買い物は投票だ!「文化のパトロン」になるための本!

ぼくが影響を受けた本を、6冊ご紹介します。読めば世界の見え方が変わる、ステキな本ばかり…!
Arman Zhenikeyev via Getty Images

前回の「文化のパトロン」の記事、たくさんの方に読んでいただき(おそらく数千人)、

また、お褒めと励まし、熱い握手をいただき(直接では数十人)、

ほんとうにありがとうございました!

閉店した書店のスタッフとしての6年分の思いの集大成。

それは、まるでバンドのラストライブのようでした↓

この記事は、出版社やメディアの方々からもたくさん反響をいただき、その中で、「買うという行為を、『消費』から『投票』の意味に捉え直す、本の紹介記事を」という依頼が。

ということで、今日は、ぼくの影響元の本をご紹介します!

厳選6冊!(特に2冊←最後に紹介)

読めば世界の見え方が変わる、ステキな本ばかりです…!ただ、この記事を読むだけでも、考え方や世界の見え方が少し変わるかも…!(と祈りつつ…。)

少し前置き…。

うちのお店は名古屋一大きな書店で、ぼくは社会書担当でした。おそらく日本一に近い量の「地方創生」本、「ソーシャル/パブリック/NPO」の本があり、出版イベントもたくさんありました。

そういった高潔な方々と出会ううちに、ぼくは心が浄化され、気になる本が変わり、徐々に思考も変わっていきました…。(感謝…。)

そして、それまでスルーしてたジャンルの本も気になってきた頃…。

それではお待たせしました…。最初の本はこちら!

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①『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』2015年4月(学芸出版社)

ある日、カンブリア宮殿というテレビ番組で、ミュージックセキュリティーズという会社を知りました。(この本に載っています)

この会社は、ミュージシャンを支援する音楽ファンド事業から始まった、「投資型」のクラウドファンディング会社です。

一口数万円からの投資ができて、リターンとしての品がある場合も。

ミュージシャンや酒蔵を長期的に支援するような気持ちが、お金を回し、活かし、みんなで幸せになる。

あまりの画期的さに、とても感動しました…。

そして、何本か投資し、支援し、その関係性に魅了されていきました。

ぼくが数年前に投資した地元のとある小さな飲食店は、今では何店舗もオープン。

たくさんのお客さんに愛され、大繁盛しています。

ぼくはそんな風景を目にするたび、本当に毎度、目頭が熱くなります…。

「本」の紹介ですが、ミュージックセキュリティーズ代表の小松真実さんの単著がないので、上記のものを。

で、次の本がこちら。(2017年はすごかった…。↓)

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②『持続可能な資本主義』2017年3月(ディスカヴァー)

元鎌倉投信、現eumo(ユーモ)の新井和宏さんが書いた、新しい資本主義のあり方が示されています。

従来の、短期的/分断的なお金の回し方から、「長期的」「共感的」なお金の回し方へ。

圧倒的に早い取り組みをなされています。

『ティール組織』などに感銘を受けた方々はぜひ。

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③『はじめよう、お金の地産地消』2017年7月(英治出版)

「じゃあ、どこにお金が流れれば、ぼくらは幸せになれるのか」をぼくが考えるキッカケになった本。

地域の課題を「地元のお金と人のエコシステム」で解決することを目的としたNPOバンクの方の本です。

momoという社名は、ミヒャエルエンデの『モモ』から。

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④『なめらかなお金がめぐる社会』2017年8月(ディスカヴァー)

クラウドファンディングで有名な会社CAMPFIREの代表、家入一真さんの本。

ここでは、思いのある人や会社を支援するという関係性に「パトロン」という言葉を使っています。

僕も何件か「パトロン」になっていたりします。

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<家田による解説 1〜消費の裏に投資がある〜>

このような、クラウドファンディングという、小額で支援する行為。

ぼくは必ずしも「自分の利益」のためにしていません。

それよりも、『応援』と言うカタチで、『同じ物語に参加する』ため、と言えます。

その関係を例えるなら、同じ『物語』に出てくる、運命につながれた『共同体』。

令和になった今の日本では、旧来の様々な縛りから自由になっており、「これからは個人の時代」と言われるまでになりました。

その結果、反動として、つながりや、大小の物語、つまり『結ばれる』ことを求めるようになった…。

ぼくは、「お仕事」では書店員です。

お客さんに本を渡し、お金を渡される側です。

毎日お客さんと接しているので、カウンターや本棚越しとはいえ、人と『繋がっていること』を全身で実感していたりします。

そうやって繋がっていると、店舗は「モノとお金を交換している場所」というより、「エネルギーの交換、交流場所」という感覚になってきます。(もちろん売上は相当意識していますよ笑)

