠。思いきってそんなコミュニティに飛び込んで、ヤンゴンライフをいろいろ体感してみるのも楽しみ方のひとつです。
またミャンマーの法律で、外国人の賃貸は最大1年と決められているので、1年毎の契約更新のタイミングで新しい場所に引っ越しをするのも手かもしれません。
いろいろと奥深いヤンゴンライフ、ぜひお試しあれ!
ライター
大澤四季
一橋大学卒業後、森ビル株式会社に入社。住宅事業部や開発統括部で不動産管理運営、再開発、エリアマネジメント立ち上げの経験等を経た後、2015年11月、大学時代より毎年通い続けたミャンマーに移住。不動産開発プランナーとして、Yoma Strategic Holdings Ltd.(ミャンマーの複合企業SPAグループのSGX上場グループ会社)に勤務。
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