BLOG
2020年07月22日 07時50分 JST | 更新 2020年07月22日 07時50分 JST

男性に生理を理解してもらえないと、支えあえないのか? 体調の悪さに男女の違いはない

他人をいたわるのに、理解や納得は必要なのか?生理の仕組みを知らなくても、頭が痛くて寝ている彼女のために夕飯をつくるくらいできるのでは?

Julija Kumpinovica via Getty Images
イメージ画像

こんにちは、もしくはこんばんわ。現在生理2日目で眠気マックス、腰が痛くてなんだか頭も痛いような気がする雨宮です。

 

……なんて書くと、女性であれば「あー眠いよねー」と共感してくれたり、「わたしはイライラするタイプなんだよね」と答えてくれるだろう。でも男性は生理の経験がないから、「大変だね」と言うか、「そ、そうなんだ」と困惑するかのどちらかだと思う。

 

そんなギャップを埋めるために、「女性の身体はこうなってるの。男性も理解してね。もっとオープンに話そう」という主張をよく見かける。

 

そういう運動を否定するわけではないけれど、実をいうと、少し違和感があった。

「他人をいたわるのに、理解や納得は必要なのか?」と。

 

もっと率直に言えば、「生理の仕組みを知らなくても、頭が痛くて寝ている彼女のために夕飯をつくるくらいできるのでは?」と思ってしまうのだ。

 

身体の特徴がちがうように、「生理」だってちがう

「偏頭痛持ちだから雨の日はつらい」

「汗っかきで夏は1日3回シャワーを浴びる」

「緊張すると顔が真っ赤になって恥ずかしい」

 

みんな、それぞれ身体の特徴をもっている。

 

生理ももちろん同じで、わたしのようにひどい眠気に襲われながらひたすら甘いものが食べたくなる人もいれば、お腹が痛くてトイレとお友達になる人もいる。

 

生理痛がひどくて産婦人科でピルを処方してもらう人がいる一方で、血の量が多くて30分ごとにトイレに行かなきゃいけないけれど生理痛はまったくない、という人だっている。

 

「生理中、身体になにが起こってどんな症状があるのか」という医学的な説明は可能だけど、それが全員に当てはまるわけではない。「生理のことを知ってほしい」とは言っても、結局のところ「症状は人それぞれ」としか言いようがないのだ。

 

だから、「生理中はホルモンバランスがこうなるから眠くなっちゃって……」という説明なんて必要ないんじゃないか?と思う。

 

「なぜ低気圧だと頭痛がするのか」という身体のメカニズムを説明しなくとも、頭痛に顔をしかめる同僚がいたら、みんな「お大事に」と言うだろう。

 

「頭が痛いから今日は早く寝る」と同じで、「生理で眠いから寝る」というのに、なにか問題があるんだろうか。

それとも、なぜ生理中に眠くなるかを懇切丁寧に説明して納得していただかなければ、わたしたちはいたわってもらえないのだろうか。

 

自分が経験しない他人の痛みは、本当の意味で理解はできない

Ponomariova_Maria via Getty Images
イメージ画像

話は変わるが、わたしは学校の授業で、妊婦体験や盲体験をしたことがある。

 

妊婦体験ではお腹に3キロほどの重りがついた特別なエプロンをつけたのだが、想像以上にしんどかった。立ったり座ったりするのも一苦労だし、走るのなんてもってのほか。階段はお腹が大きくて足元が見えないから怖い。

 

盲体験では、アイマスクをして介助側と介助される側を交代でやった。知り尽くしているはずの教室でも自分の席がわからないし、だれかに話しかけようにもだれがいるのかわからない。自分を取り巻く状況を視認できないのは、とても不安だった。

 

そうそう、学生時代のアルバイト先のショッピングモールでは、研修の一環で車椅子体験もした。同じ店のアルバイター同士で車椅子に乗る側、押す側に分かれ、店内を一周するのだ。しかし品物の配置によっては車椅子で通れなかったり、目線が低いことで値段が確認しづらかったりした。

 

これらはすべて、体験しないとわからない気づきだ。

 

もちろん、「妊婦さんは大変」という想像はできるけれど、実際お腹に3キロの重しをつけて歩いてみないことには、その大変さはわからない(赤ちゃんは重しではないから、それでも「わかった」ことにはならないだろう)。

 

目が見えない=困る、というのは当たり前だけど、どこに湯気の立った味噌汁があるかわからずうかつに食事を始められない戸惑いまではわからない。

 

車椅子=移動に制限がかかりやすい、と知っていても、「エレベーターってどこにあるんだろう。エレベーターを探して動き回るの大変だな」とゆううつになる気持ちまでは考えが及ばない。

 

自分が経験したことのない大変さは、多少想像することはできても、「理解」には程遠いのだ。

 

困っている人を助けるのに理屈はいらない

こういう経験があるから、男性に「生理のつらさを理解して」というのは、正直ムリだと思っている。数日間股から出血し続ける経験がない人に、「その不快感を想像しろ」というほうが無茶だ。わたしだって、男性の下半身事情など想像もつかないし。

