弁護士に聞く!子供の「ネットいじめ」対処法と親が知っておくべきこととは?

ネットいじめにあっている子どもの多くが、親には打ち明けられていない...親御さんが子ども変化に気づくことが大切です。
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Sudowoodo via Getty Images
Children with smartphones illustration. Cartoon boy and girl using phones for texting, surfing internet or using social media.(イメージ写真)

埼玉県川口市で起きたネットいじめの事件を担当した弁護士の荒生先生に、株式会社マモルの隈有子代表の協力のもと、前回に引き続き、ネットいじめについてのお話しをして頂きました。今回は、「ネットいじめ」かも、と思った時の対処法を中心にご紹介します。

もしネットいじめにあっているかも、と思ったら 

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SOS(イメージ写真)

ネットいじめの内容によって、当然ながら対処の方法は変わってきます。基本は、まず親と子どもで問題点を共有し、学校に相談することです。
私のところにも、電話での相談があります。稀に、子ども本人が電話をかけてくることもあります。事務所で話を伺うのが原則なので、子どもから直接相談があっても、「まずは親御さんに話した上で、一緒に相談に来てくださいね」、と伝えます。場合によってイレギュラーではありますが、電話をかけてきた子どもに、その場でできるアドバイスをすることがあります。

なぜならほとんどのお子さんは、親御さんと一緒に相談に来るように言っても、来ないことが多いです。ネットいじめにあっている子どもの多くが、ご両親には打ち明けていない、打ち明けられない状態なのではないかと感じています。ですから、まず親御さんがお子さんの変化に気づき、いじめを受けている可能性はないか、どんなイジメを受けているのか、いわゆる「初動」の段階で親と子がしっかりと話し合い、今何が起きているのか、何が問題となっているのかを正確に把握することができるかがとても大事だと思います。

ネットのリスクは繰り返し教えることが必要

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Nick David via Getty Images
スマートフォンを使う子ども(イメージ写真)

ネットいじめの対処法から少し話題がずれますが、ネットいじめからお子さんを守るために保護者の皆さんにぜひ知って欲しいことがあります。ネットは日々進化していて、新しい情報をフォローしたりすることがとても大変です。今やスマホを持つこともネットで繋がることも日常と切り離せない現実なのですから、子どもからネットやSNSを隔絶するのではなく、子どもがネットやSNSを使うことを前提に、子どもたちが正しくそれを使えるようにするために親御さんがネット上のリスクを理解することは大変重要だと思います。そのためのツールとして、今では無料で入手できるものも沢山あります。

例えば、文科省や自治体からネットいじめに関する情報はリリースされていますし、ネット上のいじめは、「いじめ防止対策推進法」でも「いじめ」として定義されています。「ネットいじめ」の中身について知ろうと思えば、今ではインターネット上で多くの情報にアクセスすることができますので、子どもを守るために、まず親御さんがネットいじめについて学ぶことがとても重要です。その上で、お子さんがどんな状況でネットを利用しているか、どういったSNSを使っているか、年齢があがるにつれ全てを把握することは難しいとは思いますが、いざという時に困ることなく対応できるのではないかと思います。

また、ネット上での安易な書き込みや、いたずら半分で行ったことも、犯罪につながるような大変なこともあるんだ、と話しておくことも大事ですね。事例をあげて説明すると、お子さんにもわかりやすいのではないでしょうか。
インターネットは便利ですが、その反面のリスクを知ること、ネットに掲載された情報は半永久的に残ること、それを悪意のある人が利用することも可能だということ、自分の仲間、コミュニティだけで面白半分だったつもりが、自分のコントロールの及ばない範囲で拡散するリスクは常にあること、そういった点を、繰り返し、繰り返し教える必要があると思います。何度も聞かされるうちに、お子さんは、「そんなことわかってる」と言うかもしれませんが、それでも、スマホを与え、使わせる以上、危険性を喚起してあげることは、親としての役割のひとつと言えるのではないでしょうか。

ネットいじめがわかった時の対処法

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Westend61 via Getty Images
パソコン(イメージ写真)

ネットいじめは、誰もが被害者にも加害者にもなり得ます。
基本的には、学校に相談して解決法を探るのが最も望ましいと思います。そもそも未成年のSNS上のトラブルやいじめは、多くの場合誰がやったのか、相手がわかりやすいという特徴があります。狭いコミュニティ内で問題になることが多いですし、逆に言えば、全く無関係の第三者が関わっていることは多くはないでしょう。相手が誰か判明したら、早い段階で相手の親御さんと話をすることも必要になると思います。

学校側の対応を期待することが難しい、相手の親に連絡しようにもどうやっていいのかわからない、改善する兆しが見えてこない。そういう時には、私たちのような弁護士に相談することも一つの手段だと思います。法律事務所は敷居が高いと感じている人が多いかもしれませんが,まずは相談だけでもして頂ければと思います。専門家に話をするだけでも、問題点がハッキリとしたり、あちこちにちらばっている考えもまとまってくる利点もあります。

