アートとカルチャー
2021年03月08日 16時00分 JST | 更新 2021年03月08日 22時06分 JST

【国際女性デー】時代は変わりつつある。最近の「ディズニープリンセス」で描かれた女性像

3つのディズニー作品に描かれた女性のヒロインから考えます。

3月8日は、国際女性デー。

2021年も企業や団体が様々な取り組みを打ち出しているが、エンターテイメント業界も例外ではない。

この日に合わせ、ディズニーも公式Twitterやインスタグラムでこれまでの作品で登場するヒロインについての特別映像を公開した

UN Womenが打ち出した2021年の国際女性デーのテーマは「リーダーシップを発揮する女性たち」。この観点を含め、改めて観たい3本のディズニー作品を紹介する。

ディズニーの特別映像、どんな動画?

ディズニーが公開したのは、約1分半の動画だ。ディズニーの歴代のヒロインたちが続々と登場している。

動画で取り上げられているのは、『モアナと伝説の海』『塔の上のラプンツェル』『美女と野獣』『リトルマーメイド』、『ムーラン』、『アラジン』、『プリンセスと魔法のキス』、『白雪姫』、『ポカホンタス』、『眠れる森の美女』、『シンデレラ』、『メリダとおそろしの森』の12本。

意外に知られていない「ディズニープリンセス」の事実

実は、これらの作品に登場するそれぞれのヒロインはディズニーが公式に認めているそれぞれの時代を反映してきた「ディズニープリンセス」たち12人なのだ。(※日本で現在公式に認められているディズニープリンセスは8人で海外と差がある)

日本の「ディズニープリンセス」には、メリダ、ムーラン、ポカホンタス、ティアナは入っていない

ちなみに、大ヒットを記録した『アナと雪の女王』に登場したアナとエルサは海外・日本ともに含まれていないのも興味深い点で、この事実は意外と知られていない。

Disney公式サイトより
ディズニーのプリンセスたち(※アメリカのディズニー公式サイトより)

「国際女性デー」に推したい3作品

では、ここからは正式に認められた「ディズニープリンセス」が登場する作品の中から、オススメの3作を紹介したい。(※作品のネタバレを含みます)

まず紹介したいのは、『アラジン』(2019年公開・実写版)だ。

アラジンやジーニーなど、人気キャラクターが数多く登場する名作の実写版。「ディズニープリンセス」の中でも高い人気を誇るジャスミンに注目して見ると面白い。ぜひ、アニメーション版と比べて見て欲しい

©Disney all rights reserved
ディズニー映画 実写版『アラジン』

ジャスミンは自立心と意志を強く持ち、しがらみから逃れ、やがては自由な人生を掴むことに憧れを抱くプリンセスだ。

92年に公開されたアニメ版と異なり、実写ではジャスミン自身が国を治める次の「国王」になることを望む。

物語の中で、男性が優位とされる社会における制度的な抑制に苦しんだジャスミン。しかし彼女は、強い信念のもとで不条理や不平等を打破しようと戦い、最終的には自らが国王になる。

アニメーションが実写化されるまで28年。この間、現実の世界でも、まだまだ道半ばではあるが、政界進出や雇用面で女性の社会的な立場は少しずつ向上してきた。

制作側は現代の女性像をより強く意識し、それをジャスミンというキャラクターに投影することで、ディズニーはヒロイン像を刷新している。

©Disney all rights reserved
実写版『アラジン』ではジャスミン役を俳優のナオミ・スコットさんが演じた

ここからは、2つの作品を続けて紹介する。

2017年公開のアニメーション『モアナと伝説の海』『ムーラン』(2020年公開・実写版)だ

葛藤を乗り越えた先に「ハッピーエンド」が待っているというのが、“ディズニーらしさ”でもあり、作品の大半に当てはまる特徴の1つだが、その過程を見ると決して美しいものとは言えない。

例えば、『モアナと伝説の海』の主人公・モアナ。物語の序盤、島で暮らすモアナがまだ幼い頃、村長である一族の父から「海は危険だ。お前の幸せはここにある」と持ち前の冒険心を抑えられながら育てられる。

モアナは旅の途中に伝説の英雄・マウイと出会うが、かつてのディズニープリンセスとは違った。“英雄”の存在に依存することなく、自らがリーダーシップを発揮して最後には島を救う。

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『モアナと伝説の海』に登場するモアナ

一方『ムーラン』では、主人公の彼女が「娘は結婚して家に名誉をもたらすもの」という慣習の中に身を置くが、その環境に生きづらさを感じていたムーランはある日、足の不自由な父親の代わりに自らを男性と偽って国に召集された軍に加わる。

しかし国には、「女性が軍に加わることなどご法度」という職業における性別や性差への固定概念があった。当然、軍には女性は1人もおらず、やがて偽って従軍したことが明るみとなり、王への反逆罪に問われてしまう。

古代中国を舞台にした話ではあるが、ムーランが物語の中で葛藤する様子は、現代のなかなか進まない日本での女性の政治参加などの状況にも重ねることができる。

最終的にムーランは、同じ軍の男性の騎士・ホンフイの命を救う上、物語の終盤では皇帝の暗殺計画を阻止しようと奔走するなど、戦士として活躍する姿が描かれる。

この逞しい女性が、日本では「ディズニープリンセス」と認められていないのは残念なところだ。

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主人公・ムーランを演じた俳優のリウ・イーフェイさん

考えてみれば、一族の中で「女性」であるという事実がヒロインを苦しめてきた物語がディズニー作品には数多い。ジャスミンやモアナ、ムーランなどは、そうした苦しみから自らの意思で道を切り開いている。

もはや、時代は変わりつつある。かつて王子様の訪れを待っていた白雪姫、シンデレラ、オーロラ姫だけが「ディズニープリンセス」の王道ではない。