飛行中に「穴」の開いたボーイング機が運航停止に。子どもがシャツを吸い取られたとの目撃情報も

窓があった場所に、ぽっかりと穴が開く航空機。専門家は「シートベルトを外していた乗客が窓際の席にいたら、まったく違う事態になっていただろう」と述べている
アラスカ航空のボーイング737Max9型機(2024年1月6日)
アラスカ航空のボーイング737Max9型機(2024年1月6日)
Stephen Brashear via Getty Images

アラスカ航空機に穴が開く事故が発生したことを受け、アメリカ連邦航空局は1月6日、同型のボーイング737Max9型機を運行停止して検査を行うよう命じた。

対象となるのは、アメリカの航空会社もしくはアメリカ国内を飛行するボーイング737Max9型機で、検査は1機あたり4~8時間を要し、171機が影響を受けるという。

事故が起きたのは1月5日にオレゴン州からカリフォルニア州に向かっていたアラスカ航空1282便で、機体の一部が吹き飛んだため、離陸から約6分後に上空約1万6000フィート(約4.9キロメートル)に達したところでポートランド国際空港に戻り、緊急着陸した。171人の乗客と6人の乗務員にけが人はいなかったという。

乗客がSNSに投稿した画像や動画には、窓があった機体の一部が失われ、ぽっかりと穴が開く様子がうつっている。

乗客の一人は「穴が空いた場所の窓側の席には誰も座っていなかったものの、真ん中と通路側の席に子どもと母親が座っており、客室乗務員がふたりを移動させた」とニューヨークタイムズに語っている。

別の乗客は「穴が空いた列に座っていた子どもはシャツを吸い取られ、母親が子ども外に出ないよう掴んでいた」と地元テレビ局KATUの取材で述べた。

けが人はいなかったものの、エンブリー・リドル航空大学のアンソニー・ブリックハウス教授(航空宇宙安全学)は「たまたまシートベルトを外していた乗客が窓際の席にいたら、まったく違う事態になっていただろう」とAP通信に話している。

フライト追跡サイトFlightRadar24によると、事故のあった航空機は11月11日に運航を開始し、事故があったフライトも含めて、飛行回数は145回だった。

今回の事故についてアラスカ航空のベン・ミニクッチCEOは「ボーイング社や当局と協力して事態の把握に努めており、詳細な情報が入り次第、最新情報をお伝えする」と声明で述べている。

ボーイング社は「安全は何よりも最優先すべきであり、今回の出来事が顧客と乗客に与えた影響を深く反省しています」と声明で伝え、当局の調査に協力する意向を示した。

ボーイング社の航空機では、過去にも重大な事故が発生している。2018年と2019年に737Max8型機が墜落する事故が立て続けに発生し、合計で300人以上が死亡した。この事故の後に、737Max8型機と9型機が運航停止になった。

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