ネットいじめといっても、「バカ」「死ね」くらいの悪口だろうと思っていたら、実際はもっとひどい屈辱的なことや親の想像を超えるような酷いことが書かれている可能性もあります。そうなると両親がパニックになり、もうどうしていいかわからないという状況になることが多々あります。
弁護士の役割としては、お話を伺い、状況を整理して解決策を検討する。
私であれば、まずはイジメの証拠を集めましょうと伝えます。証拠もないとか、どこで見たかわからなくなった、とか、あるいはお子さん本人だと怖くて見られないというケースもありますが、証拠を保全することは重要です。なぜなら、学校に対してでも、警察に対してでも、実際にどういうことがあったか、説明をしなくてはならないからです。そのためにも、投稿された箇所をスクリーンショットを撮っておくなど、第三者にもネットいじめの現状を理解してもらうために、証拠集めは重要です。

親御さんが何をどうしたらいいのかわからないという場合でも、弁護士は、状況を整理して、必要があれば学校と話をすることもあります。あるいは親御さんに対して、学校とどう話せば、学校側がより理解してくれるか、といったこともアドバイスします。
以前、親御さんが学校側にどう問題点を伝えたらいいかわからない、と悩んでいたことがあったのですが、そのときは,「学校の先生から私のところへ電話をくれれば、私が状況を説明しますよ」、と対処したこともありました。

ネットいじめの程度にもよりますが、自殺にまで追い込まれてしまうほどひどいケースも、過去にはありました。親の手に負えない、学校や教育委員会と話してもうまくいかない、そうした場合には弁護士に話をしてみることを検討してもいいと思います。繰り返しになりますが、相談したからといってすぐに弁護士に委任しなければならないというものではないので、話をすることによって問題点を整理したり、解決策や手段を提示してもらう、そういう意味では、私たちのような弁護士に話をしてみることも選択肢として検討して頂ければと思います。

相手がわからないようなネットいじめにあったら

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Human finger

匿名掲示板などで、実名をさらされたり、まったく事実とは違うことを書かれてしまったにもかかわらず、相手が誰かがわからない場合もあります。
先ほど、LINEのような狭いコミュニティでやっている非公開の掲示板等であれば、比較的、投稿者が誰かわかりやすいと言いましたが、匿名性の高い掲示板はまた別の問題になります。この場合、まず通報フォームから管理者・サーバー等に連絡します。それで投稿が削除されればいいわけですが、中々削除されないケースもあります。こういったケースでは、弁護士が代理人として削除請求することにより、きちんと対応してもらえることもあります。

あまりにも悪質な投稿であるため、削除だけではなく、投稿者の特定(発信者の開示)を行いたい、という場面もあるかと思います。開示の請求は、まずは、掲示板の管理者・サーバーなどにIPアドレスの開示請求を行い,開示されたら、今度はそのIPアドレスからプロバイダなどの接続業者がわかるので、プロバイダに対して、契約者の情報を開示するよう求めることになります。発信者の開示はほとんど場合、裁判手続が必要です。
川口の事件を通じて、匿名だからって絶対にバレないとたかをくくってはいけない、ということを伝えることができたのではないかと思います。ネットいじめで戦う手段があることは知って頂ければと思います。
いずれにしても、弁護士と共に解決を探るというのは、ひとつの有効な選択肢であると言えます。

 

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今回、お話しを伺った荒生先生は弁護士として、ネットいじめのトラブル解決を行っているわけですが、先生ご自身も「ネットいじめは罪になるということを教えることで、予防になる。事前に予防することが大事。なぜなら、大きなトラブルになってからだと、弁護士に相談する、訴訟をする、ということになり大変だからです」とおっしゃっていました。

また、編集部と共に話を伺った株式会社マモルの齋藤さんは、いじめ通報サービスのマモルを運営しています。いじめ対応において重要なのは、いじめが起こる前に防ぐこと、小さなサインを逃さないことだと齋藤さんは繰り返し、提起しています。

親はどんなことをしてでも子どもを守りたいと思うものです。ネットいじめは、もともと詳しくない私たちにとっては、わかりづらい面もあります。
親として、ネットの使い方やリスクをきちんと学び、子どもにネット環境を与えるときには責任があるという心構えを持つこと、子どもにネットのリスクを教え、使い方をきちんと学ばせること。子どもがネットいじめにあっていないかサインを見逃さないようにすること、ネットいじめをされたら、学校へ連絡する、相手の親と話し合う、それらが難しい場合や改善しない場合には、弁護士の先生と相談する。

最終的には「子どもを守るために、親はどこまでも戦う」、今、いじめの問題はそこまで深い闇なのだということを感じた次第です。

荒生先生PROFILE

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HuffPost Japan
荒生祐樹弁護士

埼玉弁護士会会員。中小企業向けの法務,特にインターネットビジネス(webサイト制作に伴うトラブル,利用規約の作成等)個人情報保護などに関する事件やクレーマー対策等に力を入れている。2019年8月に「仮処分を活用した反社会的勢力対応の実務と書式第2版(民事法研究会・共著)」が公刊された。