さて、一方で、自分が「お客さんや投資家」として、お金を手放す側になるときの話。

前述のクラウドファンディングは、募金などとは違い、あくまで自分のリターンも求めるものです。

(補足:「喜捨」的なものではなく、の意)

しかも、投資型のクラファンだと、

一万円手放して、その一万円がそのまま手元に戻り、さらにリターン品がプラス一万円、とかもあって、

もう、自分のお金が何にどうなっているやら(笑

そうするうちに、自分が「お金を手放す」という行為が、

すべて、「誰かを支援している」感覚になっていきました。

自分が持っている「お金(=エネルギー)」を次の人へ『贈る』イメージです。

そして、お金には「自分が欲しいモノやサービスとの引換券」の機能の他に「渡した相手を生き延びさせる『投票券』」としての機能もあります。

買う/支払うという行為は自分と相手、双方にとっての意味があります。

消費の裏に投資がある!

買い物は投票だ!

ぼくはそれに気づき、毎日の「支払い」が『ギフト』あるいは『投票』になりました。

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そのころから、ぼくの毎日の行動が変わっていきました。

店頭で現金を使って支払う時も、お金を適当に置いたり、ましてや投げたりしません。笑

店員さんを今日初めて出会った友達や先輩のように感じながら、「心」を込めて、お金を渡す。まるで「大切な手紙」を渡すかのように。

(そうすると、無の表情をしていた店員さんも、急に目に光を取り戻すことが多かったりします)

繰り返していたら、毎日の「支払い」が楽しくなっていきました。

一期一会であれ、顔の見える関係として、その機会を大切にする。

そして、そこから得られる喜びを、こちらから楽しんで作りにいくようになりました。

(補足:ファイナンスの語源が、フランス語のfiner=終わる、であるように、「支払い」は「物語を終わらせること」と言えるでしょう。

ぼくは一般的な「支払い」の行為を、冷徹に終わらせる行為にしたくなかったんだと思います。

ドライすぎる関係に、さびしさを感じていたのかもしれません。

「物語やご縁を終わらせたくない」とか「終わるから大切にしたい」と内心思っていたのかも…。)

そんな中、ぼくはミュージックセキュリティーズのイベントでクラファンの事業者の方々に直接お会いし、

その繋がりの温かみを知り、心の底から感動していました…。

そして、ミュージックセキュリティーズさんまわりを調べていくうちに…。

とある本に…ついに出会います…!↓

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⑤『ゆっくり、いそげ』2015年3月(大和書房)

すごすぎます…。

ぼくが書店員として、たくさんの本と出会い、学び、体験してきたことが、「この一冊に、ほとんど書いてあった!!繋がった!!」という感動…。(eureka !!!!)

著者さんが、マッキンゼー、ベンチャーキャピタルを経て、たどりついた場所。

グローバル資本主義とは違うやり方…。

自分の利益を最大化するのではなく、利他性を発揮し、他者に貢献することで互いにいかしあう経済をつくる。

その方法が書かれています。

きっとこれは、21世紀以降の「未来の社会のソフトウェア」の原型になると思います。

「テイクからはじめるのではなく、ギブからはじめる」

「贈ることから始める」

「不自由な共生から、自由な孤立へ、そして自由な共生へ」

「時間と戦わず、時間を味方にして生きる」

多くの金言が書かれています。

そして、この本にもエンデの『モモ』が登場しています。

この本の著者、影山知明さんは、前述ミュージックセキュリティーズの取締役でもあり、

また『持続可能な資本主義』の著者、現在eumoの新井和宏さんともつながりがあります。

(このお二方の対談内容は、詳しくはyoutubeで。

実はぼく、とあるご縁でeumoの立ち上げイベントにも呼ばれて、顔を出していたり…笑)

さあ、いよいよ、最後に紹介する本です!↓

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⑥『お金2.0』2017年11月(幻冬舎)

2017年の年末、仮想通貨の暴騰のタイミングに出て売れまくったこの本。(21万部)

「資本主義(Capitalism)」という世界観にいた僕は、「価値主義(Valualism)」という世界観に還元されました…。

もう、以前のように、お金(数字)を基準に世界を捉えることができなくなりました。

お金は、もっと根源的な「価値」を表す一つの手段でしかない…。

(価値主義については、ぜひ読んでください)

