突然雨に降られたら、どうする?1時間のおしゃべりで、「傘をさす」が当たり前じゃないと知った。

イギリス、マレーシア、新潟、大阪...海を超えて集まったハフポスト読者とRethinkして見えたもの

「外出中、突然雨に降られたらどうしますか?」

こう聞かれたら、(私を含め)多くの人はこう答えるだろう。「傘をさします」

傘を持っていなかったら?「ビニール傘を買います」

こんな、ごく普通の答えが「当たり前」ではないことを知った。しかも、ビニール傘の部分ではなく、「傘をさす」という行動自体が。

私の“常識”に雷を落とした60分間を、ぜひ追体験してほしい。

DavorLovincic via Getty Images

無理に探し出す“違和感”より、他人の“常識”に触れて気づくこと

8月14日に放送したハフポストLIVE「この写真、あなたの指は止まりますか?6枚の日常から当たり前をRethinkしよう(Sponsored by Rethink PROJECT」)。そのタイトル通り、6枚の「ごく当たり前」の写真をじっくり見てみたら、何に気づく? 純粋な感想、少しの違和感でも気づきをみんなでシェアしてみたら、どんな発見がある? という企画だ。

Rethinkとは、「当たり前」や、知らず知らずのうちに抱いていた固定概念を改めて見つめ直してみよう、というアクション。

番組の中で、より多くの声や気づきを紹介したいという思いから、配信画面とは別の「観覧席」を設けて参加者を募集したところ、予想を上回る応募があった。(ありがとうございました。)

その応募数にも驚いたのだが、放送当日、観覧席に入ってみると、なんと国外から参加してくださった方が2名、首都圏以外からの参加者も3名。学生から社会人まで様々な年代の方が集い、同じ大学のOG同士の偶然の出会いもあり...。(びっくり!)番組放送開始前から、「新型コロナで変化した暮らし」「新しい日常」の話題で盛り上がった。

配信画面に登場したのは、私を含めて5人。この裏側にも、参加してくださった方々が。
配信画面に登場したのは、私を含めて5人。この裏側にも、参加してくださった方々が。
HUFFPOST JAPAN

配信中に紹介された6枚の写真は、普段であれば目に留まらないような、ごく「当たり前」に見える場面を切り取ったものだ。

LIVE配信で使用した6枚の画像
LIVE配信で使用した6枚の画像
Getty Images / 五島市

私がパッと思いついたのは、「女の子は赤、男の子は黒いランドセルなのが、今はもう“当たり前”ではない」。一方、観覧席のみなさんのリアクションは、こんな感じだ。まずは、音声でその盛り上がりを実感してほしい。

私が追いきれなかった声は、参加者のみなさんがzoomのチャット欄に残してくれたコメントを紹介したい。

「おじさん、カバン持って!」

「え、おじさん、カバン持ってなかった?そこには気づかなかった〜」

「海は今年の写真?もしそうだったら、ちょっと悲しいですよね。自粛している人もたくさんいるのに...」

「最近はランドセル、みんなカラフルですよね。赤と黒だけの光景って、あんまり見ない」

「自分が小学生の頃は、ランドセルが私一人だけピンクでめちゃめちゃ浮きまくってすごく嫌でした」

「ロンドンは、小学校低学年は学校指定バッグですけど、中学年からは自由なバッグです」

「この受付の写真、対応してない女性まで立ってる。なんか嫌だな」

「マレーシアは、性別限定の仕事は少ないですね」

イギリス人は、傘ささないんですよ

「えっ?」

「天気が変わりやすい気候なので、みんなレインジャケットを常に着てますよ。傘は少ない気がするなあ」

マレーシアも、傘、使わないです。外を歩かないので(笑)」

「えっ?!」

「ははは(笑)マレーシアは車社会なのでドアtoドアで、傘が必要ないんです」

「日本は使い捨て文化ですよね。環境問題への意識も、他の国と比べて低い気がする」

「雨が降っても、傘をささない」

これは、私にとって大きな衝撃だった。6枚の写真を一人で何時間見つめても、私の中に根付いていた「雨を降ったら傘をさす」という“固定概念”に気づきもしなかっただろう。

偶然にも、国内外各地から様々な年代、バックグラウンドを持った参加者が集まったこの日の観覧席。それぞれの地域の“常識”や、世代の“ルール”に触れ、私自身、そして参加者のみなさんも、あっと驚かされた60分だった。

傘もジェンダー問題も、入り口は同じ

6枚の写真の中には、「ジェンダー」の要素を含んだものもある。赤と黒のランドセルを背負った子ども、受付に立っている女性、男性パイロットの一歩後ろを歩く女性客室乗務員。こうした場面に指を止め、社会問題への知識や理解を深めることも、雨≠傘という新たな“常識”を知ることも、入り口は同じで良いのだということにも改めて気づいた。

写真という一つの枠の中でも、どこに目が留まるのかは、一人ひとり違う。他者との会話の中で、自分との些細な違いに触れてみたり、ちょっとした違和感を感じたりすることが、とても貴重な学びの機会になるのだと実感した。

配信画面に写った観覧席の様子。参加者の方にコメントしてもらう場面も。
配信画面に写った観覧席の様子。参加者の方にコメントしてもらう場面も。
HUFFPOST JAPAN

参加者との会話は続く。

「今日は海外に住む方の意見も聞けて、初めての気づきがたくさんありました。海外ドラマや映画を見るときに少し意識するだけでも、Rethinkのヒントがありそうですね!」

「例えば同じ考え、同じ価値観の人と一緒にいるのは心地良いけど、ぬるま湯に浸かっていたら多様な価値観って、自分の中に入って来ないんだなと最近思います」

「みんなの常識、そもそもという前提が分からないから、それを表現できる場も必要なのかも。“常識”って言われてパッと浮かぶこともあるけど、実際に一人ひとりが常識として認識してるのか、今日みたいに話してみないと分からないですよね」

「日本は“常識“”ふつう“という縛りが強いかな、と思います。世界でも多民族国家と言われている国では、みんなに共通した“ふつう“がないので、そこが大きな違いかなぁと」

「ここ数年で、だいぶジェンダーやLGBTについても考えが変わってきていますよね。いろんな立場の人の考えを聞いて、Rethinkして、自分をアップデートしていきたいなと思います」

「私が住んでいるロンドンでは、お互いの違いがあっても『それがあなたのスタイルなのね』と、個々人を尊重してくれるので居心地がいいです」

「Rethinkという単語を知っているだけで、これから物の見方、人の話の聞き方が変わりそう。今日のライブに参加してみて良かったです」

「おぉ〜〜!すばらしいまとめ!」

6枚の写真をほんの少し見つめてみたら、28年間で培ってきた“常識”が覆された60分間。人が集えば、その数だけ「答え」があることを改めて知った60分間。

“当たり前”“常識”という言葉にとらわれずに、一歩立ち止まって見つめてみよう。そこに新たな発見があることを、私は雨が降るたびに思い出すだろう。

◇◇◇

なんとなく受け入れてきた日常の中のできごと。本当はモヤモヤ、イライラしている…ということはありませんか?「お盆にパートナーの実家に帰る?帰らない?」「満員電車に乗ってまで出社する必要って?」「東京に住み続ける意味あるのかな?」今日の小さな気づきから、新しい明日が生まれるはず。日頃思っていたことを「#Rethinkしよう」で声に出してみませんか。

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