“残業の震源地”から改善を。「#霞ヶ関深夜閉庁要求運動」がネットで始まる。河野太郎大臣らへ提言届ける

多くの民間企業でテレワーク等の導入により環境整備が進む中、霞ヶ関で働く官僚たちは、デジタル環境から取り残され、コロナ禍でも過酷を極める。

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの民間企業でテレワーク導入などデジタルの環境整備が進む中、未だにそれらが十分に進んでいるとは言えない場所がある。

中央省庁などが置かれる日本の行政の中枢、霞ヶ関だ。

その働き方を変えようと、株式会社ワーク・ライフバランス(代表取締役社長・小室淑恵)が10月20日、19人の発起人とともに「霞が関の働き方改革に関する提言」の署名活動をオンラインで開始した

霞が関の省庁(手前)と国会議事堂(東京都千代田区)
霞が関の省庁(手前)と国会議事堂(東京都千代田区)
時事通信社

各省庁でデジタル化の必要性が叫ばれる中、国民の声を署名として集め「永田町の働き方改革」の加速させることで、民間企業などの労働環境の変化にも更なる影響を及ぼす狙いがある。

霞ヶ関で官僚たちが働く環境は、コロナ禍でも過酷だ。

2020年6月から7月にワーク・ライフバランス社が実施した「コロナ禍における政府・省庁の働き方に関する実態調査」では、議員対応がある官僚のうち83%が対面での打合せを求められたためテレワークができず、約4割が100時間を超える残業をし、また86%が「議員とのやり取りはFAXだった」と回答している。

提言ではまず、各省庁に対し、「22時~翌朝5時を完全閉庁し、緊急の業務や、必要最低限の議員の質問対応等はテレワークで行う体制を作ってください。浮いたコストはコロナ対策等に使ってください」と求めた。

また、税金の使い道として102億円の費用がかかっているとされる国会会期中の官僚の残業代を新型コロナ対策などの国民生活の改善に充てて欲しいとの訴えが記された。

加えて、“永田町”の働き方自体が、国全体のデジタル政策の遅れの原因に繋がっていることや民間企業の残業の原因となっていることなども指摘。

「省庁からの深夜のメール、短納期の依頼が社会に発信され、それをこなすために大企業が中小企業にさらなる短納期の依頼をするような構造」があるとして、「霞が関・永田町が日本の残業の震源地となっています」と厳しい表現でまとめられた。

代表発起人の株式会社ワーク・ライフバランスの代表取締役社長・小室淑恵氏はハフポストの取材に対し、次のようにコメントした。

今まで、1000社以上の企業に働き方改革コンサルティングを提供してきましたが、民間企業は劇的に働き方が変化しているのに、最後まで働き方が変えられない業界の特徴は、省庁とやり取りがある業界です。

規制や入札を通じて省庁と関わる企業が、長時間労働でこなすことを前提にした膨大な書類と短納期等を依頼され、その企業がさらにそれを下請け企業に依頼し、という形で社会に負の連鎖を起こしています。

これ以上私たちは傍観しているべきではないと思います。

署名はキャンペーンサイト『change.org』で受け付け、集まった署名は、河野太郎行政改革担当大臣をはじめ各省庁の大臣に届けるという。

《発起人の一覧は、以下の通り》

青野慶久 サイボウズ株式会社代表取締役社長

朝比奈一郎 青山社中株式会社代表・CEO

安藤哲也 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事

榎森耕助(せやろがいおじさん)オリジン・コーポレーション所属お笑い芸人・YouTuber

大室正志 大室産業医事務所代表

川邊健太郎 ヤフー株式会社代表取締役社長

小室淑恵 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長

沢渡あまね 作家・業務改善士

塩崎彰久 長島・大野・常松法律事務所パートナー弁護士

島津明人 慶應義塾大学総合政策学部教授

白河桃子 少子化ジャーナリスト相模女子大学大学院特任教授昭和女子大学客員教授

田澤由利 株式会社テレワークマネジメント代表取締役

田中邦裕 さくらインターネット株式会社代表取締役社長

長野智子 キャスター、ハフポスト日本版編集主幹

中室牧子 慶応義塾大学総合政策学部教授

夏野剛 株式会社ドワンゴ代表取締役社長

坂東眞理子 昭和女子大学理事長・総長

室橋祐貴 日本若者協議会代表理事

山口一男 シカゴ大学 社会学 教授

(※19人、50音順)

【update】 発起人メンバーに一部変更があったため、記事を更新致しました。(2020年10月23日19時30分)

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