「河野太郎『中国人よ日本の国籍とって』」→誤り。一部発言を改ざんした投稿が拡散、河野氏は「法的措置をとる」と投稿

「河野太郎『中国人よ日本の国籍とって」という投稿が拡散していますが、発言の一部を改ざんしたものでした。よって、誤りです。【ファクトチェック】

「河野太郎『中国人よ日本の国籍とってください 新しい日本人を作っていかなきゃならない』ナニ言ってんだ!この売国奴!」

このような投稿がX上で拡散している。

しかし、河野太郎・衆議院議員は「中国人よ」とは発言しておらず、それ以降のくだりも移民をめぐる議論で6年前に語った発言の一部を切り取ったものだった。

このため、投稿は誤りだ。

河野議員もこの投稿に対し、「度が過ぎるものには法的措置をとる」と返信している。

ハフポスト日本版は、ファクトチェックした。

移民問題に関する対談で

4.7万人のフォロワーがいるXユーザーが9月9日、投稿した。

10日午前11時現在、2200リポスト、5400「いいね」と拡散している。

この投稿には、引用元とするサイト「Tweeter Breaking News〜ツイッ速」のURLが添付されていた。

そして、サイトに載せられたURLをクリックすると、河野議員が日本青年会議所の総会で話している動画が表示される。

ハフポスト日本版が調べた結果、この総会は2017年3月に開かれた「第154回総会・2017年度 全国時理事長サミット」。

その中で、河野太郎議員と神谷宗幣氏(現・参議院議員、参政党)による「移民問題」に関する対談というコーナーがあり、二人が議論を交わしている。

ファクトチェック対象の投稿と、河野太郎議員の返信
ファクトチェック対象の投稿と、河野太郎議員の返信
Xから

対談では、河野議員が冒頭、「人口減少の割合が大きくなっているが、経済も爆発的には伸びていない。これから先、働き手が本当に確保できるのか。若手の人口が減っていく中で、社会保障はきつくなる」と問題提起。

「産業の一部が外国人依存になってしまうのでは」という質問には、「外国人労働者と移民を受け入れることの違いは、少なくともこの国を一緒に背負っていこうという人材をきちんと入れていく。つまり、その人たちは日本人になるわけだから、外国人が何かやっているからだめだ、ということにはならない」と語った。

そして、神谷氏から「日本を支えようという人であれば、一定数入れればいいが、間口を広げれば、そうじゃない人が大量に入ってくる可能性がある。年間どれくらいの規模であれば、一緒に協力してくれる日本人になってくれるのか」と質問を受けると、河野議員は次のように答えた。

「移民問題を議論する時に何を議論するのかというと、期間が定まっているということではない、というのが一つある。もう一つ、労働力という議論ではない。人間として入ってきてもらう。8時間働くならそれ以外に16時間この国に生活している。そういう人間をどう入れるか、という議論をしないといけない」

「短期であれ、中期であれ、何年後には帰ってくださいという議論ではない。入ってくるけども途中で帰る人もいれば、残ってくれるなら『最初は永住権をとってください。いずれ国籍を取って日本人になってください』つまり、移民問題の議論をする時に、新しい日本人をどうやってつくっていくか、というのが前提としてするのが、今我々がやらないといけない移民の議論

「中国人よ」の発言はしていない

つまり、発信元の投稿にあった「中国人よ」という発言はそもそもなかった。

また、河野議員は「日本を一緒に背負っていく人材を入れていく」や「移民問題は労働力という議論ではない」などと話しており、むやみやたらに移民を受け入れるという話をしているわけではない。

しかも、この発言は今から6年も前のものだ。河野議員も、この発信元にX上で注意している。

「最近、私の発言を切り取ったり改竄したりして、発言の意図を捻じ曲げたツイートをしたり、拡散している人がいますが、度が過ぎるものには法的措置をとります。リツイートに対しても同様の対応をします。ご自分のツイートには責任を持ってください」

SNS上では切り取り・改ざん動画が蔓延している。不用意な拡散には注意が必要だ。

◼️ファクトチェック記事のレーティングについて

ハフポスト日本版では、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

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  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

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