石川県能登地方で1月1日、震度7の地震が観測された「令和6年能登地方地震」では、自身や家族の救助を要請する投稿がSNSで相次いで確認されている。
しかし、救助先として記載されてある住所が存在しなかったり、ネットの「拾い画」を被害写真として使ったりしている根拠不明な投稿も確認できるため、安易な拡散には十分注意が必要だ。
写真は3年半前に投稿されたもの
「親友が、物が落ちてきた衝撃でドアが壊れ、外に出られません マンション6階で窓からの脱出も困難です DMで解決策教えてください その解決策を彼に転送します どうか親友を救ってください」
2023年10月からXを利用している発信元は1月1日午後8時34分、このように投稿した。能登地方地震で最初に地震を検知した時刻は同日午後4時10分のため、それから約4時間後の投稿となる。
投稿には、「助けて」「SOS」「能登地震」「拡散希望」などのハッシュタグが付けられ、ドアノブが取れた様子の写真も添付。2日午前7時時点で28.1万件表示され、2600超の「いいね」が付くなど拡散している。
被災地では地震によって建物が倒壊しており、「親友が外に出られない」という投稿自体が正確かどうかは確認できない。しかし、ドアノブが取れた様子の写真は約3年半前にX(当時はTwitter)に投稿されたものと一致する。
その写真は、今回の発信元とは別のアカウントが19年6月23日、「家のトイレから出られなくなってガチで詰んでる」と投稿したものだ。当時、ネットメディア「J-CASTニュース」が同アカウントを取材しており、記事には「1人暮らし中の大学生がトイレのドアを開けようとしたところ、ドアノブが取れてしまった」と記載されてある。
つまり、発信元は今回の地震と無関係の写真をネット上で拾い、「SOS」や「助けて」と投稿している可能性が高い。投稿にはコミュニティーノートが付けられており、「画像は拾い画だ」と指摘されている一方、「なんでもいいからドアを壊せるものはないか」や「お願いだからみんな諦めないで」と心配する声もある。
偽情報は災害時に拡散される傾向にある。特に救助を要請するような偽情報の場合、被災地で必要な救助活動に影響を及ぼす恐れもあり、拡散には注意が必要だ。
災害時の偽情報に要注意
災害時はSNS上で偽情報が拡散される傾向にある。信頼できる行政のアカウントを次の通り。
▽石川県危機管理監室の公式アカウント
・石川県防災(@Bousai_ishikawa)
▽気象庁公式の防災情報アカウント
・気象庁防災情報(@JMA_bousai)
▽内閣府防災担当の公式アカウント
・内閣府防災(@CAO_BOUSAI)
▽原子力規制委員会の公式アカウント
・原子力規制委員会 / NRA Japan(@gensiryokukisei)
▽首相官邸の公式アカウント
・首相官邸(災害・危機管理情報)(@Kantei_Saigai)