戦後70年の総理大臣談話は歴史的な文書

戦後70年の総理大臣談話は、歴史的な文書となるであろう。これまでのいかなる歴史談話よりも具体的かつ詳細に反省すべき内容、感謝すべき対象(国および国民)を明記した。

戦後70年の総理大臣談話は、歴史的な文書となるであろう。これまでのいかなる歴史談話よりも具体的かつ詳細に反省すべき内容、感謝すべき対象(国および国民)を明記した。そして、その反省に基づいて未来志向の決意を内外に鮮明にした。その上で、歴代政権の歴史認識が今後も揺るぎないことを再確認した。

特徴的なのは、次の三点であろう。

第一に、「国際秩序の挑戦者」という耳慣れないが国際関係論では重要な文言を使って、過去の反省とともに暗に中国に対する牽制を行っている点。第二に、謝罪外交に終止符を打った点。第三に、全体として英文調だということ。特に、後半部分の4段落連続で「この胸に刻み続けます」(We will engrave in our heart the past)に始まるくだりは、英文が先にあったような感覚に陥る。いずれにせよ、世界に向けて発信することを念頭に置いて作成されたということであろう。

それでもなお少々不満が残ったのは、大正から昭和にかけての我が国が国際秩序の挑戦者になってしまった原因を世界恐慌後のブロック経済化に求めている書きぶり。まるで外的要因にその非を転嫁しているように読めてしまい、二大政党の在り方、世論の激情、軍部の下克上など、内在的要因への省察が足りないように感じられた。

最後に一点、今回の談話に「台湾」が独立の政治主体として明記されたことにも私は感慨を禁じ得ない。 かくなる上で大事なことは、今後何世代にもわたってこの談話に込められた反省と感謝を受け継ぎ、言葉ではなく行動で我が国の誠意と精誠を尽くして行くことだと思う。私も日本国民の一人として、国政を預かる政治家として、歴史に対する責任を果たして行きたい。

衆議院議員 長島昭久

注目記事