そして、ブロックチェーンを使ったお金の仕組み…。

スマートコントラクト、トークンエコノミー、地域通貨、減価するお金…。

ぼくは完全にアップデートされてしまいました。

「お金2.0は読んだよ」って方、ぜひ、この記事で紹介した本も読んでみてください。

全てが繋がっていることをお分かりいただけると思いますし、『お金2.0』で示された世界を駆動するソフトが『ゆっくり、いそげ』のようなものだとイメージしていただけるでしょう。

そして、上記で紹介してきた本にまつわるプレーヤーたちも、

今では続々とブロックチェーンベースの世界に向けて歩み始めています。

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<家田による解説2 〜毎日が投票日〜>

2020年の現在、世界は「中央集権=ピラミッド型」から「自律分散=平面型」へと変わり始めているようです。

きっとこの流れは止まらない。

大きな「塊」は、解体せざるを得なくなるものも多いでしょう。

そして、小さくなった「塊」では、自分たちを自分たちで支えるしかなくなる…。

浮動票を当てにして支えていたものは、根強いファンだけでも支えられる規模にまで小さくなります。

つまり、人まかせにして、フリーライド(タダ乗り)する人が大半になったものは、無くなるのです…。

すると、そんな未来では、「自分の畑は、自分の手で耕す」ことになる。

言うなれば、セルフカルティベーション。

(補足:文化=カルチャーの語源は、Cultivate、つまり、「耕す」)

ぼくたちは、自分が好きで大切にしたいものを、自分のものとして支える…。

つまり、「パトロン」になる。

すべてにパトロンになる、たくさんのパトロンになる。

庶民の僕らが、文化を支える【文化のパトロン】になる、ということです。

かつては貴族が、少し前は企業が、経済的に「文化」を支えていました。

しかし、貨幣経済の形が変わるであろう未来において、その主体者はきっと庶民のぼくらになるのでしょう。

そこで必要になるのが、そのソフトウェア、心構えです。

そのとき『ゆっくり、いそげ』で書かれている「ギブからはじめる」というやり方が、「ベース」になる、とぼくは思っています。

(このことは、2018年に大きな話題となったビジネス書『ティール組織』や、そのベース理論である『インテグラル理論』で扱われている内容にもつながります。『実存的変容』に至ろうとする僕ら人類の感覚や世界観を、本は、体系化して教えてくれます…。)

たしかに、すぐさま資本主義が完全終了し、明日から新しい仕組みに変わる、なんてことはないでしょう。

しかし、この仕組みと組み合わさっている未来は、もうすでに一部では来ています。

やがて、僕ら一人一人が、経済的に【文化のパトロン】という役割を担う未来が来るとき、それと同時に、その「毎日の支払い=投票」という行為によって、ぼくらは「民主主義の構成員の一員」としての側面が強まります。

(それは現行の政治体制とは異なると思われますが。想像ではインターネットとブロックチェーンがキー。)

民主主義という史上最高の「欠陥のあるパズル」を運用するにおいて必要な、最重要かつ、最も生み出すことが難しいピースは、【自分ごと】だとぼくは考えています。

もしかしたら

【文化のパトロン】という「役割」が生み出す意識、【自分ごと】という意識は、

資本主義を次に進め、同時に民主主義をも成り立たせるかもしれない…。

ぼくはそんな想像を、しています…。

2020年以降の世界を、支えるのは紛れもなく、このぼくたちであり、

SDGs時代や、ポストSDGsの世界を支えるのも、ぼくたちであることは変えられぬ事実です。

敵対や対立から生まれるエネルギーで駆動する世界ではなく、

協力や調和を原理としたエネルギーで支えられる世界へ。

地球を、宇宙を、そしてその中にある、ぼくらの郷土を

それぞれの民が、宇宙も郷土も支えていく未来へ…。

そのとき、ぼくらは【文化のパトロン】になっている。

そして、今日から、この今から、僕らができる「具体的な行動」は、

自分が「何かを買う」とき、「誰かを支援している」感覚で、次の人へ贈ること、

つまり、

【『買い物』を、『投票』もしくは『ギフト』に変える】ことだと、ぼくは考えています…。

(ってことは、「毎日が投票日」…。ですねっ!)

では、字数も限界、、、この辺りにて、、、

「よし!わかった。わかったから、特に重要な本はどれなんだ??」と言う方には、『ゆっくり、いそげ』と『お金2.0』をオススメします!!

この推し本ブログ、お読みいただきありがとうございました!

この後あらためて、以下の記事を読んでいただけると、

「文化のパトロン」っていうのが、どんな世界観なのか、どんな思いでこれを書いたのか、

イメージしていただけると思います!

また、どこかで「つながり」ましょう!(お辞儀&心の握手!)

あなたの物語と、ぼくの物語の結び目 から

とある書店の書店員 家田和明 より

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