「女性候補の割合に応じて政党交付金の配分を」 自民・野田聖子幹事長代行が提案

候補者クオータ制については「手っ取り早いが、歪みが出る」と懸念を示した。
インタビューに応じる野田聖子・自民党幹事長代行=2020年10月9日
インタビューに応じる野田聖子・自民党幹事長代行=2020年10月9日
Kazuhiro Matsubara

自民党の野田聖子幹事長代行は10月9日、衆議院や参議院の選挙などにおける候補者の女性比率が高い政党に対して、政党交付金を優遇する制度づくりに意欲を示した。

ハフポスト日本版のインタビューに対し、「有権者との共同作業になるが、政党助成金の傾斜配分をやってみたい。女性の候補者を3割〜4割に高めた政党に対して、国民の意思として政党助成金を多めに出す。有権者にとってもハッピーだし、政党にとっても良いし、女性候補者も出やすくなる」と語った。

クオータ制「手っ取り早いが、歪みが出る」

候補者の一定割合を女性にする「候補者クオータ制」の導入を求める声も上がっているが、野田氏は「クオータ制は手っ取り早いが、歪みが出る」と指摘。

「自民党には“空いている議席がない“という与党のジレンマがある。現職議員の権利を剥奪することになれば、有権者の意思を蔑ろにすることになり、憲法違反の可能性もある」と懸念を示した。

政党交付金とは、所属国会議員が5人以上という政党要件を満たした政党に対し、国が政党助成法に基づいて政治活動費を交付する制度。所属する国会議員の数や、選挙での得票数の割合に応じて配分される。

野田氏は候補者の女性比率が高い政党に政党交付金を優遇する仕組みについて、「税金を増やすわけではなく、すでにある税金の配分を変えるだけなので、国民の納得があれば可能だ」と提案する。

「(一般的に男性と比べて賃金格差がある)女性も堂々と選挙資金面のサポートを受けられる。誰かを傷つけるのではなく、誰にとってもメリットがあることをまずやって、それが定着すれば一番いい」と述べた。

この仕組みだと、女性候補者を増やせば活動資金を得やすくなる。より真剣に女性候補を探すよう促す狙いだ。ただ、多くの現職議員を有する与党よりも、現職がいない選挙区が多い野党に有利になるため、自民党内の理解を得られるかが焦点となりそうだ。

また、野田氏は「長らくの選挙の積み重ねの中で、政治は男の人がやるものという意識がすり込まれている」と指摘。

こうした政党交付金の議論を進めるとともに、自身が運営をリードする「政治塾」を通して全国の女性候補者の発掘を続ける意向を示した。 

日本の国会議員は「男性9:女性1」

日本の衆院議員の女性比率は9.9%で、世界190カ国中167位(10月1日時点)。女性議員をどう増やすかは、各党共通の課題でもある。

2018年には男女の候補者の数ができるかぎり均等になるよう政党に努力を求める「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」が施行されたが、2019年7月の参院選では自民党の女性候補者は14.6%にとどまった。次期衆議院選挙に向けては、各党に女性候補者の数値目標設定などを求める署名キャンペーンも行われている。

自民党内でも、下村博文政調会長が選対委員長だった9月、「2030年までに自民党の衆院議員の女性割合を3割に」とする数値目標を提案した。ただ、その後「2030年までに候補者の3割が女性になるよう目指す」と、トーンダウンしたようにも見える。

だが、野田氏は「与党の傲慢かもしれないけれど、候補者が全員当選すれば、(3割という目標が)議員でも候補者でも結果は変わらない。『203030』の数値目標はキャンセルされたとは私は思っていない」と述べた。

フランスや韓国でも、女性候補者比率に応じた助成金制度

海外でも、女性候補者の比率に応じて政党に交付される助成金を配分する取り組みはある。

法律による強制的なクオータ制が違憲と判断されたフランスでは、1999年に憲法を改正し、2000年に「公職における男女平等参画促進法」(パリテ法)を制定。

この中で、小選挙区制選挙(下院議員選挙など)で候補者の男女割合の差が2%を超えた政党・政治団体への公的助成金を減額することを決めた。2007年に公的助成金の減額率を50%から75%に引き上げると、次回選挙から女性の議員比率が12 .3%から18.9%へ大幅に上がった。さらに、2014年の改正では、助成金の減額率は最大150%にまで引き上げられている。

また、内閣府男女共同参画室の資料によると、韓国でも、女性候補者の比率に応じて補助金が支給される仕組みがある。国政選挙の有権者総数に100ウォンをかけた数字が補助金の基準額となり、女性候補者の割合や議席率、得票率などを勘案して補助金が支給される。(2017年5月時点)

 【ハフポスト日本版・中村かさね@Vie0530、井上未雪@MyuInoue

2020年に幕を閉じた安倍政権の看板の一つは「女性活躍」だった。しかし現在の菅義偉新内閣20人のうち女性はわずか2人。これは国会の男女比そのままだ。2021年には、菅政権下で初めての衆院選挙が行われる見通しだ。候補者の人数を男女均等にする努力を政党に義務付ける「候補者男女均等法」制定から初めての総選挙。政治の現場のジェンダーギャップは、どうすれば埋めることができるのだろうか。

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