イスラエルのパレスチナ・ガザ地区攻撃に対する抗議活動が続くアメリカ・ニューヨーク市のコロンビア大学で4月30日夜、警察隊が突入して約100人のデモ参加者を逮捕した。
大学から出動要請を受けた警察隊は30日夜にデモ参加者が占拠していたハミルトンホールに突入し、学生らを逮捕した。
コロンビア大学では、パレスチナに連帯する学生らが4月中旬からキャンパスにテントを張って抗議活動を続けている。
学生らは、イスラエル軍によるガザ攻撃を非難すると同時に、大学側にイスラエルに武器を売却している企業などからのダイベストメント(投資引き上げ)を求めている。
4月18日に100人以上のデモ参加者が逮捕された後も、抗議活動は続いており、その輪はアメリカ各地の大学に広がっている。
これに対し、コロンビア大学のミノーシュ・シャフィク学長は、デモを非難し「キャンパスの安全確保と秩序回復のためには他に手段がない」として、30日にニューヨーク市警察に出動を要請した。
56年前、同じ日同じ場所に警察が突入
ハミルトンホールは、コロンビア大学の抗議活動の歴史を刻んできた場所だ。
ちょうど56年前の1968年4月30日も、ベトナム戦争などに反対してハミルトンホールを占拠したデモ参加者を警察が逮捕した。
この時、学生らはベトナム戦争のほかに、大学が地域住民の意向に反してハーレム地区の公園に体育館を建設しようとしたことなどに抗議していた。
ニューヨーク州立大学法学部の教授で、当時コロンビア大学の学生だったエレノア・スタイン氏は、この時の抗議活動について「大学はハーレムの数少ない緑地のひとつであるモーニングサイドパークに体育館を建設しようとしていたのです」とNPRの取材で答えている。
「ハーレムの土地の買収や、ベトナム戦争に参加、加担するという弁解の余地のない行為は、私たちにとって当たり前のことだとは思えませんでした」
1968年4月30日付の学生新聞「コロンビア・デイリー・スペクテイター」は、大学経営陣から出動要請を受けたニューヨーク市警察が、ハミルトンホールを含む5つの建物に突入して700人近くの学生や教職員を逮捕したと伝えている。
それから56年経った4月30日に、デモを排除する目的で再び警察が突入することになったコロンビア大学。
同大学の学生団体がソーシャルメディアに投稿した動画には、デモ参加者が警察から手荒く扱われ、階段を転げ落ちる様子なども映っている。
ニューヨーク州選出の民主党下院議員ジャマール・ボウマン氏は、「非暴力的な学生の抗議活動に、これほどの警察を出動させたことに憤りを感じる」と投稿している。
「教育機関は、批判的な思考力を養い、より公正で平和な世界を実現するために多様なコミュニティと協力することを学ぶ場であるべきです」
「大学キャンパスの軍事化や警察の大規模出動、何百人もの学生の逮捕は、民主主義の礎としての教育の役割に、真っ向から対立します」
全米で抗議活動が続く中、学生団体と合意に達した大学もある。
ロードアイランド州にあるブラウン大学は、学生団体ブラウン・ダイベスト・コーリションの要請を受けて、イスラエル関連企業から投資を引き上げるかどうかを10月の理事会で投票で決めることを決定。学生側はキャンパス内のテントを撤去することに同意した。
ブラウン・ダイベスト・コーリションは、「全米の大学で行われているキャンプによる抗議活動なしには合意は不可能だった」とコメントしている。
「私たちは10月に確実にダイベストメントを行うようブラウン大学に圧力をかけ、全米の抗議活動を支援し続けていきます」
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