ゼレンスキー大統領のコスプレをした理由は「勇気と誇りに感服したから」。世界で話題の京大卒業生、熱い思いを語る

「ウクライナを応援してくれてありがとう!日本と日本国民が私たちを応援してくれることを光栄に思います」と内務大臣顧問も感謝のツイートをしました。
京大卒業式でゼレンスキー大統領の扮装をする、あみきさん(本人提供)
京大卒業式でゼレンスキー大統領の扮装をする、あみきさん(本人提供)
Twitter/LohoG29i

京都大学の卒業式でウクライナのゼレンスキー大統領のコスプレをした男性が、世界各国のメディアが取り上げて注目を集めている。

ウクライナ政府幹部も「ウクライナを応援してくれてありがとう!」と感謝を綴ったほどだ。

男性はハフポスト日本版の取材に対し「ゼレンスキー大統領の勇気と誇りに感服した」とコスプレの理由を明かした。ウクライナの人々に「日本人の私たちも確かに支持しているぞ、という心意気が伝わればうれしい」と熱い思いを打ち明けている。

■「ウクライナに栄光あれ!」のプラカードとともに卒業式会場へ

ゼレンスキー大統領のコスプレをしたのは、京都大学総合人間学部の卒業生、あみき(@LohoG29i)さんだ。

3月24日に「京都市勧業館 みやこめっせ」で行われた卒業式に、ゼレンスキー大統領そっくりの格好で出席した。

ウクライナの国章をつけたオリーブ色のTシャツ。短髪に濃いあごひげは、まさに戦時の大統領そのものの装いだった。ゼレンスキー大統領本人の写真のほか、日本語とウクライナ語で「ウクライナに栄光あれ!」「英雄たちに栄光あれ!」という標語の書かれたプラカードを手に持っていた。

彼の姿を日本のテレビ局が報道すると、ウクライナ現地でもすぐさま話題となった。

アントン・ヘラシチェンコ内務大臣顧問も公式Twitterであみきさんの写真を添えて「彼の名前を知っている人はいますか?」と反応。その後、あみきさんのアカウントに対して「ウクライナを応援してくれてありがとう!日本と日本国民が私たちを応援してくれることを光栄に思います。今後ともよろしくお願いします」と丁寧に感謝を述べた。

あみきさんの姿は、現地紙キーウ・ポストの公式Twitterのほか、イギリスのBBC、アメリカのAP通信など各社が報じるなど世界的に反響が広がっている。

■「日本人として歯がゆい思いがありました」と振り返る

なぜゼレンスキー大統領のコスプレをして卒業式に臨んだのか。ハフポスト日本版の取材に対してあみきさんは、「大国ロシア相手に対等以上の抵抗を続けているウクライナ国民、そしてゼレンスキー大統領の勇気と誇りに感服した」と理由を述べた。

また、5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で日本が議長を務めることを受けて、「G7議長国の日本が、欧米各国に並ぶ十分な支援や難民受け入れを果たせていないことに日本人として歯がゆい思いがありました」と振り返った。

その上で、今回のコスプレがウクライナで広く話題になったことで「日本人の私たちも確かに支持しているぞという心意気が向こうに伝わっていれば幸い」と打ち明けている。

■あみきさんとの一問一答

――卒業式でゼレンスキー大統領の格好をした理由は?

この1年1カ月、不当な侵略と暴力に屈さず、核と資源による卑劣な恫喝に揺らいでいた国際社会を説得し、あの大国ロシア相手に対等以上の抵抗を続けているウクライナ国民の方々、そしてその象徴であるゼレンスキー大統領の勇気と誇りに感服したため、自分なりの形で敬意を表したいと考えたからです。

――ゼレンスキー大統領の格好をする上で、特に苦労したところはありましたか?

行きつけの理髪店に髪と髭のセッティングを頑張ってもらいました。意外とウクライナ国章のワッペンが売っておらず、海外から輸入して手に入れました。

――卒業式会場では皆さん思い思いの格好で来場してたかと思いますが、あみきさんの格好はどのような反応がありましたか?

「このクオリティはズルい」と友人に言われました。学生や近親者の方々から「一緒に写真を撮ってほしい」と引っ張りだこでした。ので、「ウクライナに栄光あれ!」の標語を伝授していました。

――今回のコスプレについてゲラシチェンコ内務相顧問のほか、地元紙「キーウ・ポスト」が取り上げるなどウクライナにも反響が広がったことをどう感じていますか?

概ね好意的に受け止めていただいて結果的に良かったと感じています。仮にも世界第3位の経済大国でありG7議長国の日本が、欧米各国に並ぶ十分な支援や難民受け入れを果たせていないことに日本人として歯がゆい思いがありましたが、「日本人の私たちも確かに支持しているぞ」という心意気が、向こうに伝わっていれば幸いかなと思います。

――ウクライナを取り巻く状況について、どんな思いを抱いているかを教えてください

この戦争は狂気そのものです。歴史上の戦争は、概ね何かしらの合理的経緯がありましたが、この戦争でロシアが何を達成したいのか、もはや私には理解できません。被害を受けているウクライナ国民はもちろん、使い捨てにされるロシア兵も狂気の犠牲者です。このような不条理極まる殺し合いが、2020年代の今に起こると信じたくはなかったです。日本がすべきは、国際社会の中で正気とリーダシップを示し、正常で健全な世界を取り戻す取り組みを続けていくことです。

注目記事