先だって3月8日朝、出勤するとオフィス中に紫色の風船が飾られていました。
何のお祝いかと思えば、各デスクの上に可愛いキャンディーと「Happy International Women's day」のメッセージが!
そこで初めて、国際女性デーという日の存在と、紫色が国際女性デーの公式カラーだということを知りました。
その日のチームミーティングは、サイエンスを学ぶ少女たちに「女性発明家の名前を挙げてみてください」と質問するショートムービーから始まりました。
若いうちから海外で働き暮らす経験をする価値の他にも、私は女性という観点から海外で働いて良かったと思うことが多々あります。
男性からの許容、家庭との両立がしやすい社会的環境が整っていることが、女性が活躍できることに大きく関係しているのだということを強く実感する日々です。
諸外国に学びたい「女性の活躍」
女性の活躍推進や平等については昨今、世界的な課題として取り上げられていますね。
しかしその中でも日本は特に、男女の雇用の平等や女性の活躍、家事・育児観の変化などの実現が遅れていることは、さまざまなデータや調査で証明されています。
世界経済フォーラム(WEF)のThe Global Gender Gap Reportは、世界各国の男女格差に関して毎年発表されるレポートです。
この調査では「経済活動の参加と機会」「教育」「健康と生存」「政治への関与」の4分野の男女格差を測定しています。
2015年の発表では、日本は総合順位101位。残念ながら、先進国の中ではとても低い順位です。
アジアの中ではフィリピンが7位でトップ、シンガポールは54位でした。
給与、参加レベル、および専門職での雇用が基準とされる「経済活動の参加と機会」という項目では、日本は106位、シンガポールは9位。
数字が表す通り、シンガポールでの女性のビジネス面での活躍、キャリアの充実ぶりを、私も肌で感じる者のひとりです。
そんな中、日本が42位と比較的上位に入った項目があります。
寿命と男女比を基準にした「健康と生存」です。
日本には健康で元気な女性が多いのに、社会的に彼女たちが活躍できていないという実態はちょっと悲しいですね。
その点、シンガポールの女性の活躍やキャリア形成の充実度は素晴らしいんです!
......と書くより、むしろランク下位の日本から来た私にとっては、シンガポールに限らず、女性のリーダーシップをみる機会が諸外国に多くあるように思えます。
たくましく素敵な先輩たちが、身近にたくさん
シンガポールで働くことで、女性の持続的なキャリア成長と家庭や子育てをうまく実現しているロールモデルを間近にたくさん見られるのも、良い経験です。
職場や友人を通して多くの女性マネジャーの活躍に触れる機会があり、女性のリーダーシップの在り方にも多様性が垣間見えます。
子育てをしながら、年々キャリアアップをしている韓国人女性。
アメリカ、香港、シンガポール、マレーシアの4ヶ国を若いうちから渡りトレーニングを供給しているアメリカ人女性。
シニアマネジャーとして働きながら母乳を冷凍する若いママ。
3人の幼い子どもを養いながら、会社では複数のチームを統括するママ。
▶ベビーカーをひとりで押す男性。そんな光景もよく目にする
子どもの写真をスマホの待ち受けにしつつ、現役でバリバリと働き組織に大きく貢献する姿は至る所にあります。
子育てをすることがキャリアの弊害になるのではなく、母親になった経験から生まれる寛容さ、能力や強さが職場で活かされる良い事例をごく自然に多く見られるのは、日本ではなかなかできない体験ではないかと思います。
女性が活躍できる社会的許容
多様性が尊重され、女性の活躍や子育てとの両立が従業員に自然に浸透していることが、私の職場で女性が能力を発揮し続けられる要因になっています。
ふだんの日常会話の中でも、男女の壁なくキャリアやビジネスについて同じグラウンドで意見交換したり、会話をはずませたりできるのは嬉しくもあります。
男性を含め、社会が、女性の活躍やキャリア発展に対して非常に寛容で前向きだと感じるのです。
シンガポールは1978年より外国人メイド政策を導入し、女性の社会参加を促しています。
子どものいない家庭や独身女性でもメイドサービスを利用するケースも珍しくなく、5世帯に1世帯がメイドを雇っていると言われています。
コンドミニアムには、メイドが住み込みで働けるように「メイド部屋」がついている物件もあります。
▶公園は子どもたちや世話をするメイドさんたちでにぎわう
女性が家庭で料理をつくるということもあまり聞きません。と言うより、シンガポール人はあまり料理をしません。
24時間オープンの食事処も多く、文化的に女性への家事・料理の期待値も高くない印象です。
キャリアと多様性ある生活を大切にしながら、将来の家庭や子育てを考えていく上で、海外に出てきたからこそ得た学びはたくさんあります。
参考になるお手本をたくさん見て、自分に合ったそれを実現しやすい環境の中に身を置くことは、男女双方にとってこれからの時代、大事なことかもしれません。
▶筆者・左下
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ライター
Erisa
平成元年生まれ。都内の大学を単位ギリで卒業後シンガポールに渡り、米リサーチ企業入社。2015年秋より米大手IT企業に転職し、新な成長痛に奮闘中。仕事も生活も、シンガポールでのいろんな人と文化に囲まれカラフルな日々。好きなものは、人・食べること・飲むこと・旅。
カフェとか可愛い要素皆無の海外就職の仕方、グローバルとキャリアについてのブログ『新卒海外就職啓蒙プロジェクト』
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