【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズの外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回ははせおやさいさんが考える「抱負と目標の違い、そして目標を定量化することの意義」について。
目標や豊富、立てていますか?
こんにちは、はせおやさいです。
みなさんは目標や抱負を、決めていますか? 「今の自分がどんな行動をしていくか」というような、「今の自分のテーマ」を抱負として決めておくのはとても良いことではないかと思います。
というのも、「抱負を決める」という思考を通じて、「今の自分の状態」や「今の自分がどうなりたいか」を振り返り、「こういう指標でいこう!」と決めておくと、何かを選択する際の意思決定に役に立つから。「自分の方向性を定めておく」と言い換えてもいいかもしれません。
さて、「抱負」と似た使い方をされてはいるけれども、かなり違うのが「目標」です。何が違うの? という気もしますが、今回は「目標の立て方とその運用」について書いてみたいと思います。
目標、「ただふんわりと」決めてませんか?
「抱負」が「こうなりたい」という決意だとしたら、「目標」は「そのために何をどうやるか」を設定するものです。抱負も目標も、決めるときに重要なのは「そうなったあとの自分」をきちんとイメージしておくこと。
立ててはみたけど、まったく達成できる見込みのない目標に意味はありません。それは単に見栄を張っているだけで、自分をゴールに導くための指標として役に立っていないからです。
その目標が達成されたとき、自分はどういう人間になっているか? 何ができていて、何をやめることができているか? その結果、どんな変化が起きるだろうか? までイメージしてみましょう。
到達したいゴールがイメージができたら、あとはそのゴールに向け、自分の足元から攻略法を組み立て、実行に移すのみなのですが、それを継続するため重要になるのが「定量的な目標決め」です。
目標は「定量的」に決めるのが重要
さて目標を決めましょう、というとき重要なのは「定量的に」決めることです。定量的に決める、つまり「数値や数字で表せるもの」で決めるということ。
例えば「取引先の数を拡大したい」が抱負だとしたら、目標に落とした場合、「取引先の件数を現状30社から100社まで増やしたい」が分かりやすい目標かもしれません。
そしてさらに、「1年で30社から100社に増やすに当たり、1ヶ月当たり6社の新規受注を目指す。そのためには、1週間で5社以上の新規訪問を行う」まで落とし込めると、目標がさらに具体的なものに変化するかと思います。
この「数値に落とす作業」が重要なのは、細かい数値に落とすことで「行動をイメージできるようにする」ことができるからです。
「数値」に置き換えることで、未来が地続きになる
たとえばまったく数値の見当がつかない計画だとしても「仮で数値を置く」ことをしてみましょう。
対象が「10件」なのか「50件」なのか、「100件」「1000件」なのかでだいぶ計画が変わりますよね。この場合の「数値」は、「アウトラインをなんとなくつかむ」ためのものと考えてください。仮に数値を置き、そこから行動に落とすため逆算したほうが、理想と現実がどのくらい乖離しているか、判断しやすくなるからです。
1日は24時間しかありません。その上限がある24時間をどう使うか、仮で数値を置いて「何ができるか」と、「何ができないか」をイメージしてみてください。24時間しかないのに、やろうとすることが100時間かかるような目標だったらそもそも目標を考えなおしてください。
繰り返しますが、達成できる見込みがまったくない目標に意味はありません。
もちろん高い目標を設定し、現実とのかい離を埋めるために「工夫をする」イメージができたら行動に移せばよいのですが、無理をしすぎて、気持ちが折れてしまっても本末転倒ですよね。
そして計画を実行に移し、後から振り返ったとき、どのくらいの差があったかを見直しましょう。どのくらいの差があったかを振り返り、適正値を覚えていくことで、さらに見込みの精度が上がっていきます。見込みの精度が上がれば、「自分の限度」が把握できるようになり、さらに「できること」「できないこと」の判断が正しくできるようになります。
そのためにも、「数値を仮で置く」ことで見込みと予測を立て、着実に、今と未来を「地続き」のものにしてみてください。とても地味で面倒な作業かもしれませんが、そういう小さい積み重ねを繰り返すことでしか、未来って変えていけないんじゃないかなーと思ってます。
だまされたと思って、ぜひおためしくださいね!
今日はそんな感じです。
チャオ!
はせおやさいさんより「インターネットの備忘録」というブログを書いています。ブロガーズ・コラムでは、仕事を通じて他人とかかわることの楽しさ、おもしろさ、難しさみたいなことを書いていきたいと思います。今のところ唯一の女性なので、そのへんの視点も盛り込めるといいかなと思ってます。
「サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。
本記事は、2015年1月13日のサイボウズ式掲載記事「定量的でない目標に意味はない」より一部編集して転載しました。
イラスト:マツナガエイコ