 

もちろん、「理解してもらおうとするのはムダ」といいたいわけではない。他人の痛みを想像して寄り添いたいという気持ちをもっている人は素敵だし、理解することでできる手助けが増えるのは事実だ。

 

でも、生理の仕組みを知らなくとも、「腰が痛い」と毛布にくるまってソファでうずくまっている彼女の腰をさすることはできるよね?とは思う。

 

妊娠したことがなくとも、なぜつわりが起こるのか知らなくても、「食欲がない」と言う妊婦さんのためにココアをつくったりゼリーを買ってきたりはできる。

 

視力に問題がなくとも、駅で白杖をもって立ち尽くしている人がいれば、「お手伝いできることはありますか」と聞くことはできる。小田急線の改札まで案内するのに、なぜその人が白杖を持っているかを説明してもらう必要はない。

 

車椅子に乗ったことがなくとも、車椅子で階段やエスカレーターを使うのはむずかしいことぐらいはわかる。エレベーターを譲るのに、「本当にその人は車椅子が必要なのか」なんて疑う人はいないだろう。

 

生理だって、それと同じ。

身体に不調がある人をいたわるのに、納得や説明は必要ないと思うのだ。

 

困ってたら助けるのは性別問わずお互い様

Getty Images/iStockphoto
イメージ画像

わたしの夫は、もちろん生理になったことがない。血が出るのはせいぜい2日間くらい、毎月ほぼ同じ日になるものだと思っていたくらいだ(わたしの周期は26〜28日くらい)。

 

でも、急に生理がきて腰が痛くてダウンしているわたしのために、ナプキンを買ってきてくれた。「恥ずかしくなかった?」と聞けば、「必要なものなんだから別に恥ずかしくない」と言ってくれて、いまではお使いの買い物リストに「ナプキン」と堂々と書いて渡している。

 

「俺は男だからわからないけど、眠いなら寝てればいいし、必要なものがあれば買ってくるよ。ピザでも頼もうか?」

 

そう言ってもらったとき、「事細かに生理の説明をしなくても助けてもらえるんだ」ととても安心した思い出がある。

 

そうだよね、頭が痛いとき、お腹が痛いとき、足を捻挫したとき、助けてもらうためにくわしく説明して相手を納得させる必要なんてないもんね。

 

一方、夫は花粉症持ちで、春先はかわいそうなくらいずっとくしゃみをしていた。わたしは花粉症じゃないけど、それを見てマメに掃除したし、寝具の洗濯回数も増やした。

 

「男だから」「女だから」とか、関係ないのだ。「困っている」という人に手を差し伸べるのに、「なぜ困っているのか」と納得する必要はない。わからなくても、知らなくても、本人が困ってるなら助けてあげればいいだけなのだ。

 

他人をいたわるのに、「納得」も「説明」も必要ない

holaillustrations via Getty Images
イメージ画像

それなのになぜ、「生理を理解してもらおう」という動きがさかんになるのか。それは、自分が経験していない他人の痛みを否定する人がいるからだ。

 

自分にアレルギーがないから「食物アレルギーは甘え」と言ったり、自分がもとスポーツマンだったから肺の病気で階段で息切れする人に「運動不足」と言ったり。

 

「自分はインフルエンザでも出勤した(からお前も働け)」だの、「うちの奥さんは妊娠中もギリギリまで働いてた(から産休は認めない)」だの、「精神的にキツくても乗り越えた(からうつ病は言い訳)」だの。いくらでも例をあげられる。

 

そうやって他人の痛みを否定する人がいるから、「わたしたちはこういう理由でこれくらい痛いんです」と訴えなきゃいけなくなるのだ。

 

震災時、男性が女性の生理用品の必要性を理解しておらずトラブルに……というニュースを目にした人も多いだろう。たしかに、男性には必要ないものだ。

 

でも、女性が必死に「ないと困るんです!」と言っているものを、「自分には不要だからいらない」と判断するのはおかしいじゃないか。なんで必要かを理解せずとも、「女性には必要なんだな」と用意してくれればいいじゃないか。

 

理解して納得していただかないと、優しくしてもらえないんだろうか?

 

そうじゃない。そうじゃないと思いたい。

 

「納得しないと気遣わない」という人たちに「こういう理由で大変なんです」と説明して理解してもらうより、「納得しないからって他人の痛みを否定しないでください」と言いたい。

 

だってそうでしょう? 思いやりに、納得もなにも必要ないでしょう?

 

生理についてオープンに話すこと、より想像しやすいように説明することは大事だと思う。理解が細やかな気遣いにつながるのも事実だ。

 

でも、たとえそれがなくとも、「ちょっとつらいから助けて」「いいよ」という会話が成り立つ世界であってほしい。男女問わず、だれにだって、体調を崩すことはあるのだから。

 

(編集:榊原すずみ