「同性婚を認めないのは憲法違反」 13組のカップルが全国で一斉提訴

政府・与党の後ろ向きな姿勢に、当事者たちはついに意を決した
提訴を前に報道陣の取材に応じる原告ら=2月14日、東京地裁前
提訴を前に報道陣の取材に応じる原告ら=2月14日、東京地裁前
Jun Tsuboike

同じ性別の相手と結婚することを認めないのは憲法に反するとして、13組の同性カップルが2月14日、国を相手取り、損害賠償を求める訴訟を4地裁で一斉に起こした。

同性婚ができないことが憲法違反に当たるかどうかを問う訴訟は全国で初めてとなる。

政府や自民党が同性婚に対して後ろ向きなだけに、司法の判断が注目される。

提訴したのは8都道府県に住む20代から50代までの男性カップルと女性カップルの計26人。

原告らはこの日、東京、大阪、名古屋、札幌の各地裁に訴状を提出した。

原告に名を連ねる会社員の男性(40)は「結婚の平等を問う長い裁判が始まります。全国のセクシャルマイノリティーの人たち、アライ(支援者)の人たちと心を共にして闘っていきたいと思います」と話した。

原告らはこれまで、役所に婚姻届を提出しようとしてきた。だが、同性婚は認められないとする自治体側は受理しなかった。

こうした事態が相次いだことに加えて、政府・与党内に同性婚を認めようとする動きが見られないことから、原告らは提訴に踏み切った。

訴状によると、原告らは結婚が認められず、精神的な苦痛を受けたとして、国にそれぞれ100万円の賠償を求めている。

その上で、同性婚を認めないことは、婚姻の自由や法の下の平等、性別などによる差別禁止を定めた憲法に違反していると訴えている。

男女による結婚を想定している民法や戸籍法が男女による結婚しか想定していないのは、憲法が定める婚姻の事由を不当に侵害しているとしている。

結婚をめぐっては、憲法で「両性の合意のみに基づいて成立」「夫婦が同等の権利を有する」としているほか、民法や戸籍法も「夫婦」という文言を使って規定している。

そのため、結婚の当事者は男女が前提で、同性婚は法律上、認められないとするのが政府の立場だ。

だが、原告らは憲法の条文について、「個人の自由のない明治憲法下の婚姻を否定し、第三者による干渉を排除し両当事者の自由かつ平等な合意のみで婚姻が成立する」ことが趣旨だと主張、異性カップル以外の結婚を禁止しているわけではないとしている。

一方、原告は、結婚が認められないことで様々な不利益が生じると指摘している。

カップルのどちらかが死亡した際、法定相続人にはなれなかったり、所得税や住民税などで配偶者控除を受けられなかったりすることなどで、「権利侵害・不利益は、非常に重大であると言わざるを得ない」としている。

提訴を受けて、国は法務省民事局の名義で「訴状を受け取っていないため、コメントできない」とのコメントを出した。

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