BREAK THE SILENCE
2019年09月10日 15時19分 JST | 更新 2019年09月10日 17時56分 JST

芸能人を含むフリーランス、6割がパワハラ、3割がセクハラ被害に...。 レイプにあった女性の訴え「知られた時に潰れるのは私の方だ」

芸能人を含むフリーランスを対象に、ハラスメントの実態を調査するアンケート結果が発表されました。

フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート事務局
「フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート」調査結果より

俳優や声優など、国内でフリーランスとして働く人のうち、61.6%がパワハラ被害、36.6%がセクハラ被害に遭っていたことが、日本俳優連合(理事長・西田敏行)やフリーランス協会などのインターネット調査でわかった。9月10日、調査を行った団体やハラスメント被害者らが厚生労働省で会見した。

 

法律に守られていないフリーランスのハラスメント被害、実態解明を

調査を実施したのは、日本俳優連合、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)内で組織されるフリーランス連絡会、フリーランスとして働く人を支援する一般社団法人・プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の3団体。

調査結果は9月9日、参考資料として厚労省の労働政策審議会に提出された。

ハラスメントの問題をめぐっては、2019年5月に「ハラスメント防止法」が成立。この法改正で、企業は労働者へのハラスメント防止措置を講じることが義務付けられるようになる。

一方で、雇用契約によらない形態で働くフリーランスの人は、法律の保護の対象になっていない。そのため、ハラスメント被害に遭っても「泣き寝入り」してしまうケースが多い。

付帯決議では、就活生やフリーランスへのハラスメントに対しても防止策を講じるよう政府に求めることが盛り込まれたが、具体的な内容は白紙だ。

調査の結果を元に、これまで不明瞭だったフリーランスへのハラスメントの実態を把握し、政府や厚労省に適切な対策を定めるよう求めていくという。

HuffPost Japan
フリーランス出版関係者の労働組合「出版ネッツ」の杉村和美さん、日本俳優連合の森崎めぐみさん、プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会の平田麻莉さん

 

回答の中にはレイプ被害も

アンケートには1218件の回答が集まった。

性別比は男性29.7%、女性68.7%、その他1.6%。もっとも回答者数が多い職種は「俳優・女優(20.9%)」で、次に「編集者、ライター、ジャーナリスト、翻訳者、通訳、校正者(14.8%)」、「声優(10.7%)」とつづく。

ハラスメントの被害状況については、「パワーハラスメントを受けたことがある」と答えた人は61.6%におよび、さらに36.6%が「セクシュアルハラスメントを受けたことがある」と回答した。

フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート事務局
「ハラスメントの被害状況」の回答結果

ハラスメントの内容も多岐にわたる。「精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・酷い暴言)」が最も多く59.4%で、「過大な要求(不要・遂行不可能なことの強制)」は42.4%、「経済的な嫌がらせ」は39.1%だった。

パワーハラスメントととれる被害内容に回答が多く集まったが、アンケートには「不必要に身体に触られた」(20.5%)、「仕切りがないところで着替えをさせられた」(6.7%)などの深刻なセクハラ被害の報告も多数寄せられている。

また、「出先/住居等までつけまわされた(ストーカー被害)」を体験もしくは見聞きした人は5.4%にのぼり、「レイプされた(同意のないセックスをさせられた)」への回答者は4.4%だった。

《→調査結果の詳細はこちら

フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート事務局
ハラスメント内容

「業界内の信頼が壊れてしまう」「潰れるのは私の方」 被害を訴えられない理由

記者会見では、実際にセクハラやレイプ被害を受けた女性2人が出席した。

映画やテレビの製作スタッフとして働く女性(匿名)は、上司からのセクハラやパワハラに悩まされてきた。

職場では、上司の個人的感情で作品から降ろされる、ギャラが支払われない、子どもがいることに対して「時間制限がある人を使うのは大変だ」と言われるなど、数々の嫌がらせを受けたという。

女性は、「ハラスメントにあたるという自覚がない人も多いため、何がハラスメントにあたるのか、ガイドラインが作成されるべきだと思います。また、新人がすぐに辞めていってしまうため、相談窓口もあるといいと思います」と訴えた。

フリーでインターネット映像製作者として働いていた八幡真弓さんは、協業関係にあった会社の男性から「打ち合わせ」の名目でホテルの部屋まで連れて行かれ、レイプ被害を受けたという。

当時八幡さんは30代前半で、起業1年目だった。加害者は50〜60代の男性で、業界で力を持っていたという。その後はホテルで軟禁状態になり、ホテル代の支払いができなくなると、アパートを借りさせられたという。

八幡さんは、撮影された写真や動画の流出の恐れや、「業界内の信頼や夫からの信頼が壊れてしまうのではないか」という懸念などから、被害を訴え出ることができなかったという。屈辱的な思いで引退を決意し、その後複雑性PTSDと診断された。

「起業1年目で自信もない状態でした。2社(加害男性の会社と八幡さんの会社)の関係が被害状態になっているということを社会に知られてはならないと強く思っていました。実際に知られた時に潰れるのは、向こうではなく私の方だと考えていました」

八幡さんは、「フリーランスだと、周囲はライバルばかりということもあって誰にも相談することができませんでした。また、被害から逃れたとしても履歴書の経歴では『一度諦めた人』『フリーになって潰れた人』という見え方をするため、次の就職先がすごく見つけづらいという一面もあります」と話す。

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八幡真弓さん

今回まとめられたアンケート調査では、フリーランスが直面する深刻なハラスメントの実態や、被害者を守るためのセーフティネットが機能していない問題などを浮き彫りにした。

調査を実施した日本俳優連合、フリーランス連絡会(MIC)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、厚労省にアンケート結果とともに要望書を提出。

「ハラスメント防止措置の対象にフリーランスを加える」ことや、「発注者企業にフリーランスへのハラスメントをしてはならない旨の方針を明確にし、周知・啓発する」こと、「発注者企業の相談窓口はフリーランスも対象にすること」などを求めている。

フリーランス協会の平田麻莉さんは、「期待の声が高いアンケート調査なので、この調査報告で世の中が変わっていってほしいと思っています」と力を込めた。