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2021年03月16日 07時27分 JST | 更新 2021年03月31日 14時35分 JST

SDGsは「飲み会」に似ている。最初からいる人が食事を残す必要がある。

世界経済フォーラムの報告によると、2050年までに海のプラスチックの量が、魚の量を超える可能性もあるという。自分の子供や孫、ひ孫の世代が生きているときに「まだ地球が残っているか否か」という時間軸の視点が、SDGsには必要だ。

SDGsについて話すとき、大事にしていることがある。

それは、時間軸だ。

今日や明日のことを考える時とは異なる時間軸を意識しなくてはならない。

社会課題を分かりやすくInstagramなどで発信している団体「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんと会話をしたとき、「2030年の社会では」や「50年後の日本」という言葉がよく出てくるな、と気づいた。

Jun Tsuboike / HuffPost Japan
NO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子さん

現在22歳の能條さんにとって、2030年は30代で迎える「身近な未来」だ。そのころに地球の気温が上がり、異常気象が頻発していたら平和に暮らせなくなる。政治がこのまま変わっていなかったら、悲惨な社会になっている。日本ではジェンダー平等が喫緊の課題だ。

SDGsは「飲み会」に似ている?

世代や年齢で単純に区切ることはできないのも確かだ。例えば70代にも、50年後のことを考えている人はいるだろう。ただ、あくまでひとつの「現実」として、50年後も地球にいる世代と話すとき、私は時間軸とともに、「飲み会」を自分の頭の中でイメージする。もちろん、内閣広報官が行くような飲み会ではないことは言うまでもない。 

今、社会の中心にいる現役世代は、飲み会にたまたま「最初からいるお客さん」だ。食べ物も飲み物もたくさん並んだテーブルに座っている。目の前に美味しい食べ物があったら、どんどん箸が進む。

そのときLINEで友人から連絡が来たとする。「途中から参加します」。私たちは料理を残しておくだろう。店員の方に「ラストオーダーです」と言われたら、後から来る人の分も注文しておくに違いない。

後から来るお客さんは、いわばZ世代や、まだ生まれていない次世代だ。“LINE”はたくさん来ている。グレタ・トゥーンベリさんも送信を続ける。

後から参加してくれるのに、私たちが地球を汚しまくってしまい、何も残っていないテーブルの席に、その方たちがつくのだとしたら、全くフェアではない。

Johanna Geron / Reuters
グレタ・トゥーンベリさん

世界経済フォーラムの報告によると、2050年までに海のプラスチックの量が、魚の量を超える可能性もあるという。自分の子供や孫、ひ孫の世代が生きているときに「まだ地球が残っているか否か」という時間軸の視点が、だからこそSDGsには必要だ。

我慢ではなく「楽しさのシェア」

食事を残すーー。

それは「我慢」という、使い方によってはネガティブになる言葉とも必ずしも一致しない。どちらかというと「これは美味しいから残しておこう」というシェアの感覚に近い。後から来た友人が「美味しい」と食べているのを見て、そこに共感が生まれて嬉しくなり、楽しい食事の場になるかもしれない。

「私はアルコールを飲まないんです」という人がいたら、「なるほど。そういう楽しみ方もあるのか」という学びがあるかもしれない。「二酸化炭素濃度を上昇させる原因になっているから、肉は一切食べない」という知人もいるだろう。

食事をしている店を見渡せば、紙ストローを取り入れ、フードロス問題にも挑んでいるかもしれない。それを知って、さらに会話が盛り上がる。

重要なのは、一緒のテーブルに座っているということだ。食事は楽しくなればなるほど、後から来たとか、最初からいるとか関係なく、「場」が生まれる。

fizkes via Getty Images
イメージ写真

いつ参加しても「公平」な関係を

持続可能な開発という言葉がある。現在の私たちの生活と同じぐらい豊かな生活を将来の人も営む権利がある「世代間の公平性」や、現在に生きる人のあいだでもフェアに豊かな生活ができる「世代内の公平性」が大事になってくる。

現在はそれらの考え方に加えて、今を生きる世代にとっても、将来の世代にとっても必要な「地球システム」そのものが危機を迎えている。それを保護することも求められている。

地球が出来てから46億年。人が作ったプラスチックやコンクリートは、土の中で、このままだといつまでも残る。こうした大規模の環境汚染を、未来の人類が地層から発見して驚くかもしれない。人類の与えた地球環境への影響があまりに大きく、地質学的にも新しいフェーズ「人新世の時代」に突入しているとも言われる。

SDGsを考えるとき、時間軸とともに、こうしたイメージを私は頭の中に浮かべる。

食事をしているのは自分たちだけではない。「後から参加する人たちもいる」。そんな風に未来の会話について考える。

(文:竹下隆一郎)