『ハリー・ポッター』シリーズの原作者J.K.ローリングさんが、トランスジェンダーをバッシングする言動を繰り返していることについて、映画で主役を演じた俳優ダニエル・ラドクリフさんが、「本当に悲しい気持ちになる」とアトランティックのインタビューで明かした。
ローリングさんはトランスジェンダー女性を否定する発言を何年も続けている。
ラドクリフさんはこの姿勢について「悲しい気持ちになります。なぜなら、出会った時の相手や時代、彼女の書いた本や創り出した世界すべてに深く共感できるからです」と語った。
「彼女がいなければハリー・ポッターは生まれなかったでしょうから、私の人生は今とは違うものだったと思います」
「しかしだからといって、自分の信念をずっと誰かに左右されていいということにはなりません」
『ハリー・ポッター』シリーズは世界的なヒット作となり、映画で主役を演じたラドクリフさんを一躍スターにした。
しかし、トランスジェンダーの権利をめぐるラドクリフさんとローリングさんの考えは大きく異なる。
ラドクリフさんは性的マイノリティの若者の自殺防止に取り組む米NPO「トレバープロジェクト」に関わるようになった一方で、ローリングさんは「トランス女性は女性ではない」という姿勢を変えようとしていない。
ローリングさんは2024年4月にスコットランドでトランスジェンダーの法的保護を強化する法律が導入された時に、複数のトランスジェンダー女性の名前をXに投稿し「女性ではない」など揶揄した。
さらにその後、トランスジェンダーの権利擁護を支持してきたラドクリフさんとエマ・ワトソンさんからの「謝罪は受け入れられない」とも述べている。
ローリングさんは2020年、トランスジェンダー当事者らに配慮した「生理のある人々」という言葉を使った記事を揶揄した。
ラドクリフさんはこの時に「トランスジェンダー女性は女性です」と声明を発表して、ローリングさんの考えに反論した。
ラドクリフさんは自身の見解を表明した理由について、「私はトレバープロジェクトに12年間関わってきたし、ここで何も言わないのはものすごく臆病だと思えた」とアトランティックに語っている。
「コメントなどでネガティブな影響を受けた人たちを助けたいと思いました。たとえそれがジョー(ローリングさん)の見解だとしても、『ハリー・ポッター』シリーズに関わるすべての人の考えではないということを伝えたかった」
この意見の対立以降、ラドクリフさんはローリングさんと直接連絡を取っていないという。
それでも、ラドクリフさんは『ハリー・ポッター』に対する愛は変わっていないようだ。
アトランティックのインタビューで「家族から拒絶されたり、秘密を抱えて生きている多くの人が『ハリー・ポッター』シリーズに慰めを見出した」と述べ、その慰めは「読者とローリングさん」ではなく「読者と本」の間にあると語った。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
【訂正 2024/05/07 11:00AM】記事中に、「トランスジェンダー女性に配慮した『生理のある人々』という言葉を使った」と記載していましたが、「トランスジェンダー当事者らに配慮した『生理のある人々』という言葉を使った」と訂正しました。
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