Withコロナ時代にどう生きるか。
様々なものごとの捉え方がパラダイムシフトする今、考える「座標軸」を得たいーー。
そんな社会のニーズをくみとり、京都大学がオンライン講座「立ち止まって、考える」を毎週土日、無料で開く。哲学、倫理学、人類学、文化心理学、認知神経科学、映画学...。社会人文系の学問の専門家が1時間、講義をする。
すぐに役立つ実学ではなく、あえて人文系なのには理由がある。京都大学人社未来形発信ユニット長である出口康夫文学研究科教授は「新型コロナにより今我々は考えもしなかった状況にいます。これまでの考え方の枠組みが通用しない局面もあります。新しい社会や考え方、生き方を描くための基本的な考え方、座標軸を共に学んでいければと思っています。ソリューションを見つけるためのベクトルを描くためには、まず座標軸を学べるように人文社会学のカリキュラムを組みました」と語る。
これからの時代を生きるための根幹を支える「知の技法」を磨く。
実は、このニーズは新型コロナのパンデミック前から企業の経営層から声が上がっていた。
大手企業のトップや上層部が、哲学を学びたいと京大の哲学の扉を叩いていたのだ。
AIの登場やデジタル革命で、従来のビジネスモデルが通用しなくなったり、世界における日本の経済的立ち位置に変化が起こる中、経営陣は、実学よりも「人とは何か」という根本的なことに目を向ける。
出口教授によると、NTTは次世代のコミュニケーション基盤を示す「IOWN構想」を考えるにあたって、人の生き方とは、自己とは何かに立ち戻る必要があったという。こうした流れで、NTTと日立と京大とが共同研究をしている。
今回の無料オンライン講座は、誰にでも開かれており、7月4日(土)からの毎週土曜、日曜に、 シリーズ講義(同じ講師が複数回開催の講義)とリレー講義(毎回別の講師が講義を行う1回完結型の講義)がYouTubeとTwitterで見られる。
■講義名・講師
<シリーズ講義>
・哲学- 自己とは何か:「われわれとしての自己」とは(出口康夫 教授)全5回
・環境史-「災害」の環境史:科学技術社会とコロナ禍(瀬戸口明久 准教授)全5回
・倫理学- パンデミックの倫理学(児玉聡 准教授) 全5回
・地域研究/メディア学 - メディアとコミュニティ―東南アジアから考える(山本博之 准教授)全4回
<リレー講義>
・人類学(人間・環境学研究科教授 岡真理)
・文化心理学(こころの未来研究センター教授 内田由紀子)
・臨床心理学(こころの未来研究センター教授 河合俊雄)
・公共政策(こころの未来研究センター教授 広井良典)
・現代社会論(こころの未来研究センター特任教授 佐伯啓思)
・認知神経科学(こころの未来研究センター准教授 阿部修士)
・映画学(文学研究科教授 ワダ・マルシアーノ)
哲学のキックオフ講義は以下の通り。
2020年7月4日(土)14:00~15:00
第1回 従来の様々な⾃⼰観の紹介と問題提起
京都大学 人社未来形発信ユニット長・出口康夫教授
倫理学のキックオフ講義は以下の通り。
2020年7月5日(日)11:00~12:00
第1回 パンデミックと倫理学