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2020年06月20日 18時18分 JST

「マジか声も出なかった…」5分間のヒップホップ動画に衝撃広がる。作者が歌った希望と苦悩

crystal-zさんの「Sai no Kawara」。まずは聴いてみてほしい。

6月に入って、YouTubeに投稿されたあるヒップホップ動画が話題になっている。

 

音楽グループAAA(トリプルエー)日高光啓さんやラッパーの呂布カルマさんらアーティストも、曲を評価する声や、歌われている内容に対して「マジか声も出なかった…」と驚きをツイート。

他にも「コメント欄を見ないで最後まで見てほしい」「ラストが衝撃的...」といった声も上がった。

※以下には内容の記述があります。まず楽曲を聴いた上で、お進みください

この楽曲はcrystal-zさんの「Sai no Kawara」。

32歳の男性が、音楽の道から医大を目指す中での、苦労や努力などを歌っている。

図書館で来る日も受験勉強に励んだが、なかなか結果が出ず、その年や次の年も、目標の東京の大学には受からなかったという。

模試の結果も良く、筆記試験ができても面接が超えられず、「年齢のハンデ?夢にさえ思わねぇ。ゴールテープごとずらされるなんて」と歌っている。

男性は最終的に地方の医大を受け、見事に合格する。だが曲はそこで終わらない。

ニュースのナレーション調で「34歳の男性は去年、不合格にされましたが、その後大学側が調査した結果、合格点に達していたことが分かりました」などと流れる。

さらに、録音されたような別の男性の声が「年齢の問題で不合格ということになりました」「不正ではないと思う」と入り、曲が終わりを迎える。

そう。crystal-zさんは、医学部入試で「年齢差別あった」として、順天堂大を提訴した本人。全て、自身に起きた体験を歌っているという。

曲の背景を知った上で聴いてみると、気づくことがある。サビでは、次のようなメッセージが繰り返されている。

順調じゃなくていいから

 

天才じゃなくていいから

 

堂々巡り 巡り 繰り返し

 

東京

 

偉大(医大)なこの街」

並べてみると、「順天堂」「東京医大」のワードが浮かび上がる。

ハフポスト日本版は、crystal-zさんに取材した。楽曲にはどんな思いを乗せたのか。寄せられたたくさんの反響に対して、音楽の力を感じたと振り返っている。

「毎日大量に流れてくるニュース全てに共感しようと思ってもそれは難しい。でも音楽なら、懐に飛び込めるんだというのを今回のことで再確認できました」

自分の体験を音楽や言葉に乗せた。そのことで、聞き漏らしたり埋もれたりしてしまいかねない日々のニュースや誰かの発信に、光をあてることができると示しているように思える。

2018年に明るみになった医学部不正入試

医学部不正入試は、2018年に明るみになった問題だ。東京医科大学や順天堂大学など複数の医大が、女性や多浪生などの点数を操作し、合否判定に差をつけるなどの不正をしていた。

楽曲にもあるようにcrystal-zさんは「年齢による差別があった」として、順天堂大学を提訴し、訴訟が続いている。

朝日新聞デジタルによると、大学が設置した第三者委員会の調査報告書では、順天堂大は女子や浪人回数の多い受験生が不利になる基準を設けていたと結論づけたという。

東京医大についても、crystal-zさんは本来の合格点を大きく上回り、特待生合格の基準も超える点数を獲得。だが、補欠ですらなく不合格になった。現在、訴訟ではなく、裁判外紛争解決(ADR)の形で協議を続けているという。